八王子が誇るデカ盛りの聖地として、多くのファンに愛されている中華料理店「大進亭」。
その名物の唐揚げは、一度見たら忘れられないほどのインパクトがあります。
そんな人気店に、ある日突然「閉店する」という噂がネット上を駆け巡りましたが、これは事実ではありませんでした。では一体なぜ、このような誤解が広まってしまったのでしょうか。
大進亭/八王子の閉店がまずい?なぜ大春亭と誤解?

長年通っていた常連客はもちろん、テレビで見て一度は行ってみたいと思っていた人にとっても、寝耳に水の話だったと思います。
この噂はどのように広まり、人々はどのように反応したのでしょうか。まずは、閉店説がインターネット上を駆け巡った時期と、当時のSNSでのリアルな声を見ていきましょう。
| 時期 | 出来事 | 概要 |
|---|---|---|
| 2025年10月17日 | 「大春亭」の閉店が告知される | 八王子市大楽寺町にあった老舗中華「大春亭」が、2025年12月28日をもって閉店することを発表しました。 |
| 2025年12月28日 | 「大春亭」が47年の歴史に幕を下ろし閉店 | 多くのファンに惜しまれながら、「大春亭」が最終営業日を迎えました。 |
| 2026年3月頃 | 「大進亭 閉店」のデマ情報が拡散 | Googleなどの検索結果で「大進亭 閉店」と表示されるAIの誤情報を元に、SNSで閉店の噂が広まり始めました。 |
| 2026年3月14日 | NHKが「AIのハルシネーション」として報道 | NHKのニュースで、この現象がAIの誤認(ハルシネーション)であり、「大春亭」の閉店情報と混同した結果だと報じられました。 |
この一連の流れの中で、SNSではファンたちの動揺する声が数多く見られました。
Facebookの地域ニュースページ「ぺこはら八王子ニュース」では、AIが生成した「閉店」のスクリーンショットと共に「デマ情報!?」という投稿がされ、「びっくりした!」「結局デマで閉店しないってことですか?」といったコメントが寄せられ、情報が錯綜している様子がうかがえます。
多くの人が、愛するお店の存続を心配し、情報の真偽を確認しようと奔走したのです。
閉店と誤解される理由1:AIによる情報の誤認と拡散のため

閉店の噂がこれほどまでに広まってしまった最大の要因は、私たちの生活に深く浸透してきたAI技術の、いわば「副作用」にありました。
それは、AIが事実に基づかない情報を生成してしまう「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象です。では、なぜAIはこのような重大な間違いを犯してしまったのでしょうか。
最も大きな原因は、Googleなどの検索エンジンに搭載されている生成AIが、閉店した「大春亭」の情報と、営業を続けている「大進亭」の情報を混同してしまったためです。
この二つのお店は、偶然にもAIが間違えやすい条件がいくつも重なっていました。
まず、地理的な近接性です。
「大進亭」は八王子市大楽寺町184、「大春亭」は同じく大楽寺町576にありました。地図で見ると非常に近い距離にあり、AIが「八王子市大楽寺町の中華料理店」という情報を処理する際に、この二つを同一、あるいは極めて関連性の高い存在として認識してしまった可能性が考えられます。
次に、名称の類似性です。
「大進亭(だいしんてい)」と「大春亭(だいしゅんてい)」は、漢字の構成(大〇亭)と読み方が似ていて、AIがインターネット上の膨大なテキストデータを学習する過程で、この二つの店名を正確に区別しきれなかったとしても不思議ではありません。

このようなAIの誤認による閉店騒動は、他でも起こりうる問題です。
例えば、百貨店業界では閉店が相次いでいますが、ある地域の「A百貨店」の閉店情報が、AIによって近隣の「B百貨店」の閉店として誤って生成・拡散されてしまう可能性は十分に考えられます。
これは、地域全体の商業環境の変化という大きな文脈の中で、個別の情報が混同されやすくなるためです。
閉店と誤解される理由2:地域コミュニティにおける情報の伝播特性のため

誤解が急速に広まった背景には、地域に根差したお店の情報ならではの、独特な広まり方がありました。
特に八王子のような、地域コミュニティの結びつきが比較的強いエリアでは、口コミやSNSのローカルコミュニティを通じて、情報が感情と共に伝播しやすいです。
今回のケースでは、まず「大春亭の閉店」という事実がありました。47年も続いた老舗町中華の閉店は、地元住民にとっては大きなニュースであり、多くの人がSNSなどで閉店を惜しむ声を投稿しました。この確かな事実と、「大進亭」という名前の似た超有名店の存在が、人々の頭の中で結びついてしまったのです。
「そういえば、あっちのデカ盛りの中華屋も名前が似てたな…もしかしてあっちも?」といった連想が働き、やがて「八王子の『だい〇〇てい』が閉まるらしい」という曖昧な噂に変わっていきます。

そして、この曖昧な情報が人から人へと伝わる「伝言ゲーム」の過程で、いつの間にか「大進亭が閉店する」という断定的な情報に変質してしまったと考えられます。
これは、横浜の地元ネタで盛り上がるネット掲示板のように、ローカルな話題は事実だけでなく感情や個人的な解釈を伴って伝わりやすく、時に不正確な尾ひれがついてしまう現象と似ています。
AIが提示した誤情報が、この人間社会の伝言ゲームを加速させる燃料となってしまった格好です。
このように、AIという最新技術の問題と、昔ながらの地域コミュニティの情報伝達の特性という、新旧二つの要因が組み合わさった結果、今回の「大進亭閉店」という大規模な誤解が生まれてしまったのです。
本当はまずくないのに…。賛否分かれるのはなぜ?

Tabelogには500件を超える口コミが寄せられており、その多くは高評価ですが、一部には厳しい意見も見られます。
この圧倒的な個性を持つお店のスタイルが、訪れる人によって「最高!」と感じるか、「ちょっと自分には合わないかも…」と感じるかの分かれ道になっているようです。
賛否が分かれる最大のポイントは、やはり「規格外のボリューム」で、名物の「鳥のから揚げ定食」は、大人のげんこつほどもある巨大な唐揚げが6個も盛られており、総重量は1kgに迫るとも言われています。
これを「最高のコストパフォーマンス」「お腹いっぱい幸せになれる」と絶賛する声が多数派です。
一方で、「半チャーハンを頼んだのに、普通のお店のチャーハンくらいの量が出てきて食べきれなかった」という声や、「美味しいけれど、残してしまうのが申し訳ない気持ちになる」と感じる人も少なくありません。

この圧倒的な量が、人によってはプレッシャーに感じてしまうこともあるのです。
次に評価が分かれるのは、「昔ながらの活気ある大衆食堂の雰囲気」で、店内はいつも地元のお客さんで賑わっており、その活気や、少し雑然とした昭和レトロな雰囲気を「落ち着く」「これぞ町中華」と好むファンがたくさんいます。
しかし、おしゃれなレストランのような洗練された雰囲気を求める人にとっては、「少し入りにくいかも」と感じるかもしれません。

また、過去の口コミでは「店内でタバコを吸う人がいて匂いが気になった」という指摘もありました。現在は分煙などの対策が取られている可能性もありますが、こうした昔ながらのスタイルが評価の分かれる一因となっているようです。
結局のところ、「大進亭」は万人受けを狙ったお店ではなく、「安く、美味しく、お腹いっぱいになってほしい」という店主の明確な哲学が貫かれた、非常に個性の強いお店なのです。
向いている人
これまでの特徴を踏まえると、「大進亭」はすべての人に手放しでおすすめできる、というよりは、その唯一無二の個性を楽しめる特定の人にこそ、深く、そして長く愛されるお店だと言えるでしょう。
- とにかくお腹をペコペコに空かせている人
- デカ盛りメニューに挑戦してみたいフードファイター魂の持ち主
- 育ち盛りの学生さんや、たくさん食べる家族を満足させたいお父さん・お母さん
- コストパフォーマンスを何よりも重視する人
- テレビ番組『オモウマい店』を見て、あの豪快な料理を体験したいと思っている人
- 洗練された雰囲気よりも、活気と人情味あふれる昔ながらの町中華が好きな人
Q&A
- 結局のところ、本当に閉店していないんですよね?現在の営業時間を教えてください。
「大進亭」は閉店しておらず、元気に営業を続けています。基本的な営業時間は、毎日お昼の11:00から夜の21:00までとなっています。ただし、テレビで紹介されてからさらにお客さんが増えているようですし、不定期でお休みする可能性もゼロではありません。遠方から訪れる場合や、絶対に食べたいという日は、事前にお店へ電話(0426-51-9927)で営業しているか確認してから向かうのが最も確実でおすすめですよ。
- 閉店の噂の原因になった「大春亭」とは、どれくらい近かったのですか?歩いてハシゴできる距離だったのでしょうか?
この2つのお店は、驚くほどご近所さんでした。「大進亭」の住所が八王子市大楽寺町184、閉店した「大春亭」が同じく大楽寺町576で、地図上の直線距離では1kmも離れていません。歩いても15分から20分程度で着くくらいの距離感です。まさに、AIが「近くのお店」として情報を混同してしまうのも無理はない、と言えるほどの近さだったのです。残念ながら「大春亭」は2025年12月28日に閉店してしまったため、今はもう町中華のハシゴをすることはできませんが、この地理的な近さこそが、今回の閉店騒動の大きな引き金になったことは間違いありません。
- 名物の唐揚げやチャーハンのインパクトが強いですが、常連さんが頼むような「通」なメニューはありますか?
唐揚げ定食や山盛りチャーハンの影に隠れがちですが、常連さんには他のメニューも根強く愛されています。例えば、口コミでは「レバニラ炒め」も「かなりのボリュームで美味しい」と評判です。また、麺類も10種類以上と非常に豊富で、昔ながらのシンプルな「ラーメン」や、野菜たっぷりの「五目焼きそば」、ピリ辛味が食欲をそそる「ネギラーメン」なども人気があります。あえて超定番を外し、その日の気分で麺類や他の一品料理を開拓してみるのが「通」な楽しみ方かもしれません。ただし、どのメニューも基本的にボリューム満点なのでご注意を。「半チャーハン」ですら普通のお店の一人前以上あるため、麺類と半チャーハンのセットに挑戦するのは、よほどの大食漢でないと難しいチャレンジになりますよ。
