多くの人にとって「居酒屋」の原風景ともいえる「つぼ八」。
手頃な価格と豊富なメニューで、学生時代の飲み会から会社の宴会まで、様々なシーンでお世話になった方も多いのではないでしょうか。
しかし近年、「閉店」や「破産」といった少し寂しいニュースを耳にする機会が増えました。一体、私たちの知るあの「つぼ八」に何が起きているのでしょうか。
本記事では、相次ぐ閉店の裏にある本当の理由や、誤解されがちな「破産」の真相について、時系列や専門的な視点を交えながら、高校生にもわかるように優しく解説していきます。
つぼ八の閉店理由は?なぜFCが破産?

最近、つぼ八の閉店や運営会社の破産といったニュースが報じられ、「つぼ八はもうなくなってしまうの?」と心配する声が多く聞かれます。
しかし、結論から言うと、「つぼ八」というブランド自体がなくなったわけではなく、つぼ八の看板を借りて地域でお店を運営していた「フランチャイズ加盟店」の経営破綻に関するものでした。
もちろん、コロナ禍の影響などで直営店が閉店したケースもありますが、まずは何が起きていたのか、近年の主な出来事を時系列で見てみましょう。
| 時期 | 出来事 | 概要 |
|---|---|---|
| 2020年6月 | 大量閉店の発表 | 新型コロナウイルスの影響を受け、旗艦店であった銀座店を含む12店舗の閉店を発表しました。 |
| 2021年3月 | つぼ八音更店が破産 | 北海道音更町のフランチャイズ店が、コロナ関連倒産として破産手続きを開始しました。 |
| 2023年2月 | (株)えび膳が自己破産へ | 札幌市内で「つぼ八」4店舗を運営していたフランチャイズ会社が、コロナ禍での売上不振により自己破産の準備に入りました。 |
| 2025年8月 | 各地で閉店が相次ぐ | 静岡県の沼津駅前店が家賃高騰を理由に閉店。北海道の函館美原店、七重浜店も閉店が確認されました。 |
| 2026年3月 | (株)白鳥商店が破産 | 札幌市周辺で「つぼ八」を運営していたフランチャイズ会社が、関係会社と共に破産手続きを開始。負債総額は2社合計で6億円にのぼりました。 |
このように、特に北海道のフランチャイズ運営会社が厳しい状況に直面していることがわかります。
SNSでは、「つぼ八本体が潰れたのかと勘違いした」「見出しが紛らわしい」といった声も多く見られ、情報が少し混乱して伝わっている様子がうかがえます。
閉店・破産理由1:フランチャイズ運営会社の経営体力低下のため

相次ぐ破産のニュース、その核心にある一つ目の理由は、フランチャイズというビジネスモデルの構造と、加盟店の経営体力が限界に達してしまったことです。
実は、破産したのは「株式会社つぼ八」本体ではなく、その看板を借りて地域ごとにお店を運営していた別の会社(フランチャイズ加盟店)なのです。
フランチャイズとは、本部(つぼ八)がブランド名や経営ノウハウを提供する代わりに、加盟店がロイヤリティ(使用料)を支払う仕組みで、加盟店は「つぼ八」という有名な看板を使えるので集客しやすいメリットがありますが、経営の責任は加盟店自身が負うことになります。

今回のケースでは、特に新型コロナウイルスの影響が加盟店を直撃しました。
度重なる休業要請や時短営業で売上は激減。
例えば、札幌で4店舗を運営していた「えび膳」は、コロナ禍で売上がピーク時の4分の1以下にまで落ち込み、金融機関からの融資でなんとか経営を続けていましたが、資金繰りが限界に達してしまいました。

さらに、原材料費や光熱費の高騰、人手不足による人件費の上昇といったコスト増の波が、体力の弱っていた加盟店に追い打ちをかけたのです。
本部へのロイヤリティ支払いは続く中で、売上は減り、経費は増えるという二重苦に陥ってしまったと考えられます。
これは、つぼ八に限らず、多くの飲食チェーンのフランチャイズ店が直面した厳しい現実だったのです。
| 項目 | フランチャイズのメリット | フランチャイズのデメリット |
|---|---|---|
| 経営面 | 有名なブランド力で集客しやすいです。 | 毎月、本部にロイヤリティを支払う必要があります。 |
| 運営面 | 本部から運営ノウハウや研修を受けられます。 | メニューや価格を自由に変えにくく、経営の自由度が低いです。 |
| 危機対応 | 食材の仕入れルートなどが安定しています。 | 地域ごとの突発的な危機(災害や感染症など)に柔軟に対応しにくい場合があります。 |
閉店・破産理由2:居酒屋業界を取り巻く環境変化とブランドの陳腐化のため

二つ目の理由は、私たちのライフスタイルやお店選びの基準が、この数年で大きく変わったことです。
かつての「成功法則」が通用しなくなり、昔ながらの居酒屋チェーンが苦戦を強いられる時代になったのです。
まず、コロナ禍を経て「飲み会のあり方」が多様化しました。大人数での宴会は減り、少人数で楽しむ、あるいは家で飲む「宅飲み」が定着しました。
これにより、宴会需要に強かった大手居酒屋チェーンは大きな打撃を受けました。

同時に、消費者の価値観も変化しています。「安ければ良い」という時代から、「少し高くても美味しいものが食べたい」「SNSで自慢できるような体験がしたい」というニーズが高まっています。
いわゆる「ネオ居酒屋」のような、特定の料理に特化したり、おしゃれな内装で「映え」を意識した個人店が人気を集める一方で、つぼ八のような「どこにでもある、昔ながらの安心感」が、一部の若い世代からは「古臭い」「代わり映えしない」と見られてしまうようになった可能性も考えられます。

実際に、静岡県の沼津駅前店は、26年もの長い歴史がありましたが、家賃の値上がりが決め手となり閉店を余儀なくされました。
これは、ただ家賃が上がっただけでなく、それに見合うだけの売上を維持することが難しくなった、という居酒屋業界全体の厳しい現実を物語っていると思います。
| 項目 | 1980年代の居酒屋 | 2020年代の居酒屋 |
|---|---|---|
| 主な顧客 | 会社帰りのサラリーマングループが中心でした。 | 女性グループ、カップル、一人客など客層が多様化しています。 |
| 求められるもの | とにかく安くて、メニューの品数が多いことでした。 | 専門性(肉、魚など)や、SNSでシェアしたくなる体験価値です。 |
| 競争相手 | 「養老乃瀧」や「村さ来」など、他の大手居酒屋チェーンでした。 | 専門バル、コンビニ、宅飲み、フードデリバリーなど、競合が多様化しています。 |
店舗や跡地はどうなる?

なじみのお店がなくなってしまうと、「あの場所はどうなるんだろう?」と気になるものですよね。
閉店したつぼ八の店舗のその後は、いくつかのパターンに分かれるようです。
最も多いのは、別の飲食店がその場所に入居するケースで居酒屋の跡地は、厨房設備や客席がそのまま使える「居抜き物件」として人気があります。
例えば、2020年に閉店した「つぼ八 新札幌店」の跡地には、同じく居酒屋チェーンの「さんかい」が移転オープンしました。
フランチャイズ店が破産した場合、本部である「株式会社つぼ八」や、他の体力のあるフランチャイズ運営会社が店舗を引き継ぎ、営業を再開する可能性もゼロではありません。

ブランドイメージを守るためにも、できるだけお店は存続させたいと考えるのが普通だからですが、残念ながらすべての跡地がすぐに次のテナントで埋まるわけではありません。
建物の老朽化が進んでいたり、立地条件が良くなかったりすると、しばらく空き店舗のままになってしまうこともあります。閉店した店舗の未来は、その場所の価値や地域の経済状況によって大きく左右されるのです。
| パターン | 具体例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 別業態の飲食店 | カフェ、ラーメン店、焼肉店など | 居酒屋の設備を活かしやすく、初期投資を抑えられるため人気です。 |
| 同業態の別チェーン | 別の居酒屋チェーン | もともと居酒屋があった場所なので、同じような客層を取り込みやすいと考えられます。 |
| 飲食店以外 | コンビニ、ドラッグストア、フィットネスジムなど | 大通り沿いや駅前など、人通りの多い好立地の場合に見られるケースです。 |
つぼ八の閉店・破産に驚く声は多い

「え、あのつぼ八が!?」という衝撃は、多くの人にとって共通の感覚だったようです。
SNS上では、このニュースに対して様々な声が上がりました。その内訳を見ると、おおよそ「驚き・勘違いの声」が約50%、「閉店を惜しむ・懐かしむ声」が約40%、「厳しい意見」が約10%といった印象です。
特に目立ったのは、フランチャイズ運営会社の破産を「つぼ八本体の倒産」と勘違いしてしまった人の声でした。
一方で、長年通っていたお店の閉店を惜しむ、心温まる投稿もたくさん見られました。
もちろん、厳しい意見もあります。時代の変化についていけていないのでは?という指摘です。
これらの声は、つぼ八が多くの人々の思い出の一部になっていることの裏返しでもあります。だからこそ、その変化に一喜一憂してしまうのですね。
Q&A
- 結局、つぼ八はもう日本からなくなってしまうのですか?
いいえ、そんなことは全くありませんので安心してください。
「株式会社つぼ八」という会社本体は今も元気に営業を続けています。北海道から沖縄まで、全国にたくさんの店舗がありますし、海外にもお店を展開しています。今回ニュースになったのは、主に「フランチャイズ」という形でつぼ八のお店を運営していた一部の会社が、コロナ禍やコスト高騰の影響で経営難に陥ってしまったケースなのです。あなたの街のつぼ八が元気に営業しているなら、これからも変わらず利用することができますよ。- つぼ八って、ワタミやモンテローザと何か関係があるのですか?
はい、実はものすごく深い関係があるのです。
今や日本を代表する居酒屋チェーン「和民」などを運営するワタミの創業者・渡邉美樹さんや、「白木屋」「魚民」などを展開するモンテローザの創業者・大神輝博さんは、若い頃に二人とも「つぼ八」で働いていた経験があるのです。1973年に札幌でたった8坪のお店から始まったつぼ八は、その後の日本の居酒屋文化を創り上げた、いわば「レジェンド」のような存在。多くの経営者がここから巣立っていったのですね。- 海外にもつぼ八があると聞きましたが、今でも行けますか?
はい、行けます。主にタイを中心に、マレーシアやシンガポールなどにも店舗があります。
メニューは、日本でおなじみのザンギやホッケはもちろん、その国ならではの食材を使ったオリジナル料理もあって面白いですよ。ただ、海外のお店も現地の経済状況の影響を受けるため、残念ながら閉店してしまったお店もあります。もし海外旅行先で日本の味が恋しくなったら、「Tsubohachi」を探してみるのも楽しいかもしれませんね。現地の言葉で注文に困っても、日本の居酒屋だと思うとなんだか安心できそうです。
