岡山県倉敷市の玄関口、倉敷駅北口に直結する便利なショッピングモール「アリオ倉敷」。
開業以来、地元の人々や観光客で賑わってきましたが、近年「テナントの閉店が相次いでいる」という声が聞かれるようになりました。
アリオ倉敷の閉店ラッシュなぜ?

アリオ倉敷でテナントの閉店が続いている背景には、単一の理由ではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
火災のため?※2013年、2025年
2013年11月頃、施設内で火災騒ぎがあり、利用客が避難する事態となりました。
その後も小規模な火災報知器の作動やボヤ騒ぎがSNSなどで報告されることがありました。
また、2025年2月3日にも建物が焼ける事件があったようです。
情報を見る限り10分程度で鎮火していることからそこまで大きくはなかったようですね。
幸いにも大規模な火災には至っていませんが、こうした出来事が施設のイメージに一時的な影響を与えた可能性は否定できないのですが、これが直接的な閉店ラッシュの根本原因とは考えにくいです。
というのも、商業施設におけるテナントの入れ替えは、もっと長期的な経営戦略や経済的な要因によって決まることがほとんどだからです。
火災はあくまで一過性のトラブルであり、恒久的な客離れやテナント撤退の主因と断定するのは難しいと思われます。
人件費や物価、光熱費の高騰のため
近年の社会情勢として、人件費や原材料費、電気代などの光熱費が全国的に高騰しています。
以下の厚生労働省のグラフでもわかるように基本的に最低賃金は右肩上がりで、利益を圧迫していたと考えられます。

(出典:厚生労働省)
これはアリオ倉敷に入居するテナントにとっても、非常に大きな経営上のプレッシャーとなっているはずです。
アパレルや飲食といった利益率の確保が難しい業態では、コストの上昇が死活問題に直結します。
売り上げが好調であればコスト増を吸収できるかもしれませんが、競合店の増加などで客足が伸び悩む状況では、採算が取れなくなり閉店を決断する店舗が出てくるのは自然な流れと言えるでしょう。
これはアリオ倉敷だけの問題ではなく、多くの商業施設が抱える共通の課題なのです。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 人件費 | 最低賃金の上昇などで増加傾向にあります。 | スタッフの確保も年々難しくなっているようです。 |
| 物価 | 原材料や商品の仕入れ価格が上がっています。 | 販売価格への転嫁が難しい場合も多いです。 |
| 光熱費 | 電気代やガス代が経営を圧迫しています。 | 特に飲食店や長時間の照明が必要な店舗には大きな負担です。 |
| 影響 | 利益を確保できず、撤退を選ぶ店舗が増える一因です。 | 体力のない個人経営店などは特に厳しい状況だと思われます。 |
契約満了や移転のため
ショッピングモールにおけるテナントの入れ替えは、ごく当たり前に行われるものです。
多くの店舗は数年単位の賃貸契約を結んでおり、その契約が満了するタイミングで営業を終了することは珍しくありません。
また、より良い条件や集客が見込める場所へ移転するために、アリオ倉敷から撤退するケースも考えられます。
大きな影響を与えたのが、2014年に開業した「イオンモール岡山」の存在です。
岡山県内最大級の規模を誇るイオンモール岡山は、多くの大手チェーンや人気ブランドを惹きつけました。
結果として、アリオ倉敷からイオンモール岡山へ移転する店舗も現れ、これが「閉店ラッシュ」という印象を強める一因になったのです。
魅力の違いまとめ
イオンモール岡山とアリオ倉敷の魅力と特徴を以下の表にまとめます。
| 特徴項目 | イオンモール岡山 | アリオ倉敷 |
|---|---|---|
| コンセプト | 都市型フラッグシップモール「ハレマチ」 | 駅直結・連携型コミュニティハブ |
| 開業年 | 2014年 | 2011年 |
| 規模(店舗数) | 約300店舗 | 約100店舗 |
| 規模(面積) | 総賃貸面積: 約92,000㎡ | 店舗面積: 約16,500㎡ |
| 立地 | JR岡山駅前(徒歩約5分、地下道直結) | JR倉敷駅前(北口直結) |
| 駐車場 | 約2,500台(有料) | 約945台(アウトレットと合計で約2,600台、有料) |
| 主なテナント | イオンスタイル、イオンシネマ、多様な専門店、ハレマチ特区365 | 天満屋ハピーズ、各種専門店 |
| 飲食施設 | 非常に充実(haremachi Diner, haremachi Kitchenなど) | 充実(フードコート、レストラン街) |
| 最大の強み | 圧倒的な規模と店舗の多様性、広域からの集客力 | 三井アウトレットパークとの連携、駅直結の利便性 |
| 主なターゲット | 広域(岡山県全域、四国、山陰)、全世代 | 地域住民、観光客、ファミリー層 |
| 利用者の主な評価 | 「何でも揃う」「一日中楽しめる」「おしゃれ」 | 「アウトレットとセットで便利」「駅近で良い」「駐車場が有料」 |
リニューアルのため
閉店と聞くとネガティブなイメージを持ちがちですが、実は施設全体をより魅力的にするための「リニューアル」の一環である場合も多いのです。
時代の変化や顧客のニーズに合わせて、テナント構成を見直すことは、ショッピングモールが生き残るために不可欠な戦略です。
アリオ倉敷も、空いた区画に新しいテナントを誘致したり、話題性のあるポップアップストアを展開したりすることで、常に新鮮さを保とうと努力しています。
最近ではパソコンやiPhoneの買取店がオープンするなど、新しいサービスの導入も見られます。
閉店は、次なる魅力的な店舗を迎えるための準備期間と捉えることもできるのです。
アリオ倉敷のリニューアルの歴史
| 時期 | リニューアルの概要 | 主な変更点・新規店舗 |
|---|---|---|
| 2016年8月 | 核店舗の変更 | ・イトーヨーカドー食品館が閉店。 ・後継として「天満屋ハピーズ」がオープン。 |
| 2018年4月 | 開業以来初の大規模リニューアル コンセプト:「くらしきらしい くらしスタイル」 | ・24店舗が新規オープン、13店舗がリニューアル。 ・新規: 無印良品、粉助、tutuBANANAなど。 ・増床: ロフト(売場面積4倍)。 ・新設: 屋外エリア「クスノキサニーテラス」、FM岡山サテライトスタジオ。 ・フードコートのファミリースペースを刷新。 |
| 2021年6月 | 開業10周年に向けたリニューアル コロナ禍のニーズに対応 | ・新規12店、移転・改装2店の計14店をリニューアル。 ・住関連店舗を強化。 ・新規: ハートブレッドアンティーク、ねこねこ食パンなど。 ・10周年記念イルミネーションや地域連携イベントを実施。 |
| 2024年~2025年 | 継続的な店舗導入による魅力向上 | ・2024年: JEWELRY MOI、キッズプラザ きゃらんど、バーガーキング®(岡山初)、らしんばん。 ・2025年: じゃんぱら(岡山初)。 ・リニューアル記念の抽選会などを開催。 |
アリオ倉敷が閉店ラッシュ?閉店店舗例
「閉店ラッシュ」という印象を具体的にしているのが、いくつかの有名テナントの撤退です。
開業以来の中核店舗であった「イトーヨーカドー食品館」が2016年に閉店。
その他にも、家電量販店の「Joshin」や脱毛サロンの「ミュゼプラチナム」、ベビー用品の「アカチャンホンポ」などが閉店しています。
- 2016年8月21日:コールドストーンクリーマリー 閉店
- 2016年8月31日:イトーヨーカドー食品館倉敷店 閉店
- 2020年1月11日:ヌーベルマリー 閉店
- 2023年8月20日:nana’s green tea(ナナズグリーンティー) 閉店
- 2023年12月25日:アカチャンホンポ 閉店
- 2024年1月5日:東京きもの愛-Aiko- 閉店
- 2024年1月7日:クイックカットBB 閉店
- 2024年1月8日:クラフトハート トーカイ 閉店
- 2024年1月8日:Bull Pulu(ブルプル) 閉店
- 2024年1月14日:ダイヤクリーニング 閉店
- 2024年1月14日:GORGE(ゴージ) 閉店
- 2024年1月14日:ハピンズ 閉店
- 2024年1月14日:掘り出しマーケットNICOMAR 閉店
- 2024年1月16日:わものや 閉店(同施設1階へ移転のため)
- 2024年1月21日:カメラのキタムラ 閉店
- 2024年1月21日:保険見直し本舗 閉店
- 2024年1月21日:STRAWBERRY STAND ICHICO 閉店
- 2025年1月13日:GODIVA dessert 閉店
- 2025年2月20日:MUSEE PLATINUM(ミュゼプラチナム) 閉店
- 2025年4月20日:ゼクシィ倉敷アリオカウンター 閉店
これらの店舗は知名度も高く、利用していた人も多かったため、閉店が続くと「アリオ倉敷は大丈夫?」という不安な気持ちに繋がってしまうのも無理はないかもしれません。
アリオ倉敷に対する独自調査と口コミ一覧
SNSやレビューサイトの口コミを分析すると、アリオ倉敷に対する利用者の様々な意見が見えてきます。
全体的な印象としては、ポジティブな意見とネガティブな意見が混在している状況です。
【印象の割合】
【口コミ風まとめ】
概要をおさらい
ここで改めて、アリオ倉敷の基本情報をおさらいしておきましょう。
アリオ倉敷は、2011年11月25日に開業した複合商業施設。
かつてこの場所にはテーマパーク「倉敷チボリ公園」があり、その跡地を再開発して誕生しました。
JR倉敷駅の北口を出てすぐという抜群の立地で、隣接する「三井アウトレットパーク 倉敷」とは連絡通路で繋がっており、一体的にショッピングを楽しめるのが大きな特徴です。
開業当初の核テナントはイトーヨーカドーでしたが、現在は地元のスーパーマーケット「天満屋ハピーズ」がその役割を担っています。
向いている人
これまでの情報を総合すると、アリオ倉敷は特に次のような人におすすめのショッピングモールだと言えます。
- JR倉敷駅を頻繁に利用する人
- 三井アウトレットパーク倉敷での買い物も楽しみたい人
- 有名人のトークショーやライブなどのイベントが好きな人
- 天満屋ハピーズで日常の食料品を買い物したい人
- 倉敷観光のついでに気軽に立ち寄りたい人
Q&A
- アリオ倉敷は、将来的に閉店(閉鎖)してしまう可能性はありますか?
現時点では、施設全体が閉店する可能性は低いと考えられます。確かに一部テナントの撤退はありますが、有名人を招いたイベントを積極的に開催したり、新しいテナントを誘致したりと、集客努力を続けています。倉敷駅前という一等地にあることからも、今後も倉敷の街を盛り上げる重要な拠点であり続けると思われます。
- 火事が原因で閉店した店舗はありますか?
2013年、2025年に火災騒ぎがありましたが、この火事が直接的な原因で閉店したという公式な情報はありません。テナントの閉店は、先述したような経営戦略や経済状況、契約期間の満了など、複合的な理由によるものがほとんどです。
- なぜ核テナントがイトーヨーカドーから天満屋ハピーズに変わったのですか?
これは、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスが、全国的に不採算店舗の整理を進める経営戦略の一環として決定したためです。アリオ倉敷のイトーヨーカドーもその対象となり、2016年に閉店しました。後継として、セブン&アイグループと資本・業務提携関係にある地元の有力スーパー「天満屋ストア」が運営する「天満屋ハピーズ」が出店することになったのです。
- 他の「アリオ」とアリオ倉敷の違いは何ですか?
アリオ倉敷は、他の多くのアリオと比べて少し特殊な成り立ちを持っています。通常、アリオはイトーヨーカ堂が開発・運営の中心ですが、アリオ倉敷はセブン&アイグループの不動産開発会社が主体となって開発・運営しています。また、現在では核テナントがイトーヨーカドーではない、全国でも珍しい「アリオ」となっています。
- 隣の三井アウトレットパーク倉敷とはライバル関係なのですか?
ライバルというよりは、「協力関係」にあります。もともと同じ倉敷チボリ公園の跡地を一体的に再開発した施設であり、互いの施設を連絡通路で結び、買い物客が行き来しやすいように設計されています。アリオ倉敷が日常的な買い物や食事、エンターテインメントを提供するのに対し、アウトレットはブランド品をお得に購入できるという役割分担ができており、両施設で相乗効果を生み出しているのです。








