街の古本屋さんとして親しまれてきた「ブックマーケット」の店舗が、最近次々と姿を消しているという話を耳にしたことはありませんか。SNSなどでは「臨時休業の貼り紙があったのに、実は閉店だった…」なんて声も聞かれます。

の閉店ラッシュの背景には、一体何があるのでしょうか。
本記事では、ブックマーケットがなぜ閉店しているのか、その理由を様々な角度から徹底的に調査しました。
親会社である「駿河屋」との関係性や違いにも触れながら、閉店の真相に迫っていきます。
ブックマーケットの閉店理由は臨時休業?閉店ラッシュはなぜ?

全国各地でブックマーケットの閉店が相次いでいるのは事実のようですが、その理由は単に「経営不振」という一言では片付けられない、いくつかの複合的な要因が絡み合っているようです。
閉店理由1:人件費や光熱費など諸費用の高騰のため

まず考えられるのは、お店を運営していくためのコストが年々増加しているという、非常に現実的な問題です。
これはブックマーケットに限らず、多くの小売店が直面している課題だと言えるでしょう。
近年、最低賃金の上昇に伴う人件費の増加や、世界的な情勢を受けた電気代・ガス代といった光熱費の高騰は、店舗経営に大きな負担となっています。
特に最低賃金も年々上昇しており、厚生労働省のデータにもあるように利益を圧迫していたとも考えられます。

(出典:厚生労働省)
ブックマーケットのような郊外型の大規模店舗は、広い売り場を維持するための光熱費や、建物の賃料も決して安くはありません。
古本は一冊あたりの利益が薄いビジネスモデルなので、こうした固定費の上昇は経営を直接圧迫してしまうのです。

お客さんがたくさん来てくれても、それ以上にコストがかさんでしまうと、お店を続けていくのが難しくなってしまう、という状況が考えられます。
閉店理由2:親会社である駿河屋が、より専門性の高い「駿河屋」ブランドへ経営資源を集中させているため

ブックマーケットの閉店を語る上で絶対に外せないのが、親会社である「株式会社駿河屋(旧:株式会社エーツー)」の存在です。
実は、近年のブックマーケットの閉店ラッシュは、この親会社の「選択と集中」という経営戦略が大きく影響しているのです。
ブックマーケットは、古本やCD、ゲームなどを幅広く扱う、いわば「地域密着型の総合リサイクルショップ」でしたが、同じグループの「駿河屋」は、アニメグッズやフィギュア、プラモデル、同人誌といった、より専門的でマニアックな商品に特化した「ホビーショップ」です。
この「駿河屋」は、特定の趣味を持つ熱心なファン層から絶大な支持を得ており、オンライン通販を中心に大きく成長してきました。

そこで親会社は、より収益性が高く、独自の強みを発揮できる「駿河屋」ブランドに経営資源を集中させる方針を打ち出した結果、従来のブックマーケットの店舗を閉店し、そのリソースを駿河屋の新規出店やオンライン事業の強化に充てているのです。
一部のブックマーケット店舗は、閉店する代わりに「ブックマーケット Supported by 駿河屋」として、駿河屋の買取システムなどを導入した新形態にリニューアルするケースも見られます。
閉店理由3:出版不況やデジタル化の進展により、中古書籍を取り巻く市場環境そのものが厳しくなったため

ブックマーケットが苦戦している背景には、お店単体の問題だけでなく、中古書籍業界全体が直面している構造的な問題もあり、それは、インターネットの普及による「デジタル化の波」です。
かつて、読み終えた本を売る・買う場所といえば、ブックオフやブックマーケットのような古本屋が中心でしたが、今ではメルカリなどのフリマアプリを使えば、誰でも簡単・手軽に個人間で本を売買できます。
また、Kindleに代表される電子書籍の普及も無視できず、わざわざお店に行かなくても、読みたい本をすぐにダウンロードして読めるようになったことで、物理的な本を所有すること自体の価値観が変化してきているのです。

さらに、そもそも新品の本が売れなくなる「出版不況」も深刻で、新品が売れなければ、中古市場に流れてくる本の数も質も低下してしまいます。
本を「売る人」も「買う人」も古本屋から離れていってしまうという、厳しい市場環境が閉店の一因となっていると考えられます。
これは、かつて全米最大級の書店チェーンだった「ボーダーズ」が、デジタル化の波に乗り遅れて倒産した事例とも重なります。
閉店ラッシュって本当?

「閉店ラッシュ」という言葉は、決して大げさではないようです。
実際に、ここ数年で非常に多くの店舗が営業を終了しています。
確認できただけでも、以下のような店舗が閉店しています。
- 2024年8月31日:ブックマーケット・エーツー 三条店 Supported by 駿河屋(新潟県)閉店
- 2024年7月26日:ブックマーケット 関目店(大阪府)閉店
- 2023年3月27日:ブックマーケット・エーツー 袖師店(静岡県)閉店
- 2022年11月18日:ブックマーケット 諫早店(長崎県)閉店
- 2020年5月10日:ブックマーケット 古川店(宮城県)閉店
- 2020年5月10日:ブックマーケット 佐沼店(宮城県)閉店
- 2020年5月10日:ブックマーケット 西春店(愛知県)閉店
- 2020年3月25日:ブックマーケット 寝屋川香里店(大阪府)閉店
- 2019年8月25日:ブックマーケット 滝川黄金町店(北海道)閉店
- 2017年12月3日:ブックマーケット 姫路書写店(兵庫県)閉店
- 2017年11月30日:ブックマーケット 笠岡店(岡山県)閉店
- 2017年11月19日:ブックマーケット 藤原台店(兵庫県)閉店
- 2017年10月31日:ブックマーケット 北岡崎店(愛知県)閉店
- 2017年10月20日:ブックマーケット 御坊店(和歌山県)閉店
- 2017年10月3日:ブックマーケット 曙店(愛知県)閉店
- 2017年9月10日:ブックマーケット・エーツー 吉村店(宮崎県)閉店
- 2017年8月31日:ブックマーケット 東浦店(愛知県)閉店
- 2017年8月31日:ブックマーケット・エーツー 柴田店(宮城県)閉店
- 2017年7月2日:ブックマーケット 尾西店(愛知県)閉店
- 2016年10月31日:ブックマーケット・エーツー 大洲店(愛媛県)閉店
- 2016年4月25日頃:ブックマーケットエーツー 川東店(宮崎県)が破産のため閉店
上記は一部に過ぎず、実際にはさらに多くの店舗が閉店していると考えられます。
2017年頃に閉店が集中していることからも、この時期に親会社であるエーツー(現:駿河屋)の戦略転換が本格化したことがうかがえますね。
ちなみにブックセンターいとうも全店閉店してしまいました。背景や理由についてはこちらにまとまっています。

駿河屋との違いを徹底調査

親会社であり、戦略転換の主役でもある「駿河屋」。
同じグループ会社でありながら、この2つのお店はコンセプトからターゲット層まで、全く異なると言っても過言ではありません。
以下にまとめていますがコンセプトは大きく異なります。
| 比較項目 | ブックマーケット | 駿河屋 |
|---|---|---|
| コンセプト | 地域の総合リサイクルショップ | アニメ・ホビー専門のカルチャーショップ |
| ターゲット層 | ファミリー層、一般の読書好き、ゲーム好きなど幅広い層 | アニメ・ゲームファン、コレクター、同人文化に詳しい人など、特定の趣味を持つ層 |
| 主力商品 | 古本、コミック、CD、DVD、一般ゲームソフト | フィギュア、プラモデル、アニメ雑貨、トレカ、同人誌、レトロゲームなど専門的な商品 |
| 価格・買取 | 比較的安価な商品が多く、買取も標準的な価格帯 | 希少品は高額になることも。専門スタッフによる査定で、マニアックな商品も適正価格で買取 |
| 店舗の特徴 | 郊外のロードサイド店が多く、広い駐車場を持つ店舗が中心 | 都市部の駅前や秋葉原・日本橋などのオタク街、大型商業施設内への出店が中心 |
| オンライン | 店舗が主体 | 強力な通販サイト「suruga-ya.jp」が事業の核となっており、店舗と連携している |
ブックマーケットが「浅く広く」多くの人に向けたお店だったのに対し、駿河屋は「深く狭く」特定のファンに突き刺さるお店作りをしています。

駿河屋は、ただ商品を売るだけでなく、その商品の価値を理解し、コレクションしたいと考える人々のニーズに応えることで、高い収益性と顧客ロイヤリティを確立しているのです。
このビジネスモデルの違いが、ブックマーケットから駿河屋への「選択と集中」を進める大きな理由となっているのです。
Q&A
最後に、ブックマーケットの閉店に関してよく聞かれる質問や、少し踏み込んだ疑問についてQ&A形式でお答えします。
- 「臨時休業」の貼り紙があったのに、実は閉店だったって本当?
過去にそうしたケースがあったようです。宮崎県にあった「ブックマーケットエーツー川東店」では、「棚卸しのため臨時休業」という貼り紙がされた翌日に訪れてもお店は開いておらず、後日、自己破産による閉店を知らせる告知書が掲示された、という出来事がありました。もちろん全てのケースがそうだとは限りませんが、店舗側が閉店の事実を公にするまでの間、一時的に「臨時休業」や「改装のため」といった案内を出すことは考えられます。もし近所のお店のシャッターがずっと閉まっていたら、少し気にした方がいいかもしれませんね。
- ブックマーケットと駿河屋って、同じグループなら買取価格も同じなの?
いいえ、必ずしも同じ価格になるとは限りません。むしろ、全く違う金額になることも多いようです。あるユーザーの体験談によると、駿河屋の通販サイトの買取価格を基準にブックマーケットへ持ち込んだところ、500円のものが50円と査定されるなど、大きく異なる金額を提示されたとのことです。これは、各店舗の在庫状況や、査定するスタッフの知識、商品の状態など、様々な要因が影響するためです。確実に高価買取を狙うなら、事前にネットで査定を申し込み、金額に納得してから店舗に持ち込む「あんしん持込」といった駿河屋のサービスを利用するのがおすすめです。
- カナダにも「The Book Market」という閉店した古本屋があるけど、日本のブックマーケットと関係あるの?
全く関係ありません。これは非常に面白い偶然の一致ですね。2025年10月から11月にかけて、カナダのオタワ市にある「The Book Market」という名前の古本屋が、オーナーの引退を理由に約50年の歴史に幕を閉じました。日本のブックマーケットと同じように、地域の人々に愛されたお店だったようです。名前は同じですが、こちらは個人経営の独立した書店であり、日本のチェーン店であるブックマーケットとは資本関係も歴史的なつながりも一切ありません。世界には、同じような名前で、同じように時代の流れの中で役割を終えていく本屋さんがある、ということなのかもしれませんね。
