大会のテレビ映えと現地体験のギャップが、SNSでたびたび議論になる「世界バレー」。
なぜ「客席が空いている・暗い・つまらない」という声が上がるのでしょうか。
世界バレーがガラガラ？観客席暗いしつまらない？
同じ会場でも「日本戦は満員、他カードは空席が目立つ」という風景は、国際大会では珍しくない現象です。
なぜなのでしょうか。
自国戦以外or平日時間帯のケースの集客数が低いため
「自国戦以外＋平日時間帯」の組み合わせが、客入りを下げます。
タイ開催の世界選手権でも、日本戦を除く他国同士のカードで空席が目立つ時間帯があり、「平日」「自国不在」「キックオフ時刻」の3条件が重なると顕著です。
日本開催であっても、平日夕方に海外同士の試合なら同様の現象は起きます。
現地投稿でも「タイはバレー人気はあるが、平日かつ自国戦でないと客が少ない」と説明されていました。日本開催時も“第三国同士”は閑散の例が普通にあります。
ローカル需要に依存するのはスタジアムスポーツの常で、地域の就業時間・通勤事情・公共交通の便がダイレクトに反映されるのです。
また、今年の世界選手権はタイ各地での分散開催で、グループラウンドは1日複数カード。
組によっては格差の大きい対戦が続き、地元ファンの関心が薄いカードはチケットの二次流通も動きづらいです。
フォーマット上、32か国→16か国のノックアウト導線になり、序盤の「常勝カード」は現地需要が伸びにくい構造です。
海外ではVBTV（VolleyballWorld.tv）などの国際配信が基本ですが、アプリの不具合やUXの不満が多い一方、家での視聴習慣は着実に浸透しており、現地に行かずに観る動機が強まっています。
皮肉にも“配信の独占化”と“視聴のしやすさ”が、特定カードの現地動員を分散させるのです。
ランキング制度の理解が浸透すると「格上に勝てばランキング大幅アップ、負けてもダメージ小」のカードだけに注目が集まり、他カードの現地人気が相対的に下がる面もあり、世界選手権や五輪はマッチウェイトが最大で、VNLや大陸選手権よりランク変動が大きいので、注目試合が偏在しやすいのです。
編集部の現地実感としては、試合の“並び順”と“日本戦までの滞在コスト”も無視できません。
平日夕方の第三国同士→夜の日本戦という並びの日は、会社や学校を早退してまで前座から観る人は少数派です。
結果、前座はスカスカ→日本戦でドッと埋まるという写真の切り取りが、「ガラガラ」の印象を増幅。
これはカメラワークの問題とも連動します。
放送席の対面スタンドが暗いと、空席がコントラスト強めに映り込むためです。
カメラ露出と演出の設計のため
大会演出はコートを強く照らし、観客席を落としてショーアップすることが増えました。
これがTVでは“空席の影”を強調しますが実際、卓球やバドミントンにならった演出手法で、フェンシング由来ともいわれる「ショーアップ」が主流です。
視線をコートに集中させ、選手の視認性を上げる狙いがあります。
ただし演出と運用が過剰だと、プレーを妨げる事態も生じます。
VNL女子決勝ではスマホライトの演出が入り、主審判断で再開が遅れました。
パリ五輪男子では照明自体が一時ブラックアウトし、3分中断のケースもありました。
こうした“暗転報道”はSNSで拡散し、「世界バレーの会場は暗い」という印象をさらに固定化します。
加えて、国際配信の映像設計は“主カメラの逆サイド”を落とす傾向があり、対面スタンドの空席が黒い面に溶け込み、余計に「人がいない」ように映るのです。
現地で見ると、実際は45〜60％の入りでも“臨場感”は高いのに、テレビ画面では20％に感じることがあり、露出と色温度、背景反射（天井色・壁面色・客席シート色）で差が出るのです。
| 視点 | 何が起きているか | 実用的な見分け方 |
|---|---|---|
| 演出照明 | コート面を明るく・客席は落とすのです | 日本戦以外のカードもハイライト動画で客席の明るさを比較すると違いが分かります |
| カメラ露出 | 逆サイドが暗く映るのです | セット間の引き映像で客席の実入りを確認すると体感差が減ります |
| 会場設計 | 天井・壁の色で暗く見えるのです | 黒天井＋ダーク壁はコントラストが強く、空席が目立ちます |
根本的には、会場照明と放送露出のバランス設計に“勝たせる意図（プレー品質）”と“見せる意図（放送品質）”のトレードオフがあります。
照明会社の指針も、ポール位置・配光・グレア制御を重視し、選手安全やボールの視認性を最優先に設計するのが前提です。
観客席が暗く感じるのは、まず競技性を守るための副作用と考えられます。
観客席暗いのはなぜ？
ショーアップ（コンサート的照明）と競技性（ボール視認・サーブ時の眩しさ制御・グレア対策）の両立が理由です。
近年は卓球・バドミントンの“黒箱化”に寄せ、コートを浮かび上がらせる設計が主流になっています。
VNL女子決勝では、スマホライトの演出がプレー再開を遅らせるアクシデントになり、主審が制止しました。
観客参加型の演出は、一線を越えると競技の安全と公平に抵触します。
光はボールの軌道・選手の瞳孔反応に直結するため、基準はシビアである一方で、突然の停電など運用側のトラブルは稀に起きうるため、非常用照明や再点灯手順の教育・訓練が鍵です。
編集部の現地体験では、“暗い＝見えない”ではなく、“暗い＝視線誘導”です。コート面の演色性と均斉度が高く、ボールのスピンが分かるレベルなら、ゲーム体験はむしろ向上します。
暗所に動線や段差がある会場は危険ですが、国際大会は通路照度や誘導員配置を強化しており、事故リスクは低めに管理されています。
次にスマホ視聴時の「暗くてつまらない」違和感について。
配信側でHDR→SDR変換のトーンマッピングが適切でないと、客席側のシャドウが潰れ、絵が“のっぺり”見えます。
VBTVアプリは画質制御のUIが劣化した時期があり、ユーザーの不満が噴出しました。
観戦の印象は、会場演出よりも“配信の画作り”に左右される割合が意外と大きいのです。
| 悩み | 原因 | すぐできる対処 |
|---|---|---|
| 画面が暗くて眠いのです | HDR→SDR変換の黒潰れ | 端末の明るさ最大＋配信側の追っかけ再生ではなく見逃しVODで視聴 |
| 選手が見えづらいのです | 客席暗転＋逆光 | 公式ハイライトや別アングル動画で補完 |
| 会場は暗いのですか | 競技優先の照明設計 | コートは明るい＝安全性・視認性は確保 |
世界バレーはつまらない？声を独自調査
調査する限り「つまらない」と感じる人は1割程度のように感じます。
以下は代表的な“口コミ風”の実例引用です。
“つまらない”の多くは競技そのものより「見せ方」「配信体験」「時間帯」に起因します。
逆に現地での日本戦は満員に近い熱気で、ランク上位との逆転劇はSNSでも大きく盛り上がっています。
Q&A
- なんで日本戦以外はこんなに空席があるのですか？
平日・自国不在・格差カード・複数会場分散という国際大会の構造が重なると、現地需要は落ちます。日本開催でも同条件で起きます。現地の通勤事情と公共交通ダイヤの影響も大きいです。
- 観客席が暗いのはなぜですか？安全面は大丈夫ですか？
コートを浮かせてボール視認とグレア抑制を優先する設計です。ショーアップの潮流もあります。演出過剰や停電の例はあるものの、基本は安全優先の設計で、誘導員と通路照度が確保されます。
- 「暗い画」に見えづらい試合の、最適な視聴設定はありますか？
HDR対応ディスプレイならHDR配信、なければVODで視聴。ライブで黒潰れが気になる時は端末輝度を最大・部屋を少し明るくし、可能なら見逃し配信の固定ビットレートを選ぶのが有効です。VBTVは画質選択UIが不安定な時期があるため、ブラウザ視聴に切り替える手もあります。
- 現地で“暗い”会場を快適に楽しむコツは？
目の順応を考えて、入場後5〜10分は視線をコート面から客席へ意識的に移して明暗差に慣れると疲れにくいです。写真撮影はベンチ側サイド席が露出安定。引きで雰囲気を撮るならセット間の場内ライトアップを狙うのがコツです。
- どの試合がランキング的に“面白い”の？
MWF（大会重み）が高い世界選手権では、格上に挑むカードが“ポイントの旨味”大です。直近WRの差がある相手に2-3や3-2でも増減が大きいケースがあり、番狂わせの確率とリターンを狙うのが玄人の楽しみ方です。
