かつて東海地方を中心に多くの店舗を展開し、地域の人々に親しまれてきた家具店「ファニチャードーム」。
そのファニチャードームが近年、相次いで店舗を閉店し、運営会社である安井家具(現:FDベイホールディング株式会社)が経営体制を変更したことに驚いた人もいるでしょう。
なぜ、あれほど大規模だったファニチャードームは店舗を減らさなければならなかったのでしょうか。
ファニチャードームの閉店なぜ?理由や背景とは

ファニチャードームが多くの店舗を閉店せざるを得なかった背景として、考えられる主な理由を3つの観点から解説していきます。
物価・人件費・光熱費などの高騰のため
閉店の直接的な要因として、運営コストの増加が挙げられます。
近年の世界的な情勢不安や円安の影響により、家具の原材料費や海外からの輸送費は大きく上昇。
それに加え、国内の人手不足による人件費の上昇や、電気料金をはじめとする光熱費の高騰も、経営を圧迫する大きな要因となったのです。
ファニチャードームは「インテリアのテーマパーク」を掲げ、広大な売場面積を誇る大型店舗が特徴でした。
しかし、その広大なスペースを維持するための賃料や光熱費、多くのスタッフを配置するための人件費は莫大なものになります。
商品の価格にこれらのコストを転嫁すれば顧客離れにつながり、かといって価格を据え置けば利益が減少するという、非常に厳しい状況に置かれていたことが想像できます。
こうした運営コストの増大が、特に地方のショッピングセンター内に出店していた店舗の収益性を悪化させ、閉店という判断につながったと考えられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原材料費・輸送費 | 海外からの輸入が多く、円安や原油高の影響を直接受けたと思われます。 |
| 人件費 | 最低賃金の上昇や人材確保のための待遇改善でコストが増加したと考えられます。 |
| 光熱費 | 広大な店舗の照明や空調にかかる電気代が、経営の大きな負担になったのです。 |
| 賃料 | ショッピングセンター内の店舗が多く、固定費である賃料も経営を圧迫した可能性があります。 |
ニトリの影響?競合他社の台頭と市場環境の変化のため
競合他社の影響力が強まったことも大きな要因で、業界最大手のニトリの存在は無視できません。
ニトリは愛知県内だけでも47店舗(2025年時点)を展開し、ファニチャードームの店舗網を「包囲」するかのような出店戦略をとっていました。
やはり価格競争力や全国的なブランド力を持つニトリに顧客が流れてしまった可能性は高いです。
また、2016年には東京インテリア家具が名古屋に進出するなど、競争はさらに激化。
ファニチャードームは、豊富な品揃えと「見て回る楽しさ」という体験価値を提供していましたが、ニトリの「お、ねだん以上。」という分かりやすい価格訴求力や、IKEAのような独自のデザイン性を持つブランドと比較すると、その立ち位置がやや曖昧になってしまったのかもしれません。
消費者のライフスタイルが多様化し、一つの店で全てを揃えるのではなく、オンラインストアや専門性の高いセレクトショップなどを使い分ける購買行動が一般的になったことも、大型総合店のファニチャードームにとっては逆風となった可能性があります。
以下にニトリと東京インテリア家具と比較したものをまとめましたが、価格帯的にもニトリが競合であったことは言うまでもありませんし、跡地がニトリになったケースもありました。
| 項目 | ファニチャードーム | ニトリ | 東京インテリア家具 |
|---|---|---|---|
| 品揃え・規模 | 膨大な数の家具を取り揃え、圧倒的な品数。 | 幅広い生活用品を網羅し、店舗数も多い。 | 品数はやや少なめだが、バランスの取れた品揃え。 |
| 価格帯・コスパ | 価格競争力が高く、コストパフォーマンス重視。 | 低価格・コスパ最重視。自社生産による低価格を実現。 | やや高めだが、品質とデザインのバランスが良い。 |
| デザイン・品質 | 多様だが、デザインや品質にバラつきがある可能性も。 | シンプルで実用性が高く、品質の安定を目指す。 | 全体的に洗練されたデザインで、品質安定性が高い。 |
| 店舗の雰囲気 | 大型店舗で広大な売場。実物を見て選びやすい。 | 効率的な売場作り。買いやすさを重視。 | 洗練された雰囲気で、ゆったりと家具選びを楽しめる。 |
| ターゲット層 | 幅広い層に対応しつつ、特にコスト重視層に最適。 | コストを抑えたい、実用性重視の層。 | 幅広い層に対応し、品質とデザインにこだわる層。 |
ビジネスモデルと経営戦略の転換のため
ファニチャードームは、かつて10店舗以上を展開していましたが、2017年から2019年にかけて立て続けに店舗を閉店し、最終的に名古屋本店と岡崎店の2店舗体制へと事業を縮小。
そのファニチャードーム岡崎店も2025年8月末に閉店しました。
これは、不採算店舗を整理し、収益性の高い中核店舗に人材や資本といった経営資源を集中させる「選択と集中」という経営戦略の一環だと考えられます。
この戦略転換の背景には、経営体制の大きな変化がありました。
2019年頃、運営会社である安井家具の創業家は経営から退き、三菱UFJ系の投資ファンドが経営の主導権を握ることになったと報じられています。
ファンド主導の経営では、従来の規模の拡大路線から、よりシビアな収益性の改善が求められます。
そのため、大胆な店舗閉鎖を含む事業再構築が行われたのです。
過去に閉店した店舗は?
多くの店舗が2017年から2019年にかけて閉店しました。
過去に閉店した主な店舗は以下の通りで、店舗の多くは、イオンやアピタといった大型ショッピングセンター内のテナントとして営業していました。
・2025年8月31日:岡崎店 閉店予定
・2019年8月4日:稲沢店 閉店
・2019年8月4日:小牧店 閉店
・2019年8月4日:岐阜柳津店 閉店
・2019年8月4日:津河芸店 閉店
・2018年6月24日:有松店 閉店
・2017年7月14日:新豊橋店 閉店
・2017年4月9日:瀬戸店 閉店
・2013年3月31日:新緑店 閉店(有松店として移転)
ファニチャードームについておさらい
ここで改めて、ファニチャードームがどのような企業で、どのような特徴を持っているのかを振り返ってみましょう。
概要
ファニチャードームは100年以上の歴史を持つ老舗家具店。
運営会社はFDベイホールディング株式会社で、以前は「安井家具」という社名でした。
その歴史は古く、1914年(大正3年)に腕利きのタンス職人であった安井治三郎さんが名古屋市で「安井タンス店」を開いたのが始まりです。
かつては「やすいかぐ」の店名で地域に親しまれていましたが、2000年に現在の「FURNITURE DOME」というブランドを立ち上げ、大型店舗へと業態を転換しました。
名古屋市港区金城ふ頭にある本店は、総売場面積5,500坪(約18,150平方メートル)という国内最大級の規模を誇り、「インテリアのテーマパーク」というコンセプトを掲げています。
店内には国内外200社以上のブランドから集められた15,000点以上の商品が並び、家具だけでなく、キッチン用品や生活雑貨、照明器具まで、暮らしに関わるあらゆるアイテムが揃っているのが特徴です。
| 補足情報 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1914年(大正3年)に「安井タンス店」として創業しました。 |
| 運営会社 | FDベイホールディング株式会社(旧社名:安井家具)です。 |
| コンセプト | 「インテリアのテーマパーク」として、見て回るだけでも楽しい売場作りを目指しています。 |
| 品揃え | 家具からインテリア雑貨まで、15,000点以上の豊富な商品を取り扱っています。 |
ファニチャードームに対する独自調査と口コミ一覧
利用者からは、品揃えの豊富さや店舗の広さが高く評価されています。
実際に寄せられた口コミを分析すると、利用者の満足度は非常に高いことがうかがえます。
印象の割合
- ポジティブな印象:85%
- ネガティブな印象:15%
口コミ一覧(抜粋)
Q&A
ファニチャードームに関するよくある質問にお答えします。
- 運営会社はどこですか?
FDベイホールディング株式会社です。以前は「安井家具」という社名で知られていましたが、2023年に社名を変更しました。
- どんなサービスがありますか?
専門のコーディネーターによる無料のインテリア相談サービスや、購入した商品を最長半年間無料で預かってくれるサービス、不要になった家具の有料引き取りサービス、全国配送サービスなど、便利なサービスが充実しています。
- 本店の場所はなぜ金城ふ頭なのですか?
もともと、その場所には大手スーパーのダイエーが運営する会員制ディスカウントストア「Kou’s」がありました。その店舗が撤退した後、建物を居抜きで利用する形でファニチャードーム本店がオープンしたのが始まりです。その後、レゴランド・ジャパンの開業など周辺エリアの再開発に合わせて現在の建物に建て替えられましたが、創業の地とも言える同じ場所で営業を続けているのです。
