宍道湖のほとりで長年愛された握りずしの名店「呉竹鮨松江本店」が、2025年7月29日の昼まで通常どおり営業していたにもかかわらず、同日中に「臨時休業」の張り紙を残して突然閉業しました。
運営会社「株式会社くれたけ」は翌30日に鳥取地裁へ自己破産を申し立て、即日開始決定を受けています。
この記事では、閉店の経緯と倒産理由、そしてその後の見通しまでを、一次情報とニュース報道をもとに丁寧に整理していきます。
長年通ったファンほど「なぜ今、しかもこんなに急に」と胸がざわつく出来事だったのではないでしょうか。
呉竹鮨/松江の閉店はなぜ?倒産理由とは

まず結論からお伝えすると、閉店の直接的な原因は運営会社「株式会社くれたけ」の破産にあります。
閉店と破産開始は別の日付なので、まずは流れを時系列で整理しておきましょう。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年8月 | グループの鳥取店がリニューアル(寿司提供を終了し日本料理店へ) |
| 2024年秋頃 | 松江本店が公式ホームページをリニューアル |
| 2025年7月29日 昼頃 | 松江本店は通常どおり営業(納入業者は「きのうの昼まで営業していた」と証言) |
| 2025年7月29日 | 事業を停止、店頭に「臨時休業」の張り紙。法律事務所が破産を告知 |
| 2025年7月30日 | 鳥取地裁へ自己破産を申し立て、即日破産手続き開始決定(決定は30日付) |
ここで押さえておきたいのは、「閉業(事業停止)=7月29日」「破産手続き開始決定=7月30日」と、日付が分かれている点です。
SNSでは「昨日行ったばかりなのに」「のどぐろがもう食べられないなんて」と、驚きと惜しむ声が一気に広がりました。
納入業者も「きのうの昼まで営業されていて、臨時休業の張り紙がされていた。その後、法律事務所の人が来て『破産することになりました』と告げられた」と語っており、従業員でさえ直前まで知らされていなかった様子がうかがえます。
あまりに急な幕引きに、地元の人々の動揺が伝わってきて、こちらまで胸が締めつけられる思いがします。
では、なぜこのような事態に至ったのでしょうか。
次のようなものが理由として考えられます。
閉店理由1:グループ全体の資金繰りが行き詰まり連鎖的に破産に至ったため

最大の理由は、呉竹鮨単体の不振ではなく、企業グループ全体の経営破綻に飲み込まれた点にあります。
「くれたけ」と同じ企業グループで臨床検査や調剤薬局を手掛ける鳥取市の「エフエムエルサービス」も、あわせて破産開始決定を受けています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 破産した中核会社 | エフエムエルサービス(鳥取市・臨床検査業) |
| 関連会社 | 株式会社くれたけ(鳥取市・飲食業) |
| 負債総額 | 約13億円(帝国データバンク鳥取支店調べ) |
| 事業停止日 | 2025年7月29日 |
| 手続き | 鳥取地裁へ自己破産を申請、30日付で開始決定 |
臨床検査を手がけていたエフエムエルサービスと関連会社の飲食業のくれたけが29日に事業を停止し、鳥取地裁へ自己破産を申請、帝国データバンク鳥取支店によると負債は13億円に上るとみられます。
飲食部門だけを見れば地元で愛される繁盛店であっても、グループの中核である臨床検査・調剤薬局事業が傾けば、資金を融通し合う関係の中で連鎖的に立ち行かなくなります。
今回のように親会社側の破綻が飲食店を巻き込む形は、複数事業を抱えるグループ経営では珍しくなく、名店であっても抗いようがなかったのだろうと感じます。
閉店理由2:飲食・検査・薬局など多角化した事業を短期間で拡大しすぎたため

もう一つ考えられるのが、事業の多角化と拡大のスピードです。
くれたけグループは飲食にとどまらず、幅広い業種へ手を広げていました。
| 展開していた主な事業領域 |
|---|
| 飲食事業(山陰地方で複数店舗を展開) |
| 精肉事業 |
| 臨床検査・クリニック・調剤薬局 |
| フィットネスジム・セルフエステ |
株式会社くれたけは山陰地方で飲食店8店舗、精肉事業1店舗を展開し、グループでは検査・クリニック・調剤薬局・飲食・フィットネスジム・セルフエステなど各業種に幅広く展開していました。
異なる業種を同時に抱えると、一つの部門の不振が全体の資金繰りを圧迫しやすくなります。
呉竹鮨側では鳥取店を2024年8月にリニューアルオープンし、松江本店も公式サイトを刷新するなど前向きな投資を続けていた矢先だっただけに、拡大路線がかえって重荷になった可能性は否めません。
攻めの姿勢が裏目に出たのだとすれば、経営の難しさを改めて突きつけられる事例だと思います。
呉竹鮨の閉店を悲しむ声は多い

閉店の一報が流れると、SNSや口コミサイトには惜しむ声があふれました。
呉竹鮨は評価の高い名店で、食べログでは穴子を「過去一クラス」と評する声や、のどぐろ目当てに訪れる客の投稿が並んでいました。
閉店を報じる投稿への反応を大まかに見た体感では、8割前後が「悲しい・惜しい」という惜別の声で、残りが「驚き」や「経営を心配する声」といった構成でした(あくまで筆者の印象で、正確な集計値ではありません)。
代表的な口コミには、次のようなものがあります。
長く通った常連ほど、味だけでなく店の空気ごと失われる喪失感は大きいはずで、これだけ惜しむ声が集まること自体が名店の証だったのだと感じます。
Q&A
- 呉竹鮨は今後どこかで復活する可能性はありますか?
現時点では未定です。
運営会社が破産手続き開始決定を受けているため、少なくとも「株式会社くれたけ」としての営業再開は困難とみられます。
ただし破産手続きでは店舗や商標などが第三者へ譲渡されるケースもあり、別の運営主体が屋号や職人を引き継ぐ形で再開する可能性はゼロではありません。
公式の続報を待つのが確実です。
- グループの鳥取店(日本料理 呉竹鮨 鳥取店)はどうなるのですか?
鳥取店も松江本店と同じ「株式会社くれたけ」が運営していた店舗です。
鳥取店は2023年8月にオープンし、2024年8月のリニューアルで寿司提供を終えて日本料理店として営業していました。
運営会社そのものが破産開始決定を受けている以上、鳥取店も同様に事業停止・閉業となっている可能性が高いと考えられます。
利用を検討している場合は、来店前に最新の営業状況を必ず確認することをおすすめします。
- 従業員や取引先への影響はどうなりますか?
破産手続きに入ったため、従業員の給与や取引先への未払い分は破産管財人のもとで法的に処理されます。
今回はグループ全体に影響が広がる可能性が指摘されており、納入業者など債権者は今後、債権届出などの手続きを通じて対応を進めることになります。
取引先にとっては突然の事業停止だっただけに、資金回収の面で厳しい局面が予想されます。
