くずはモールは1972年4月のオープン以来、駅チカ立地を活かしてファミリー層からシニア世代まで幅広い集客を続けてきた歴史あるショッピングモールですね。
テナントが閉店するケースが増えると、急激に人が減っているのではと感じてしまうかもしれませんが、リニューアルや契約上の事情が関係しているようです。
くずはモール閉店相次ぐ?閉店ラッシュはなぜ?理由を考察
調査する限り大きく4つの理由がありそうです。
閉店理由1:大規模なリニューアルが行われたため

(出典:KUZUHA MALL)
くずはモールでは2024年など定期的にリニューアルして店舗を刷新しています。
2023年春にもフードマルシェやダイニングストリートを含めた大きな改装を実施。
テナント入れ替えや区画整理が進められ、新ブランド導入やイベントスペースの改良など、刺激的な変更が重なったようです。

(出典:KUZUHA MALL)
大掛かりな更新作業では、従来からあった店舗が撤退や移転をすることがありますよね。
- フードマルシェの新設
本館ミドリノモール1階のフードコート・食物販エリアが「フードマルシェ」としてリニューアル。
店舗数が約1.5倍に拡大し、新規9店舗、リニューアル6店舗の計15店舗がオープン。
スイーツや惣菜などのテイクアウト専門店が新規出店し、外食・中食・内食に対応するマーケットゾーンとして機能。
- SANZEN-HIROBAのリニューアル
京阪電車5000系車両の半両分と2600系車両の先頭部分を復刻展示。
光と音の演出や3Dトリックアートを導入し、鉄道ファンや家族連れが楽しめる空間に。
ワークショップやイベントも随時開催され、来場者が何度でも訪れたくなる施設を目指している。
- ダイニングストリートの環境改善
植栽やテラス席を新設し、緑あふれる癒しの空間にリニューアル。
魅力的なレストランを厳選して新たにラインアップし、特別な日の外食にも対応。
- ライフスタイルショップの拡充
ホビー系ショップや雑貨、コスメ、アパレル店舗の大型化を実施。
新規出店として「アニメイト」「フリークス ストア」「スタンダードプロダクツ」などがオープン。
- 館内設備の改善
ベビールームの新設やトイレのリニューアルを実施し、子育て世代にも配慮。
デジタルサイネージを導入し、館内案内を紙媒体からデジタル化することで利便性を向上.
また、モール全体の売り場を一新することで、より魅力的なショッピングスポットを目指す狙いがうかがえます。
大掛かりな工事は短期間では完了しにくいので、気軽に再契約を結べない店舗が閉店を選ぶ場面もあるのです。

(出典:KUZUHA MALL)
大規模リニューアルによる店舗の移動は、多くの商業施設が同様に経験してきた定番パターンですよね。
くずはモールも、駅前広場やグランドアトリウムといった魅力的な空間をさらに発展させようとしているようで、長期的には集客増加を見込んでいるのではないでしょうか。
閉店理由2:コロナ禍の影響をうけたため
コロナ禍による経営ダメージは、小売業や飲食業など多方面に及びました。
感染拡大防止の観点で時短営業や休業要請がかかり、以下の厚生労働省の資料のように、時短要請などの制限で人の流れが激減した時期もありましたね。

(出典:厚生労働省)
モールを訪れる機会が減れば、当然ながら専門店の売上も下がることになりますよね。
飲食テナントの中には、一時的にテイクアウトやデリバリー強化へ舵を切って粘りを見せたところもありましたが、思うように業績が回復しなかったブランドが閉店を選んだ可能性があります。
とりわけ、観光客や周辺地域以外の利用客を多く取り込んでいた店舗ほど苦戦したのではないでしょうか。
やむをえず撤退する動きが続くと、「閉店ラッシュ」とのイメージが広がりやすいのです。
コロナ禍終息が近づいても、売上がかつての水準に戻るまで時間を要する業種があるのではないでしょうか。
そのため、一部では改装タイミングと重なり、閉店するお店が目立ったのだと思われます。
閉店理由3:物価や人件費の高騰のため
昨今は世界的な物価上昇や為替変動により、原材料価格の上昇や人件費増加が経営を圧迫している印象がありますよね。
衣料品や飲食店だけでなく、サービス業を営む店舗でも、光熱費や物流費の上昇が重い負担になっているようです。
以下のように消費者物価指数は右上がりですね。

(出典:総務省統計局)
モール内の一部ショップでは、商品の販売価格を上げにくい中で仕入れコストだけが急騰し、利益率が低下したケースも見られるのではないでしょうか。
加えて人手不足によるアルバイトの確保難や時給アップが重なれば、出店を続けるメリットが薄れる場面もあるでしょう。
モールという性質上、売上に応じた歩合賃料を支払うテナントは、想定より売上が伸び悩むと店舗維持が難しくなるのです。
一定の期間、耐え忍んだ後で撤退を選ぶ例が出るのは自然な流れではないでしょうか。
閉店理由4:テナントの契約満了のため
モールとテナントの間には契約期間が設定されており、期間終了後に更新するかどうかを双方で検討する流れになりますよね。
リニューアル計画のタイミングや店舗の売上状況などを総合的に見て、更新を辞退するブランドも出てきやすいものです。
契約途中でも撤退する際は違約金などが発生しますが、契約満了時はペナルティをかけずにスムーズに退去できる点が大きいのではないでしょうか。
また、期間限定ショップのようにそもそもの契約期間が短い店舗もありますよね。
セレクトショップが半年程度の出店を繰り返すことで話題を呼ぶケースもありますが、モール内では閉店という形でクローズされるため、閉店ラッシュのように映る可能性があります。
2025年の情報になりますが、以下のようにイベント出展でもかなり費用がかかるため、テナント店はある程度高い費用(定額もしくは売上のO%など)を支払っていたと思われます。
出店場所 | フロア | 面積 | 用途 | 使用料 | 電源 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
ZARA前 | 本館ハナノモール1F | 約37.8㎡ | POP UP STOREのみ | 売上に応じた歩合賃料(要相談) | あり(100V) | シャッターライン上の配置不可 |
アーバンリサーチドアーズ前 | 本館ハナノモール1F | 約7.5㎡ | POP UP STOREのみ | 売上に応じた歩合賃料(要相談) | あり(100V) | シャッターライン上の配置不可 |
ニコアンド横 | 本館ハナノモール2F | 約30㎡ | POP UP STORE・イベント開催 | POP UP STORE: 売上に応じた歩合賃料(要相談) イベント: 平日¥100,000/日 土日祝¥150,000/日 | あり(100V) | CAT端末設置不可 |
モールアベニュー | 本館ミドリノモール1F | 約60.0㎡ | イベント開催のみ | 平日¥150,000/日 土日祝¥200,000/日 | あり(100V) | CAT端末設置不可 |
グランドアトリウム(大) | 本館ミドリノモール1F | 約212.0㎡ | POP UP STORE・イベント開催 | POP UP STORE: 売上に応じた歩合賃料(要相談) イベント: 平日¥400,000/日 土日祝¥600,000/日 | あり(100V) | なし |
グランドアトリウム(小) | 本館ミドリノモール1F | 約80.7㎡ | POP UP STORE・イベント開催 | POP UP STORE: 売上に応じた歩合賃料(要相談) イベント: 平日¥200,000/日 土日祝¥450,000/日 | あり(100V) | シャッターライン上の配置不可 |
ダイエー前 | 本館ミドリノモール1F | 約17.3㎡ | POP UP STORE(食物販)のみ | 売上に応じた歩合賃料(要相談) | あり(100V) | CAT端末設置不可 |
SANZEN-HIROBA前 | 南館ヒカリノモール1F | 約103.0㎡ | POP UP STORE・イベント開催 | POP UP STORE: 売上に応じた歩合賃料(要相談) イベント: 平日¥100,000/日 土日祝¥400,000/日 | あり(100V) | シャッターライン上の配置不可 |
ライトオンファーストレーベル前 | 南館ヒカリノモール2F | 約30㎡ | POP UP STORE・イベント開催 | POP UP STORE: 売上に応じた歩合賃料(要相談) イベント: 平日¥100,000/日 土日祝¥400,000/日 | あり(100V) | なし |
トイザらス・ベビーザらス前 | 南館ヒカリノモール2F | 約16.0㎡ | イベント開催のみ | 平日¥50,000/日 土日祝¥200,000/日 | あり(100V) | CAT端末設置不可 |
先ほどのコロナ禍の影響やオンラインショッピングの需要増などにより、利益率が悪くなれば運営サイドとしては、時代の流れや顧客ニーズを意識しながら、撤退を決意するケースもあるでしょう。
閉店相次ぐ・閉店ラッシュって本当?過去に閉店した店舗一例
過去に閉店した店舗としては次のようなものが挙げられます。
- Chinon(セレクトショップ):2025年3月7日閉店。
- ライトオン ファーストレーベル(アパレル):2025年2月24日閉店。
- TOWERminiくずはモール店(CD・音楽関連):2025年1月9日閉店。
- アディダス オリジナルスショップ(スポーツウェア):2024年1月14日閉店
- ポポンデッタ(鉄道模型):2024年8月20日閉店。
- 幸福飯店(中華料理):2022年12月31日閉店。
- ザ・スーツカンパニー(スーツ・アパレル):2023年1月9日閉店。
- ペットランドピースワン(ペット用品):2023年1月10日閉店。
- off&on KITCHEN(生活雑貨):2023年1月26日閉店。
- HIDEAWAYS(アパレル):2021年1月17日閉店。
- RANDA(レディースシューズ):2021年1月17日閉店。
- THE SHOP TK(アパレル):2021年1月17日閉店。
- JELLY BEANS(シューズ):2021年1月24日閉店。
- バイビームス(アパレル):2021年1月29日閉店。
- 佐世保バーガーカフェ(飲食):2014年5月31日閉店。
- ALGO(ゲームソフト):2014年4月頃閉店。
- コムサデモード(アパレル):2004年3月閉店(松坂屋内)。
- コムサカフェ(カフェ):2004年3月閉店(松坂屋内)。
- 新星堂(CD・音楽関連):2002年9月頃閉店。
くずはモールで閉店相次ぐ…。でも人気な施設ではある!
前章までで触れたように、くずはモールではリニューアルや契約満了など、いくつもの要因が閉店を増やしていると考えられます。
しかし、それがモール自体の魅力を損ねるわけではないでしょうね。
ここでは、依然として人気の理由を深掘りしながら、どのような層に向いているモールなのかを整理していきたいと思います。
人気な理由
くずはモールは大阪府枚方市の京阪本線「樟葉駅」前に位置し、電車でも車でも行きやすい点が強みではないでしょうか。

(出典:KUZUHA MALL)
駐車場の台数も多く、駅直結というアクセスのしやすさがファミリーから若い世代までを呼び込んでいるのです。
館内には、映画館「TOHOシネマズくずはモール」や生活必需品をそろえられるスーパーマーケットのイズミヤ、イオンフードスタイル by ダイエーなどがあり、一日じゅう楽しめる環境が用意されていますね。
百貨店業態の京阪百貨店も隣接しており、食料品やギフトアイテムを多種多様に取りそろえているのです。
ファッション関連も、若者向けブランドから落ち着いた大人向けブランドまで幅広く展開されていますよね。
日常の買い物だけでなく、イベントの季節には催し物を開催することもあり、人々が心躍るシーンが多いのではないでしょうか。

(出典:KUZUHA MALL)
さらにモール内の鉄道車両展示スペース「SANZEN-HIROBA」は、京阪電車の旧3000系や5000系の一部を展示するなど、鉄道好きにも人気のエリアなのです。
近年はデジタル要素を取り入れたイベントなども充実してきており、リニューアルを重ねることでより魅力をアップさせようとする姿勢が感じられますね。
向いている人
くずはモールは、幅広い世代にフィットした商業施設といえるでしょう。
とりわけ週末に家族で過ごす場所を探している人に向いているのではないでしょうか。
映画館やフードコート、大型アパレルがまとまっているため、子ども連れでも移動しやすく退屈しにくい環境なのです。
駅に直結していることから車を持たない若年層にも好評であり、大学生や高校生のグループがショッピングやカフェ巡りを楽しむ姿が多く見られますね。
さらに、南館にはペット関連のお店が出店していたり、レストラン街では和洋中さまざまな食事がそろうなど、余裕をもった構成がうかがえます。
地元の方はもちろん、沿線で他駅に住む人がちょっと足を延ばして訪れるのにもちょうどよい立地ですよね。
項目 | 詳細 |
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所在地 | 〒573-1121 大阪府枚方市楠葉花園町15-1 |
開業日 | 1972年4月1日 |
施設所有者 | 京阪電気鉄道 |
施設管理者 | 京阪流通システムズ |
敷地面積 | 71,500 m²(2005年時点) |
商業施設面積 | 72,000 m² |
中核店舗 | 京阪百貨店、イズミヤ、ダイエー、TOHOシネマズくずはモール |
店舗数 | 236 |
営業時間 |
10:00 – 21:00(専門店・イズミヤ) 10:00 – 20:00(京阪百貨店・ロフトは21:00まで) 9:00 – 24:00(イオンフードスタイルbyダイエー) 11:00 – 23:00(DINING ST.) 10:00 – 23:00(南館レストラン) 9:00 – 24:00(TOHOシネマズくずはモール) |
商圏人口 | 86万人(32万世帯) |
アクセス | 京阪本線 樟葉駅下車すぐ |
公式HP | くずはモール公式サイト |