多くの人が日常的に利用するマクドナルドで、長年親しまれてきたdポイントと楽天ポイントのカード提示によるサービスが2024年1月14日に終了しました。
この変更に「なぜ?」「もうポイントは使えないの?」と戸惑いの声が多く上がっているのが現状で、現金払いのついでにポイントを貯めていた方にとっては、驚いたことでしょう。
本記事では、なぜマクドナルドがdポイント・楽天ポイントのサービスを終了したのか、その背景にある専門的な理由を3つの視点から深く掘り下げて解説します。
マクドナルドdポイント終了なぜ?支払いできない理由は?

多くの人に愛されてきたポイントサービスがなぜ終了してしまったのでしょうか。
日本マクドナルド株式会社は公式な理由として「お客様の利便性や分かりやすさに向けた取り組みとして、一部を整理させていただいた」と説明していますが、この言葉の裏には、実はもっと深い戦略的な理由が隠されているように思います。
決済体験の迅速化と店舗オペレーションの効率化のため

一つ目の理由は、お客様のレジでの待ち時間を短縮し、お店の人の働き方をよりスムーズにするため、と考えられます。
マクドナルド、特にお昼時や週末の店舗、そしてドライブスルーは、いつも長い行列ができていますよね。
あの行列に並んでいる時、「早く自分の番が来ないかな」と感じた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
これまでの会計では、「ポイントカードはお持ちですか?」という確認や、お客様がカバンや財布からカードを探す時間、そしてカードを読み取る時間など、一つひとつは小さな時間でも、積み重なると全体の待ち時間に大きく影響していました。

このやり取りがなくなることで、注文から支払い、商品受け取りまでの一連の流れが格段にスピードアップすることが期待できるのです。
ドライブスルーでは、後ろに車が連なっているプレッシャーの中で、少しでも会計がスムーズに進むことは、利用者にとっても大きなメリットだと思います。
また、お店で働くクルーの視点に立つと、この変更はさらに大きな意味を持っていて、お客様が会計を済ませた後に「あ、ポイントカードがあったんだった!」と提示されるケースも少なくなかったようです。
このような場合、一度完了した会計をキャンセルして、もう一度ポイント処理を含めてやり直す必要がありました。
これは非常に手間がかかる作業で、他のお客様を待たせてしまう原因にもなります。
こうした細かな作業負担がなくなることは、クルーのストレスを減らし、より接客や商品提供に集中できる環境を作ることにつながるため、結果として、お店全体のサービス品質が向上し、私たち利用者の満足度も高まるという、良い循環が生まれることが期待されているのだと思います。
| 比較項目 | これまでの会計(ポイントカード提示あり) | 今後の会計(コード決済中心) |
|---|---|---|
| 会計時の会話 | 「ポイントカードはお持ちですか?」という確認が発生します。 | 支払い方法の確認だけで済み、シンプルになります。 |
| お客様の行動 | 財布やスマホからポイントカードを探して提示する必要がありました。 | スマホで決済コードを準備しておくだけで大丈夫です。 |
| レジでの作業 | 注文入力、ポイントカードのスキャン、決済処理の3ステップが必要でした。 | 注文入力と決済処理の2ステップで完了することが多いです。 |
| 時間的メリット | やり取りが増える分、一人当たりの会計時間が長くなる傾向にありました。 | 会計がスムーズに進み、行列の緩和が期待できます。 |
決済システムとポイントプログラムの統合によるコストとデータ管理の最適化のため

二つ目の理由は、これまで別々だった「支払い」と「ポイント」の仕組みを一つにまとめることで、コストを削減し、お客様の情報をより有効に活用するため、と考えられます。
以前は、例えば「支払いはクレジットカード、ポイントはdポイントカードで」というように、決済とポイント付与が別々のシステムで行われていました。
これはマクドナルド側から見ると、クレジットカード会社に支払う決済手数料とは別に、dポイントや楽天ポイントといった共通ポイントの加盟店として、ポイントシステム利用料(手数料)も支払う必要がある状態で、二重にコストがかかっていた可能性があるのです。
しかし、2023年10月2日から、店頭でも「d払い」や「楽天ペイ」といったコード決済が使えるようになりました。
これらの決済方法を使えば、支払いと同時にdポイントや楽天ポイントが自動的に貯まる・使える仕組みになって、マクドナルドは複数のポイントシステムを個別に維持・管理する必要がなくなり、システム関連のコストを大きく削減できるようになったのです。
この変更には「顧客データの管理」という、もっと戦略的な狙いがあるように思います。

これまでは、「誰が(クレジットカード利用者)」「何を買ったか(POSレジの販売データ)」という情報と、「誰が(dポイント会員)」「ポイントを貯めたか」という情報が、別々に管理されていたようで、一人のお客様の行動を正確に追うことが難しかったかもしれません。
しかし、d払いのようなコード決済に統合されることで、「Aさん(d払いのアカウント)が、いつ、どの店舗で、何を購入し、何ポイント獲得したか」という一連のデータが、一元的に、そして非常に高い精度で把握できるようになります。
こうした質の高いデータを活用すれば、例えば「いつもてりやきマックバーガーセットを買うお客様に、新商品のチキンバーガーの割引クーポンをアプリで配信する」といった、一人ひとりに合わせたきめ細やかなマーケティングが可能になります。
マクドナルドが今後、よりお客様との関係を深めていくための重要な布石だと言えるでしょう。
| 項目 | 変更前(~2024年1月14日) | 変更後(2024年1月15日~) |
|---|---|---|
| dポイント獲得方法 | dポイントカードを提示する必要がありました。 | 「d払い」で支払うことで自動的に貯まります。 |
| 楽天ポイント獲得方法 | 楽天ポイントカードを提示する必要がありました。 | 「楽天ペイ」で支払うことで自動的に貯まります。 |
| ポイント二重取り | クレカ払い+ポイントカード提示で可能でした。 | 基本的にコード決済に紐づくポイントのみになります。 |
| データ管理 | 決済情報とポイント会員情報が別々に管理されていた可能性があります。 | 決済とポイント情報が統合され、顧客理解が深まります。 |
自社アプリ(モバイルオーダー)への顧客誘導と独自顧客基盤の強化のため

三つ目の理由は、マクドナルドが提供する便利な「モバイルオーダー」の利用者を増やし、他社のポイントサービスへの依存から脱却して、自社の顧客基盤を強化するため、と考えられます。
実は、今回のサービス変更以前から、マクドナルドの公式アプリを使った「モバイルオーダー」では、d払いなどのコード決済を利用することができましたが、店頭でのポイントカード提示によるポイント付与は、このモバイルオーダーでは対象外だったのです。
つまり、モバイルオーダーの利便性は高いものの、ポイントカードを使いたい人は店頭に並ぶしかない、という状況がありました。
今回の変更で、店頭でのポイントカード提示という選択肢がなくなりました。
これにより、「dポイントや楽天ポイントを貯めたい・使いたい」と考える人は、必然的にd払いや楽天ペイといったコード決済を使うことになります。

そして、これらのコード決済は、事前にスマホで注文と支払いを済ませて、お店では商品を受け取るだけの「モバイルオーダー」と非常に相性が良いのです。
マクドナルドとしては、この機会に、より多くの人にモバイルオーダーの快適さを体験してもらい、利用を習慣化させたいという狙いがあるのだと思います。
モバイルオーダーの利用者が増えれば、店頭の混雑はさらに緩和され、店舗運営もより効率的になります。
マクドナルドが「自社の経済圏」を築こうとしている、ということで、dポイントや楽天ポイントは非常に便利なサービスですが、これらはあくまでNTTドコモや楽天グループが提供するプラットフォームです。
マクドナルドは、これらの共通ポイントへの依存度を下げ、自社の公式アプリを顧客との最も重要な接点(ハブ)にしたいと考えているのではないでしょうか。

アプリの利用者が増え、モバイルオーダー経由の注文が増えれば、マクドナルドは顧客の注文履歴や好みのデータを直接、大量に蓄積できます。
この独自のデータを分析することで、新商品の開発や、より一人ひとりの心に響くキャンペーンの企画が可能になります。
他社のプラットフォームに頼ることなく、マクドナルド独自の力で顧客との強い絆を築いていくための、非常に重要な一歩だと言えるのです。
| 注文方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 店頭注文 | 現金や多様な決済方法が使える手軽さがあります。 | 混雑時には長い時間待つことがあります。 |
| モバイルオーダー | 事前決済で待たずに受け取れ、d払いなども利用可能です。 | スマホアプリの操作に慣れる必要があります。 |
| マックデリバリー® | 自宅やオフィスに届けてもらえて便利です。 | 最低注文金額が設定されている場合があります。 |
支払いできない理由は?

「dポイントサービスが終了したから、もうマクドナルドでdポイントは使えないんだ…」と誤解している方がいらっしゃるかもしれませんが、それは少し違います。
正しくは、「dポイントカードを提示してポイントを使ったり貯めたりすることができなくなった」だけで、「dポイントを使って支払うこと」が完全にできなくなったわけではありません。(2025年時点)
では、どうすればdポイントで支払いができるのでしょうか?答えは、「d払い」アプリを使うことです。
d払いはNTTドコモが提供するスマホ決済サービスで、このアプリの中で「dポイントを利用する」という設定をONにしておけば、お会計の際にdポイントを支払いに充当することができるのです。
つまり、これまでは「ポイントカード」という物理的な(あるいはアプリ上の)カードを見せることでポイントを使っていましたが、これからは「d払い」という決済手段を通してポイントを使う、という形に変わったのです。
モバイルオーダーでも、店頭でのd払いでも、この方法でdポイントを利用できますので、安心してくださいね。
| 支払いシーン | dポイント利用の可否 | 支払い方法と注意点 |
|---|---|---|
| 店頭でdポイントカードを提示 | × 利用できません | 2024年1月14日でサービスが終了しました。 |
| 店頭で「d払い」を利用 | ○ 利用できます | d払いアプリで「ポイント利用」をONにする必要があります。 |
| モバイルオーダーで「d払い」を利用 | ○ 利用できます | 支払い方法選択時にd払いを選び、ポイント利用設定を確認します。 |
| マックデリバリー®で「d払い」を利用 | ○ 利用できます | モバイルオーダーと同様に、支払い方法でd払いを選択します。 |
Q&A
ここでは、マクドナルドのdポイントに関するよくある質問や、少し踏み込んだ疑問についてお答えします。
- dポイントカードや楽天ポイントカードは、もうマクドナルドで全く使えないのですか?
はい、その通りです。2024年1月14日をもって、全国のマクドナルド店舗でdポイントカードや楽天ポイントカードを提示してポイントを貯めたり、使ったりするサービスは完全に終了しました。これまでのように、お会計の際にカードやアプリのバーコードを見せても、ポイントの処理はできなくなっていますのでご注意ください。
- では、どうすればdポイントや楽天ポイントを貯めたり使ったりできるのですか?
ポイントを貯めたり使ったりする方法は残されています。dポイントの場合はスマホ決済の「d払い」、楽天ポイントの場合は同じく「楽天ペイ」を使って支払いをすることで、これまで通りポイントを貯めたり、支払いに使ったりすることができます。支払い方法がポイントカードの提示から、特定のコード決済に変わった、と理解すると分かりやすいと思います。
- d払いを使えば、どんな支払い設定でも必ずdポイントが貯まるのですか?
いいえ、ここが少し注意が必要なポイントです。d払いでdポイントを貯めるには、d払いの支払い方法を「電話料金合算払い」「d払い残高からの支払い」「dカードからの支払い」のいずれかに設定している必要があります。例えば、d払いの支払い元にdカード以外の一般のクレジットカード(VisaやMastercardなど)を登録して支払った場合、d払いの決済ポイント(通常200円で1ポイント)は付与されない対象外となってしまうのです。dポイントを確実に貯めたい場合は、ご自身のd払いの設定を一度確認してみることをおすすめします。
- 今回のサービス変更で、現金払いの人は完全にポイントが貯められなくなったということですか?
はい、残念ながらその通りです。これまでは、現金で支払う際にdポイントカードや楽天ポイントカードを提示すれば、ポイントを貯めることができました。しかし、そのサービスが終了したため、現金払いではdポイントや楽天ポイントを貯める手段がなくなってしまいました。この変更は、マクドナルドがお店の効率化やデータ活用のために、キャッシュレス決済の利用をより一層推進していきたい、という姿勢の表れと考えることもできるでしょう。








