松前屋は、創業から100年以上にわたり多くの人々に愛されてきた老舗昆布メーカーです。
しかし、2024年10月1日、全店舗の閉店が発表され、驚いた方も多いはず。
この閉店の背景にはどのような要因があったのでしょうか。
松前屋の閉店理由は?なぜ廃業?異業種に買収された背景とは
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(出典:松前屋)
松前屋の閉店には、経済的な問題だけでなく、社会的な変化や業界特有の課題が絡み合っています。
昆布需要の減少や原材料費の高騰、職人不足といった要因が重なり、事業継続が困難となったのです。
廃業後は食品ではない異業種に買収され、立て直しを図っているようです。
ここからはそんな全店閉店に至った理由、買収された背景を調査します。
理由1:昆布需要の低下のため
松前屋が閉店に至った背景の一つに、昆布需要の低下があります。
日本の食文化において昆布は長らく欠かせない食材でしたが、近年、食文化の多様化や若年層の食生活の変化により、その需要が減少しています。
もちろん愛用者が高齢者になり、亡くなったりなど利用が減ったことも大きな原因です。
また、家庭で昆布出汁を取る代わりに、簡便な調味料や即席の出汁パックが普及してきています。
さらに、外食産業でも昆布を使用しない料理が増加し、需要の低下に拍車をかけています。
その影響は、松前屋のような伝統的な昆布メーカーにも大きく波及しました。
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(出典:松前屋)
同社が誇る商品「とこわか」や「松ヶ枝」などは高品質でありながらも、高価格帯の商品であったため、需要減少の影響を特に強く受けたと考えられます。
昆布業界だけではなく以下のような業界も閉店・廃業するケースが多いです。
また、若年層をターゲットとした商品展開の不足や、健康志向を活用した新商品の開発が遅れたことも、市場競争力を弱める要因となりました。
理由2:原料や人件費の高騰のため
近年、食品業界全体で原材料費と人件費が高騰しています。
松前屋も例外ではなく、北海道産真昆布などの高級原料を使用しているため、そのコスト増加が事業継続を困難にしました。
特に、近年の円安や輸送費の上昇が大きく影響しており、それにより製品価格の引き上げを余儀なくされました。
しかし、消費者の購買意欲の低下も重なり、価格転嫁が進まず利益率が低下したことが閉店の要因の一つと言えます。
また、製造過程で高い技術力を必要とする商品の多さから、人件費の負担も重くのしかかりました。
他社では以下の例があります。
これに加え、コロナ禍以降の物流の混乱も、原材料調達の課題を増幅させ、経営の継続性に影響を与えました。
さらに、他業界での労働需要の増加により、食品製造業への人材流入が減少したこともコスト上昇の一因とされています。
理由3:職人不足のため
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(出典:松前屋)
伝統工芸や食品業界に共通する課題として、後継者不足が挙げられます。
松前屋でも、昆布加工に熟練した職人が高齢化し、若手の職人育成が進まなかったことが経営に影響を及ぼしました。
特に、同社が製造していた「昆布の水塩」や「とはに」といった商品は、独自の技術や長年の経験に基づく製造工程が必要でした。
そのため、熟練した職人がいなければ、品質を維持することが難しかったのです。
この課題を克服できないまま、経営環境の悪化に繋がったと考えられます。
また、地域全体で若者の流出が進み、伝統産業の後継者不足がさらに深刻化している現状も見逃せません。
松前屋も例外ではなく、地域社会の構造的な変化に対応するのが難しかったと言えます。
松前屋の過去の閉店店舗の動向
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(出典:松前屋)
松前屋の閉店は突然の出来事ではなく、数年前からその兆候が見られていました。以下にその動向をまとめます。
閉店店舗の動向
松前屋は2024年10月1日に全店を閉店しましたが、その前にもいくつかの店舗が閉店していました。
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2023年ごろにはある程度、閉店や廃業予定はあったと思われます。
歴史のある店舗が閉店してしまうのは日本文化が失われるようで悲しいですね。
閉店を悲しむ声は多い
松前屋の閉店により、多くの顧客が悲しみの声を上げています。
特に、「とこわか」や「松ヶ枝」など、松前屋の象徴的な商品が購入できなくなることを惜しむ声が聞かれます。
SNSやブログには、「子供の頃から食べていた商品がもう買えなくなるのは寂しい」「松前屋の昆布が日本一だと思っていた」といった投稿が多く見受けられます。
また、地域に密着したブランドとして、地元の人々にとっては心の拠り所でもあっただけに、その喪失感は大きいものとなっています。
今後は債務整理や事業の立て直しなど色んな動きがあると思いますが、調査する限り実店舗での運営というよりも卸業やオンラインショッピングを中心に再開する可能性はありそうですね。