多くの親子に愛され、温かみのある木のおもちゃや「しろたん」「うさもも」といった可愛いキャラクターで人気を博したマザーガーデン。
その優しい世界観は、子どもだけでなく大人たちの心も掴んできましたが、近年「閉店」のニュースを耳にすることが増え、ファンからは寂しさや不安の声が上がっています。
一体なぜ、あれほど人気だったマザーガーデンの店舗が次々と姿を消しているのでしょうか。
マザーガーデンの閉店なぜ?理由はOO?

長年、ショッピングモールのキッズエリアの象徴的な存在だったマザーガーデンの閉店が相次いでいる背景には、単一ではない、いくつかの複合的な要因が考えられます。
物価や人件費、光熱費の高騰のため
まず考えられる最も大きな理由は、近年の経済状況の急激な変化です。
マザーガーデンのような実店舗を主体とする小売業にとっては、運営コストの増加が経営を直接圧迫する大きな要因となったと思われます。
マザーガーデンの主力商品である木製のおもちゃは、その品質を維持するために、原材料となる木材や安全な塗料が不可欠ですが世界的な物価高騰の波は、これらの原材料費を直撃しました。
さらに、商品を製造し、店舗まで届けるための輸送費も上昇していて、商品の原価を押し上げる要因となるのです。
加えて、店舗を運営するための固定費、つまり人件費や光熱費の上昇も深刻な問題で、スタッフを雇用するための費用は年々増加傾向にあり、さらに電気代やガス代といった光熱費も高騰を続けています。
これらのコストは、商品を売っても売らなくても発生するため、店舗の収益性を著しく低下させるのです。
| 比較項目 | 2010年代後半 | 2020年代中盤 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 原材料費(木材・塗料) | 比較的安定していました。 | 大幅に上昇していると考えられます。 | 世界的な供給網の混乱も影響していると思われます。 |
| 人件費(最低賃金) | 全国平均で時給800円台でした。 | 全国平均で時給1,000円を超えています。 | スタッフの確保と定着のためのコストは増大しています。 |
| 店舗光熱費 | 現在と比較すると安価でした。 | 2倍近く高騰しているケースも珍しくありません。 | 特に商業施設の空調費などが経営を圧迫します。 |
このようなコスト増に対して、商品の価格を単純に引き上げることは簡単ではありません。
子育て世代をメインターゲットとするマザーガーデンにとって、大幅な値上げは顧客離れに直結するリスクがあります。
値上げを躊躇すれば利益が減り、経営が苦しくなる。かといって値上げをすれば、客足が遠のくかもしれない。
このジレンマが、多くの店舗を閉店という苦渋の決断に追い込んだ大きな理由の一つだと考えられるのです。
市場の変化に対応できなかったため

玩具市場のトレンド変化とターゲット層の価値観の多様化に対応しきれなかったため。
マザーガーデンが全盛期だった2000年代は、「キャラクター」と「ごっこ遊び」が子どもの玩具の主流で、ピンク色を基調としたイチゴ柄のキッチンセットに代表されるような、統一感のある「かわいい」世界観は、多くの女の子とその親の心を掴みましたが、時代は移り変わり、現代の玩具市場は大きく変化しています。
近年、注目されているのは「知育玩具」や「STEM教育(科学・技術・工学・数学)」に関連するおもちゃです。
プログラミング的思考を養う玩具や、創造性を刺激するシンプルなデザインの積み木などが人気を集め、親が子どもに与えたい玩具の選択肢は格段に多様化しました。
マザーガーデンのような、特定のデザインやキャラクターに強く依存した商品は、この新しいトレンドの中で、ややニッチな存在になってしまった可能性があります。
また、子育て世代の価値観も変化していて「女の子だからピンク」「男の子だからブルー」といった固定観念は薄れ、ジェンダーレスなデザインや、子どもの個性を尊重する傾向が強まっています。
マザーガーデンの持つ、ある意味で完成された「女の子の夢」のような世界観が、現代の多様な親子関係の中では、必ずしも全ての層に響かなくなったことも一因かもしれません。
| 比較項目 | 2000年代の玩具トレンド | 2020年代の玩具トレンド | マザーガーデンへの影響 |
|---|---|---|---|
| 人気のジャンル | キャラクターグッズ、ごっこ遊びが中心でした。 | 知育、STEM、プログラミング玩具が台頭しています。 | 相対的に市場シェアが縮小した可能性があります。 |
| デザインの傾向 | 性別による色分けが顕著でした(女の子=ピンクなど)。 | ジェンダーレス、ナチュラル、シンプルなデザインが好まれます。 | ブランドの核となるデザインが一部の層に限定されたかもしれません。 |
| 親の購入動機 | 子どもが欲しがるキャラクター商品が中心でした。 | 子どもの将来の役に立つか、という教育的視点が重視されます。 | 「かわいい」だけでは購入の決め手になりにくくなったと思われます。 |
このような市場の変化に対し、マザーガーデンも「しろたん」のような性別を問わないキャラクターを投入するなどの努力を続けてきましたが、ブランド全体のイメージを転換させるまでには至らず、結果として実店舗の集客力が徐々に低下し、閉店につながったと考えられます。
オンライン販売への移行のため
オンライン販売への移行と、実店舗の役割が変化したため。
マザーガーデンの店舗閉店の告知を見ると、その多くで公式オンラインショップへの案内が併記されています。
これは、運営会社であるクリエイティブヨーコが、ビジネスの主軸をコストのかかる実店舗から、より効率的なオンライン販売へとシフトさせている戦略の表れと見て間違いないでしょう。
実店舗の運営には、前述した家賃や人件費、光熱費といった莫大な固定費がかかります。
マザーガーデンが多く出店していたイオンモールなどの大型商業施設は、賃料も高額です。
売上が伸び悩む中でこれらのコストを払い続けることは、企業にとって大きな負担となります。一方で、オンラインストアであれば、物理的な店舗は不要で、より少ない人員で全国の顧客に商品を届けることが可能です。
この戦略転換は、現代の消費者の購買行動の変化にも合致していてスマートフォンが普及し、Amazonや楽天市場といったECモールで気軽に買い物ができる現在、わざわざ店舗に足を運ばなくても商品を購入できる利便性は、多くの人にとって魅力的です。
しかし、このオンラインシフトが必ずしも成功の保証とはならないのが難しいところで、オンラインの世界は競争が激しく、自社の公式サイトだけで集客するのは容易ではありません。
そのため、楽天やAmazonなどの大手プラットフォームにも出店していますが、そこでは販売手数料が発生し、価格競争にも巻き込まれやすくなります。
| 比較項目 | 実店舗運営 | オンラインストア運営 | 課題 |
|---|---|---|---|
| 主なコスト | 家賃、人件費、光熱費、内装費などです。 | サーバー維持費、広告宣伝費、送料、梱包材費などです。 | オンラインでも広告費や送料が利益を圧迫することがあります。 |
| 顧客接点 | 商品を直接見て触ってもらえるのが強みです。 | 全国どこからでも購入できるのが強みです。 | 商品の質感や温かみが伝わりにくいという弱点があります。 |
| 役割の変化 | かつては販売の主戦場でした。 | 現在は販売の主軸となりつつあります。 | 実店舗はブランドの世界観を伝えるショールーム的な役割が求められます。 |
店舗一覧
ファンにとって非常に残念なことですが、ここ数年で多くのマザーガーデンの店舗が閉店しています。
判明しているだけでも、以下のような店舗が営業を終了しました。
- 2011年9月11日:イオンモール鈴鹿ベルシティ・マザーガーデン 閉店
- 2011年9月25日:マザーガーデン 那須ガーデンアウトレット 閉店
- 2012年8月21日:マザーガーデンイオン水戸内原店 閉店
- 2013年1月14日:マザーガーデン&ペットパラダイスイオン盛岡南店 閉店
- 2020年8月8日頃:しろたんフレンズパーク アリオ蘇我店 閉店
- 2022年1月23日:マザーガーデン ゆめタウン久留米店 閉店
- 2023年8月16日:マザーガーデン さいたまコクーン新都心店 閉店
- 2023年8月16日:マザーガーデン&ペットパラダイス イオンモール広島府中店 閉店
- 2025年2月24日:マザーガーデン イオンモール姫路大津店 閉店
- 2025年5月17日:マザーガーデン モザイクモール港北店 閉店
- 2025年8月24日:マザーガーデン&ペットパラダイス イオンモール岡崎店 閉店
- 時期不明:Mother Garden (アメリカ・ニューヨーク州ウエストナイアック) 閉店
これらはあくまで一部であり、全国各地で店舗の整理が進んでいることがうかがえます。
閉店セールが行われることも多く、その情報を聞きつけて最後の来店をするファンも少なくないようです。
マザーグースの森との違い
「マザーガーデン」と聞いて、古くからのファンの中には「マザーグースの森」という名前を思い出す人もいるかもしれません。
この二つのブランドは、実は密接な関係にあり、運営会社であるクリエイティブヨーコが1981年に最初に立ち上げたのが「マザーグースの森」ブランドなのです。
「マザーグースの森」は、ひよこ(ぴよちゃん)やカエルなどのキャラクター雑貨を中心に展開。
その後、ブランドの多角化の中で、よりロマンチックでガーリーな世界観を持つ「マザーガーデン」が誕生し、木のおままごとシリーズなどが大ヒットしました。
一時期は両方の名前の店舗が存在していましたが、時代の流れとともにブランドイメージが統合され、現在では主に「マザーガーデン」として展開されています。
「マザーグースの森」は、楽天のネットショップ名や、一部商品のシリーズ名としてその名前を残しているようです。
| 項目 | マザーグースの森 | マザーガーデン |
|---|---|---|
| 立ち上げ時期 | 1981年に事業を開始しました。 | 「マザーグースの森」から派生・発展したブランドです。 |
| ブランドコンセプト | ひよこやカエルなどのキャラクターを中心としたファンシー雑貨がメインでした。 | 「野いちご」シリーズに代表される木のおままごとや、親子で楽しめる「なごみ」雑貨がコンセプトです。 |
| 主要キャラクター | ぴよちゃん、カエルくん、ラッテちゃん(ひつじ)など、素朴なキャラクターが多かったです。 | しろたん、うさもも、野いちごなど、より洗練され、世界観が作り込まれたキャラクターが中心です。 |
| 現在の状況 | ブランドとしては「マザーガーデン」に統合された形です。一部オンラインショップ名や商品名に残っています。 | 現在の主力ブランド名です。実店舗、オンラインストアで展開しています。 |
つまり、「マザーグースの森」は「マザーガーデン」の原点であり、兄貴分のような存在だったのです。
昔の「マザーグースの森」の商品を探している方は、フリマアプリなどで見つけることができるかもしれません。
向いている人
多くの店舗が閉店しているとはいえ、マザーガーデンの魅力が色褪せたわけではありません。
その世界観は、特定の人々の心を強く惹きつけ続けています。
以下のような方には、今もマザーガーデンの商品がぴったり合うはずです。
- 温かみのある木製のおままごとセットを探している人
- 「かわいい」が詰まった世界観が好きな親子
- しろたん、うさもも、野いちごといったキャラクターのファン
- 子どもへのプレゼントに、長く使える質の良い玩具を選びたい人
- 平成レトロ感のあるファンシーな雑貨が好きな人
- 子どもの感受性や想像力を育むおもちゃに興味がある人
Q&A
マザーガーデンに関して、多くの人が抱く疑問や、さらに深く知りたいニッチな質問についてお答えします。
- マザーガーデンはもう全店舗なくなってしまったのですか?
いいえ、全ての店舗が閉店したわけではありません。確かに多くの店舗が閉店しましたが、2025年9月現在も、全国のショッピングモールなどで営業を続けている店舗は存在します。ただし、その数は減少傾向にあるため、お近くの店舗に行く際は、事前に公式サイトの店舗リストで営業しているか確認することをおすすめします。また、ビジネスの中心は公式オンラインストアやオンワード・クローゼット、楽天市場などのオンライン販売に移っています。
- マザーガーデンの商品は、今どこで買えますか?
現在、マザーガーデンの商品は主に以下の場所で購入することができます。
- 実店舗: イオンモールやアウトレットモール内などに、まだ営業している店舗があります。
- 公式オンラインストア: クリエイティブヨーコの公式サイトが最も品揃えが豊富です。
- オンワード・クローゼット: 親会社であるオンワードの公式通販サイトでも取り扱いがあります。
- 大手ECモール: 楽天市場やAmazonにも公式ショップが出店しています。
- フリマアプリ: メルカリやeBayなどでは、過去の商品や希少なアイテムが見つかることもあります。
- 「マザーグースの森」時代のレトロな商品を手に入れる方法はありますか?
「マザーグースの森」時代の、ぴよちゃんやカエルくんといったキャラクターグッズは、現在では新品で手に入れることは非常に困難です。主な入手方法は、メルカリ、ヤフオク、eBayといった個人間取引のプラットフォームになります。当時のファンが大切に保管していたものが出品されることがあり、思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれません。ただし、希少価値から高値で取引されていることも少なくないので、探す際は根気が必要です。
- なぜ「マザーガーデン」と犬の服を売っている「ペットパラダイス」が一緒の店舗になっていることが多いのですか?
それは、両方のブランドを同じ「株式会社クリエイティブヨーコ」という会社が運営しているからです。ショッピングモールなどに出店する際、二つの異なるジャンルのブランドを併設することで、より幅広い客層にアプローチできるというメリットがあります。「子どものものを見に来た親」と「ペットのものを探しに来た飼い主」の両方をターゲットにできるため、店舗の集客力と売上効率を高めるための戦略なのです。この組み合わせは、同社の店舗戦略の大きな特徴の一つと言えますね。
- 日本の「かわいい」文化の象徴のようなブランドですが、海外での展開はどうなっているのですか?
非常に良い質問ですね。過去には、アメリカのニューヨーク州に実店舗があった記録がありますが、現在は閉店しています。しかし、ブランドが海外から完全に撤退したわけではありません。例えば、シンガポールやインドネシアでは、現地の会社が正規代理店としてマザーガーデンの商品を取り扱っています。主にオンラインでの販売が中心のようですが、日本の「Kawaii」文化の代表として、海外にも根強いファンが存在していることがうかがえます。特に木製のおままごとセットは、その精巧さとデザイン性の高さから、国境を越えて評価されているようです。
