2025年3月末、大阪・西梅田の名店「モード ディ ポンテベッキオ」が静かに幕を下ろしました。
本記事では、閉店に至った理由や跡地の行方、そして惜しまれる声について徹底的に紹介・考察していきます。
モード ディ ポンテベッキオ閉店なぜ?ダサい?閉店理由を調査・考察

(出典:ポンテベッキオ)
約25年間続いた人気イタリアンレストラン「モード ディ ポンテベッキオ」。(2000年7月7日オープン)
西梅田という好立地、30階の開放的なフロア、美しい夜景を望める空間で提供される本格料理と上質なサービス。
にもかかわらず、なぜ閉店という選択に至ったのでしょうか。
その背景には、経済的・社会的な要因が複雑に絡み合っているようです。
閉店理由1:コロナ禍の影響を受けたため
モード ディ ポンテベッキオの閉店理由として、まず大きな要因とされているのが新型コロナウイルスによる経済的影響です。
以下は内閣府のデータですが飲食店の売り上げは激減しました。

(出典:内閣府)
2020年以降、飲食業界全体が未曾有の苦境に立たされた中で、同店も例外ではありませんでした。
オーナーシェフの山根大助さんは、閉店の案内文で「コロナ禍の厳しい状況下にも一切スタッフを切らず、クオリティを落とさずに営業を続けた」と述べています。
感染対策による席数制限、営業時間短縮、客足の大幅減少は、高級レストランにとってとても大きなダメージだったと思われます。
加えて、同店は2000年にスタートし、2009年には全面改装を経て30階ワンフロアを使うラグジュアリーな空間へと進化しました。
こうした設備維持のための固定費は高額であり、それがコロナ禍による売上減少と直結し、長期的な経営圧迫につながったと考えられます。
しかも、スタッフの雇用を守りながら、毎月メニューを更新し、ワインイベントや料理講習会といった独自の企画も継続していたのです。
その姿勢は評価されるべきものですが、経営的には相当なリスクを抱えていたことになりますね。
SNS上でも、こうした声が散見されていました。
努力を惜しまなかったことが、利用者にも伝わっていたようです。
閉店理由2:人件費や食材の高騰で赤字に陥ったため
モード ディ ポンテベッキオが掲げていたのは、イタリアンの真髄を体験できる特別な食空間です。
2025年3月までの最終メニューでも、キャビアや黒トリュフ、ホタルイカ、モリーユ茸といった高級食材が多数使われていました。
このような高級食材の原価は特に年々上昇しており、それに加えて人件費も増加傾向にあります。
また、以下の厚生労働省のグラフでもわかりますが、人件費も右肩上がりですよね。

(出典:厚生労働省)
高度な料理技術やソムリエサービスを提供できる人材を確保するには、十分な待遇が求められるため、人件費の占める割合はかなり高かったと見られます。
同店のディナー「モード25年感謝コース」は20,000円(税込・サービス料込)で提供されており、素材の質を見れば決して高すぎるとは言えません。
しかし、運営側としてはそれでも採算が取りづらい状況だったと推察されます。
30階の高層階レストランということで、維持管理費やビル側との契約面でもコストが嵩んでいたことは想像に難くありません。
これらが積み重なり、いかに人気があっても、経営的には持続困難な状態に陥っていた可能性が高いです。
また、昨今はカジュアル志向が強まる中で、大型高級レストランは苦戦を強いられる場面が増えてきました。
ポンテベッキオグループとしては、今後は北浜本店やエキ店など、より柔軟なスタイルの店舗に経営資源を集中していく選択に舵を切ったようです。
口コミサイトにも、こうした惜別の声が多く寄せられていました。
料理と空間、そして思い出が一体となった価値が、愛されていた証拠です。
イタリアン・ジュエリーなど名前が似た店舗も過去に閉店
「ポンテベッキオ」と聞くと、イタリア・フィレンツェにある有名な橋を思い浮かべる人も多いでしょうが、日本ではその名を冠するブランドや店舗もいくつか存在していました。
ジュエリーブランド「ポンテヴェキオ」は、大丸神戸店や横浜高島屋店、京都や千葉、広島の百貨店などで展開されていましたが、近年は相次いで閉店しています。
- モード ディ ポンテベッキオ(西梅田店): 2025年3月31日閉店。
- テアトロポンテベッキオ堺: 2024年3月28日閉店。
- ポンテヴェキオ LOTTE DUTY FREE WORLD TOWER DOWNTOWN店: 2024年8月10日閉店。
- ポンテヴェキオ 大丸神戸店: 2022年8月30日閉店。
- ポンテヴェキオ 大丸京都店: 2024年9月1日閉店。
- ポンテヴェキオ Amazon店: 閉店済み。※時期不明
- ポンテヴェキオ 横浜髙島屋店: 2023年6月30日閉店。
- ポンテヴェキオ そごう千葉店: 2018年4月30日閉店。
- ポンテヴェキオ そごう広島店: 2019年2月28日閉店。
飲食業とは異なる業態ですが、「高級」「特別感」「イタリアとのつながり」をコンセプトにしていた点では共通しており、時代のニーズに合わせきれずに撤退した点は似ていますね。
価値が高くても、求められるスタイルが変わってきたということなのかもしれません。
モード ディ ポンテベッキオの閉店を悲しむ声も。跡地はどうなる?
長年親しまれてきた店舗がなくなることに対しては、やはり多くの人が惜しむ声を寄せています。
思い出の場所として訪れていた人にとっては、その喪失感は小さくないようです。
閉店を悲しむ声は多い
口コミの中には「昔、両親に連れて行ってもらった」「大人になって訪れたら、あの時の高揚感がよみがえった」など、人生の節目をこのレストランとともに過ごした方々の投稿が見受けられました。
店内にはピアノの生演奏があり、生け花が彩りを添える落ち着いた空間。
そのすべてが“背筋を正すような時間”だったという声もありました。レストランというより、まさに一つの“舞台”のような場所だったという感覚、共感できますね。
また、閉店間際には歴代のOBスタッフも訪れたそうで、スタッフにとっても愛着ある場所であったことがうかがえます。
このように、料理や接客に対するプロフェッショナルな姿勢が、長年にわたって支持されてきた理由なのだと思います。
一般的に跡地はどうなる?
モード ディ ポンテベッキオが入っていたのは、大阪・梅田の中心部にある明治安田生命大阪梅田ビル30階。
アクセス性や眺望の良さ、そしてフロアの広さなどを考えると、同等レベルかそれ以上の高級店が入る可能性もありそうです。
ただし、この場所で25年続いたという歴史を考えると、同じような“重厚感”を持つレストランが再び入居するには、それなりの覚悟が必要でしょう。
大規模改装や再コンセプト化を含め、新たなテナント選定には時間がかかることも予想されます。
また、高層階ならではの夜景やラグジュアリー感を生かして、企業の貸切イベントやウェディング会場などへの転用も現実的な選択肢かもしれません。
今後の発表や動きについては、引き続き注目していきたいところです。
ポンテベッキオが向いている人
ポンテベッキオというブランドが向いている人は、単に“高級料理が好きな人”だけではありません。
むしろ、五感を通して食体験を楽しみたい、日常の外にある“非日常”を求める人にこそ、合っていたのではないでしょうか。
そんな方々にとって、ポンテベッキオは唯一無二の場所だったのです。
なお、モードは閉店しましたが、北浜本店とエキの店舗は2025年時点でも営業しています。
山根大助さんの掲げる“遊び場としてのリストランテ”という哲学は、引き続きそれらの店舗で進化していくことでしょう。
閉店は残念ですが、新たなステージに向けての一歩とも言えますね。