プリンプリン物語は、1979年から1982年にかけてNHKで放送された全656話の長編人形劇。
子ども向け番組とは思えないほど大胆な社会風刺と、魅力あふれるキャラクター造形で注目を浴びた作品です。
ところが、放送終了後に「打ち切りだったのではないか」という声がささやかれ続けているようです。
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プリンプリン物語が打ち切りと噂される理由
(出典:Google)
ここでは、プリンプリン物語が打ち切りと噂される主な理由や、当時の放送状況、さらには最終回の内容までを客観的な視点でまとめます。
打ち切り理由1:最終回の内容が未完っぽいため
プリンプリン物語の最終回を視聴した人々の中には、「結末が中途半端だった」という印象を抱いた方が多かったのではないでしょうか。
何年にもわたる長大な旅の物語が急展開で幕を閉じるため、しっかりとした完結を望む視聴者にとっては物足りなさを感じやすかったのです。
最終回に対して中途半端だと感じる点は以下のような部分です。
一部の視聴者にとって「次があるように終わっているけれど、結局そのまま終わり…?」という不完全燃焼感を与えたのではないでしょうか。
実際に、後日談や続編を期待する声が長らく絶えなかったことも、その証左と考えられます。
打ち切り理由2:当時、NHKの平日夕方帯で放送されていた人形劇シリーズが一旦終了したため(※半年後『人形劇 三国志』で再開)
(出典:NHKオンデマンド)
NHK平日夕方帯の人形劇は長らく親しまれてきた枠だったのですがプリンプリン物語が終わった1982年3月19日をもって、人形劇枠はいったん終了しました。
その後半年ほど空いた後に『人形劇 三国志』がスタートしたのですが、期間が空いたことで「プリンプリン物語が何らかの事情で打ち切られたのでは?」という憶測を呼んだようです。
人形劇自体が一時的に終了したので、不評だったのではと考えた人も多かったと思います。
放送当時の背景を見渡すと、夕方のニュースや情報番組が拡充されはじめ、新番組の枠調整が必要になっていたことも要因の一つだと思われます。
NHKの番組表改革によって、人形劇シリーズを一定期間休止しましたが、人形劇を求める声が多かったことから『人形劇 三国志』をラインナップしたのではないでしょうか。
そうした流れを知らない視聴者は「プリンプリン物語が突然終わった」と受け止め、打ち切りという印象を持った可能性が高いですね。
打ち切り理由3:放送当時の映像の多くが失われているため
プリンプリン物語ですがNHKがマスターテープを再利用してしまうという慣例的な処置をしていた時代背景があります。
現代とは異なり、当時は2インチVTRなど非常に高価なメディアを使っていたため、過去の番組テープを上書きして新たに録画することが一般的だったのです。
その結果、1979年4月3日放送分から1981年3月13日放送分までの441話分の映像が現存していなかったのです。
全656話なので約2/3にあたりますね。
このように大部分の映像が紛失し、「もう少し続きがあったのでは?」と疑念を抱く視聴者や、途中のストーリーをはっきり把握できない関係者も少なからずいたのです。
2024年10月から再放送が開始されましたが視聴者が個人的に録画したビデオをNHKに寄贈し、放送に至ったようですね。
- 2012年: 人形作家・友永詔三がNHKに録画テープを提供。第91回以降の305回分(一部を除く)の映像が確認される。
- 2016年:人形操作担当・伊東万里子が、操作チェック用に録画していたテープを提供。第2回以降の初期25回分が新たに発見される。ただし、一部は冒頭3分程度のみの録画で完全版の提供を呼びかけている。8月、プロデューサー・中谷正尚の遺品整理により、第1話〜第120話のベータテープが寄贈される。
- 2017年: 声優・神谷明が自身のVHSライブラリーを寄贈。未発見だった22回分(通常回9回、総集編2回)と不完全だった11回分のうち6回分が補完される。この結果、全話のうち残り3回分で全話揃う状況となる。
- 2018年: 長野県在住の視聴者より母親が録画したテープが寄贈。第132回〜第656回の放送分を録画した24本のテープから、欠落していた回の大半が補完され、全編未発掘回は第265回の1回のみ、一部欠落回は5回分となる。
※その後、残り分も回収したようです。
けれども、映像が残っていない期間が長かったことは「そもそもストーリー全体がちゃんと完結していない」という印象につながったのかもしれませんね。
打ち切り理由4:ルチ将軍の最後が怖いとの声があったため
(出典:NHK)
プリンプリン物語の登場人物の中でも、ルチ将軍は非常にインパクトのあるキャラクターとして有名なのです。
知能指数1300という規格外の頭脳を持ち、岩石頭のような正体不明の姿に守衛の体を乗り移るという設定は、子どもの番組としてはややグロテスクに感じられるかもしれませんね。
結末として、ルチ将軍は最終的に爆発によって宇宙へ飛ばされるような形で物語から退場し、トラウマに感じた人も少なくないそう。
ルチ将軍の末路があまりにも怖いという声に加え、作中で表現される独裁政権や軍事的な要素を真似た世界観が「子ども向けには刺激が強すぎるのでは?」という批判を呼んだようです。
さらには「もう見たくない」という過激な反応が、一部視聴者から噴出した可能性もあり打ち切りの噂につながったのかもしれません。
打ち切り理由5:顔やテーマが怖い?視聴率が低下している噂があったため
プリンプリン物語は人形の精巧な顔立ちや、子ども向けというよりは大人向けに近い社会風刺を織り込んでいた作品ですよね。
政治的なネタや独裁政権を揶揄する設定、さらには時事問題を意識したセリフなどが盛り込まれ、独特の雰囲気をかもし出していたため視聴者(子供)の中には、その風刺性を「怖い」と感じ、ちょっと敬遠してしまう層もいたのではないでしょうか。
(出典:NHK)
一方で、「当時の夕方時間帯そのものがニュース枠拡大のあおりを受けて、番組の視聴率が大きく下がったのでは?」という見方も考えられます。
編集側の事情と相まって、作品の人気が陰ってきたように誤解され、それが「視聴率不振で打ち切られた」という噂につながっていったのかもしれませんね。
視聴率に関する具体的な数字は公表されていませんが、そういったゴシップ的な見解が、さらに「打ち切り説」を強固にした可能性もあります。
次は、そんな議論の的となった最終回の概要に目を移してみましょう。
プリンプリン物語の最終回(656話)のあらすじ
ここまでに、なぜプリンプリン物語が打ち切り説を呼び起こすのかについてお伝えしてきましたね。
最終回(656話)は、まさに大団円というよりは、まだ物語が続きそうな雰囲気を漂わせる終わり方でした。
ここからは、最終回の内容をお伝えします。
ランカータウンの崩壊
アクタ共和国編やその他の国々をめぐってきたプリンプリンたちは、ついにランカーと正面対決を迎えるのです。
ランカーは「死の商人」という設定で、世界各国に兵器を売りつけ、利権を握ろうとする恐ろしい存在。
そうした彼が大規模開発を手がけ、誰もが住みたがるように見せかけていたランカータウンが、一瞬にして瓦解していく展開は、劇のラストを飾る大事件でもありました。
想定外のトラブルや爆発で町が破壊されるシーンは、子ども心にも大きなショックを与えたと思いますし、あっけないと感じた人もいたはず。
この崩壊により、ランカーの企みも一気に頓挫し、彼自身が脱出の最中に爆風で吹き飛ばされる形で退場するように描かれています。
こうした破壊的な結末が、視聴者に衝撃を与えると同時に、「物語が強制的に終わってしまった」という感覚を残したのではないでしょうか。
母親からの手紙と新たな旅の始まり
ランカータウンの崩壊後、主人公のプリンプリンの元に母親からの手紙が届くのです。
この手紙には、プリンプリンがずっと探し求めていた故郷に関するヒントが書かれているのですが、すべてが明確に説明されるわけではなく、謎が残っていました。
その手紙を手がかりにプリンプリンは、かねてからの夢を追いかけるためにもう一度仲間たちと旅へ出る決意を固めるのです。
つまり、最終回は「再び始まる物語」を予感させる演出がなされながら幕を下ろす形になっています。
プリンプリンの祖国が完全に判明しないままですし、「このまま続編が作られてもおかしくない」と思わせるような、いわば“冒険の再スタート”を感じさせる結末なのです。
母と再会できるのか、新しい旅はどういった結末を迎えるのかは放送されずに終わるのです。
そのため視聴者は「終わった気がしない」「続きが本来あったのでは?」という疑念を覚えたのでしょう。
ちなみにプリンプリン物語の始まりは以下のような感じでした。
- 海の真ん中に浮かぶ立派な箱が発見される。中には赤ちゃんとサル、そして美しい王冠が入っていた。
- 箱を拾った漁師たちは赤ちゃんを「プリンセス・プリンプリン」と名付けて育てる。
- 15年後、心優しく美しい少女に成長したプリンプリンは、自分の祖国を探すため、アルトコ中央テレビ(通称アル中テレビ)で「祖国を教えてください」と訴える。
- テレビ放送を見た国際シンジケートの親玉・怪人ランカーが、プリンプリンに魅了され、彼女を妻にしようと計画。部下を使って誘拐を企てる。
- プリンプリンを守るため、ボンボン、オサゲ、カセイジンの三人組とお守り役のモンキーが活躍を開始。
- 旅の仲間として、私立探偵シャーレッケ・マイホーム、その妻の動物学者ワット博士、ランカーの元部下シドロとモドロの4人が加わる。
- ランカーから奪った黄色い潜水艦「イエローサブマリン」に乗り込み、プリンプリン一行は祖国を求めて波乱に満ちた大旅行を繰り広げていく。
では、そんなプリンプリン物語をどうやって視聴できるのか、見ていきたいと思います。
プリンプリン物語はどこで見れる?
ここから、主な視聴方法をご紹介しながら、その特徴や注意点をまとめます。
2024年10月から再放送中
(出典:NHK)
2024年10月から、Eテレで毎週月曜22時50分〜23時20分の時間帯でプリンプリン物語の再放送が行われています。
週1回ペースで2話ずつ放送されるスケジュールで取り上げられており、全656話をすべて放送する場合はかなりの長期企画になると考えられます。
単純計算で1年に104話ずつ進むことになるため、もし全話を放送するならおよそ6年以上かかるのではないでしょうか。それだけ長いスパンで取り組む試みは珍しいですよね。
とはいえ、実際にすべての話数が放送対象となるかは今後の視聴者の反響などに左右される可能性もあるのです。
もし定期的に録画して視聴できる環境があるなら、極力見逃さないようにすることが大切だと思います。
NHKオンデマンド
(出典:NHKオンデマンド)
NHKオンデマンドは、NHKが制作する多くの番組をオンラインで視聴できるサービスですね。
プリンプリン物語についても、2024年時点では50話まで配信されています。
契約等なのか放送範囲が一部にとどまっていますが、再放送も始まっていますし今後さらに視聴範囲が広がるとは思います。
プリンプリン物語は長編で話数も多いため、まとまった時間に好きなペースで鑑賞したい場合にはオンデマンド配信が便利。
再放送を録り逃したり、途中のエピソードを見返したくなったりしたときにも重宝するでしょう。
Amazonプライム・ビデオ(※一部のみ)
Amazonプライム・ビデオでも、プリンプリン物語の一部話数が視聴できます。
(出典:Amazonプライム・ビデオ)
同じく2024年の時点で、およそ50話まで配信されています。
Amazonプライム・ビデオを契約して人も多いと思うので、気軽に見れますよね。
物語の最初から順を追って振り返りたい方にとっては有力な手段となりますが、後半のアクタ共和国編やルチ将軍の結末などを網羅するには物足りないかもしれませんね。
とはいえ、リアルタイムでの再放送と組み合わせれば、より多くのエピソードを楽しむことができるのではないでしょうか。