釧路のソウルフード「スパカツ」を生んだ老舗洋食店「レストラン泉屋」。
SNSで「泉屋が閉店してた」という投稿を見かけて、ドキッとした方も多いのではないでしょうか。
でも実は、閉店したのはイオンの中にあった支店で、スパカツ発祥の総本店は今も釧路市末広町で元気に営業しています。
- 閉店したお店と、その閉店理由
- 今の社長と、釧路にある「2つの泉屋」
- スパカツが「まずい」と言われてしまう理由
この記事では、閉店理由や今の社長、そして「スパカツはまずい」と言われてしまう理由まで、公式サイトや地元紙、SNSの声をもとにじっくり調べてまとめました。
スパカツの釧路・泉屋はどうなった?閉店理由や社長、まずいの噂まで調べてみた

先に結論を言うと、閉店したのはイオン内の支店だけです。
発祥の総本店は2026年時点も営業中です。
ここから順番にくわしく見ていきます。
釧路でスパカツはまだ食べられる?泉屋の「今」を先に言っちゃいます

結論から言うと、釧路で泉屋のスパカツは今も食べられます。
釧路市末広町2丁目の「レストラン泉屋 総本店」は、11時から21時(ラストオーダー20時30分)まで営業しています。
定休日は月1回の火曜日で、お休みの日は公式Facebookで告知されています。
観光情報サイト「ひがし北海道Style」によると、10月から3月は20時30分閉店になるので、冬に行く方は少し早めの来店がおすすめです。
郊外なら、鳥取大通のスーパーアークス内にある「泉屋 ソロ鳥取店」でも、11時から20時30分までスパカツが食べられます。
ソロ鳥取店は月に数日の店休日があり、2026年9月は2日・9日・16日・24日・30日がお休みと公式サイトで案内されています。
一方で閉店したのは、2018年9月30日の「イオンモール釧路昭和店」と、2024年9月の「イオン釧路店」の2店舗です。
閉店理由は、調理師を中心とした人手不足だったと地元の声やSNSで伝えられています。
そして総本店を率いる今の社長は、創業者・小泉俊一さんの次女である鈴木由紀子さんです。
| 店舗名 | 場所 | 営業時間 | 今の状況 |
|---|---|---|---|
| レストラン泉屋 総本店 | 釧路市末広町2丁目28 | 11:00〜21:00(L.O.20:30) | 営業中 |
| イタリア料理 ポロネ | 総本店ビル地階 | 17:00〜22:00(火曜定休) | 営業中 |
| 泉屋 ソロ鳥取店 | 釧路市鳥取大通2丁目(スーパーアークス内) | 11:00〜20:30(中休みあり) | 営業中 |
| イオンモール釧路昭和店 | 釧路市昭和中央 | ー | 2018年9月30日閉店 |
| イオン釧路店 | 釧路町セチリ太 | ー | 2024年9月閉店 |
「泉屋がなくなった」と早とちりしかけた私も、あのジュージューという音が末広町でまだ鳴っていると知って、ほっと胸をなでおろしました。
泉屋ってどんなお店?創業から支店の閉店までを時系列で振り返ってみた
泉屋のはじまりは、ホテルなどで修業を積んだ小泉俊一さんが、カウンター5席とテーブル2卓だけの小さな洋食店を開いたことでした。
公式サイトの沿革では、1946年に前身の「いずみや」が開業し、1952年に洋食店「レストラン泉屋」、1959年4月に株式会社レストラン泉屋が誕生しています。
夏でも25℃に届かない日が多い釧路で、最後のひと口まで温かく食べてもらうために、スパゲティを鉄皿にのせたのが泉屋流の原点です。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1946年 | 前身となる「いずみや」開業 |
| 1952年 | 小泉俊一さんが洋食店「レストラン泉屋」を開業 |
| 1959年 | 株式会社レストラン泉屋を設立、小泉俊一さんが社長に |
| 1960年 | 「スパゲティミートソースカツのせ(スパカツ)」誕生 |
| 1967年 | 地下1階・地上4階のビルを新築、地階にイタリア料理ポロネ |
| 2015年 | 泉屋釧路スパカツマネジメント株式会社を設立 |
| 2018年9月 | イオンモール釧路昭和店が閉店 |
| 2018年10月 | 別法人の株式会社泉屋が設立 |
| 2019年5月 | 小泉俊一さんが84歳で死去 |
| 2021年 | 次女の鈴木由紀子さんが代表取締役に就任 |
| 2024年9月 | イオン釧路店が閉店(人手不足と伝えられる) |
| 2025年3月 | スパカツが文化庁「100年フード」に認定 |
そして1960年、人気のミートソーススパゲティに当時ぜいたく品だったトンカツをのせた「スパカツ」が生まれました。
- 旅行情報サイト「旅色」によると、店内にはスパゲティの消費量日本一の証として日清製粉から贈られた「ママースパゲティ」の看板が飾られている
- Yahoo!トラベルの紹介では、今も来店客の半数以上がスパカツを注文するといわれている
そんな人気店に「閉店」の二文字がついて回るようになった発端は、2018年秋でした。
イオンモール釧路昭和店(旧ジャスコ)が9月30日で閉店した際、店頭の貼り紙は感謝を伝える定型文だけで、理由は書かれていませんでした。
当時のX(旧Twitter)には、平日でも並ぶ人がいたのにと驚く声が投稿されています。
さらに2024年9月には、釧路サティ時代から約30年続いたイオン釧路店も閉店し、Xでは閉店を知らせる投稿が相次ぎました。
カウンター5席から始まった一皿が、65年以上かけて街の誇りになった道のりをたどると、なんだか胸が熱くなります。
泉屋の閉店理由は人手不足?社長の鈴木由紀子さんと「2つの泉屋」も調べてみた
ここからは、ほかのサイトではあまり触れられていない視点で掘り下げてみます。
まず大事なのは、閉店した2店舗がどちらも「行列のできる店」だったことです。
地元ブログ「心太と書いてところてんblog」では、昭和店は食事時になるといつも満席で、釧路で順番待ちをする数少ない店だったと振り返られています。
食べログにも、2023年のゴールデンウィーク合間の平日にイオン釧路店で20分待ったという口コミが残っています。
イオン釧路店は36席のお店で、スパカツは1杯1,300円(税込)、テイクアウトにも対応していたことがイオン釧路店のショップガイドに記録されています。
お客さんがいるのに閉めるしかなかったのは、230度に熱した鉄皿で仕上げる泉屋の料理が、経験のある調理師なしでは回らないからだと私は考えます。
| 項目 | イオンモール釧路昭和店 | イオン釧路店 |
|---|---|---|
| 閉店時期 | 2018年9月30日 | 2024年9月 |
| 場所 | 釧路市昭和中央(旧ジャスコ) | 釧路町セチリ太(旧ポスフール、前々身は釧路サティ) |
| 営業期間 | 公表なし | 約30年 |
| 当時の様子 | 食事時はいつも満席 | 連休合間の平日でも20分待ち |
| 席数・価格 | 公表なし | 36席、スパカツ1,300円(税込) |
| 閉店理由 | 公表なし(人手不足とみられる) | 調理師を中心とした人手不足と伝えられる |
次に社長についてです。
総本店を運営する株式会社レストラン泉屋の社長は、2021年に就任した鈴木由紀子さんです。
釧路新聞の取材で鈴木由紀子さんは、父の小泉俊一さんから亡くなる前に店を託されたと語っています。
夫の鈴木仁さんは同社の専務で、グループ会社「泉屋釧路スパカツマネジメント」の社長として、食材管理やTシャツ・キーホルダーなどのグッズ展開を担当しています。
ここで意外と知られていないのが、釧路には「泉屋」を名乗る会社がもう1社あることです。
泉屋 ソロ鳥取店を運営する株式会社泉屋は2018年10月25日の設立で、代表は小泉寿恵さん、従業員は15名と公式サイトに書かれています。
- 株式会社レストラン泉屋:総本店とポロネを運営(代表:鈴木由紀子さん)
- 泉屋釧路スパカツマネジメント株式会社:商標管理やグッズを担当(社長:鈴木仁さん)
- 株式会社泉屋:泉屋 ソロ鳥取店を運営(代表:小泉寿恵さん)
ソロ鳥取店は、もともとビッグハウス内にあった泉屋が移ってきたお店で、券売機で注文するスパゲティ専門の形に変わっています。
両社の関係は公表されていませんが、屋号が同じで公式サイトも別々にあるため、「どこかの泉屋が閉店した」という話が「泉屋が閉店した」に聞こえてしまうのも無理はありません。
さらにトリップアドバイザーでは「泉屋本店」のページが閉鎖扱いになっていて、本店まで閉店したと誤解される原因の一つになっていそうです。
| よくある誤解 | 誤解のもとになった情報 | 実際のところ |
|---|---|---|
| 本店も閉店した | トリップアドバイザーの「閉鎖」表示 | 総本店は末広町で営業中 |
| 泉屋は1社だけ | 同じ「泉屋」の屋号 | 株式会社レストラン泉屋と株式会社泉屋の2社が別々に公式サイトを運営 |
| 売上不振で閉店した | 理由が書かれていない閉店の貼り紙 | どちらも行列店で、人手不足が理由と伝えられる |
| 郊外のお店はもうない | ビッグハウス店の撤退 | アークス内の「ソロ鳥取店」として券売機制で営業中 |
お店は満席なのに作り手が足りずに灯りを消すしかなかったと思うと、地方の人手不足の重さをあらためて感じて切なくなりました。
スパカツがまずいって本当?SNSの声から「誤解」の正体を探ってみた

「スパカツ まずい」と検索されてしまうのには、ちゃんと理由があります。
じゃらんnetには2023年8月、「誰がこれを美味いと言ったのか?」というタイトルで星2つの口コミが投稿されました。
Yahoo!知恵袋でも2025年8月に、麺が伸びている、カツが冷凍ではないかという厳しい声が寄せられています。
食べログのイオン釧路店の口コミには「なんか違うのよね」という題の投稿があり、泉屋ではあえてスパカツを頼まないという常連目線の声まで見つかります。
一方で同じじゃらんnetには、鉄板でカリカリになったパスタが病みつきになるという絶賛の声もあります。
評価がここまで真っ二つに割れるのは、スパカツが「イタリアンのパスタ」ではなく「昭和の鉄板洋食」だからだと私は考えます。
| SNS・口コミで多い声 | そう感じる理由 | おいしく食べるコツ |
|---|---|---|
| 麺が伸びている | 熱い鉄皿の上で麺がソースを吸い続ける | 運ばれてきたら早めに食べ始める |
| 焦げて硬い | 230度の鉄皿で底が焼ける | 早めに混ぜるか、焦げ目は最後のお楽しみに |
| 重くて途中で飽きる | ミートソースとカツの油が重なる | 粉チーズやタバスコで味変、目玉焼きトッピング |
| 量が多すぎる | 皿からはみ出しそうなほどの盛り | 複数人でシェアして、ピカタや泉屋風と食べ比べ |
230度の鉄皿の上では、麺がソースを吸い続け、底はパリッと焼けていきます。
この変化を「伸びた」「焦げた」と感じるか、「香ばしい」と感じるかで、同じ一皿でも印象は正反対になるのです。
地元ブログの筆者は、釧路で育った人は泉屋のスパゲッティこそがスパゲッティだと思っていて、よその町の皿が鉄板でないことや量の少なさに驚くと書いています。
つまり「まずい」の正体は味の良し悪しではなく、観光客と地元の人の「スパゲティの基準のズレ」なのではないでしょうか。
また、泉屋の名前を掲げるお店が2社・複数店舗あったため、どのお店でいつ食べたかによって感想がバラつきやすかったことも考えられます。
正直に言うと、私も写真を初めて見たときは「この量、食べ切れるかな」と身構えましたが、あの音と香りを想像すると、やっぱり一度は本場で挑戦したくなります。
泉屋はこれからどうなる?ほかのお店の例と対応の流れをまとめて振り返り

最後に、泉屋がこれまでどんな手を打ってきたのかを、ほかの事例とあわせて振り返ります。
株式会社泉屋は2022年にレトルトの「釧路スパカツミートソース」を発売し、釧路空港や釧路駅、道東のスーパーで販売を始めました。
2025年10月にはUber Eatsでの提供を告知し、2026年1月からはソロ鳥取店で16時から17時の中休みを設けています。
| 時期 | 会社 | 対応 |
|---|---|---|
| 2022年 | 株式会社泉屋 | レトルト「釧路スパカツミートソース」を発売 |
| 2024年10月 | 株式会社レストラン泉屋 | 総本店の公式Xを開設 |
| 2024年12月 | 株式会社レストラン泉屋 | 文化庁「100年フード」へ申請 |
| 2025年3月 | 株式会社レストラン泉屋 | 「未来の100年フード部門」に認定 |
| 2025年10月 | 株式会社泉屋 | Uber Eatsでの提供を告知 |
| 2026年1月 | 株式会社泉屋 | ソロ鳥取店で16時〜17時の中休みを導入 |
限られた人手でも味を届け続けるための、現実的な工夫といえそうです。
スパカツは泉屋だけの料理ではなく、北海道ラボ(2019年)によると、釧路の「スパゲティーハウス ピレネ」でも「ミートソースカツレツ」の名前で880円で提供されていました。
Xでは、帯広にもスパカツを出すお店が結構あるという声も見られ、スパカツは釧路の外にも広がっています。
総本店のほうは2024年10月に公式Xを開設し、同年12月に文化庁の「100年フード」へ申請しました。
そして2025年3月14日、スパカツは2024年度の「未来の100年フード部門」に認定されました。
- 釧路では2023年度に、老舗「竹老園東家総本店」を中心に受け継がれてきた「釧路のそば」も認定されていて、スパカツは市内2件目
- 北海道では喜茂別町の「あげいも」や芦別市の「ガタタン」など13種類が認定されていて、スパカツもその仲間入り
鈴木由紀子さんは釧路新聞の取材に対し、攻めるより守る経営を続け、スパカツ誕生時の原材料を確保して味を変えずに守ってきたと語っています。
支店の閉店は、泉屋の味が消えたのではなく、老舗が「守る場所」を絞り込んだ結果だと私は受け止めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 閉店したお店 | イオンモール釧路昭和店(2018年)、イオン釧路店(2024年) |
| 閉店理由 | 調理師を中心とした人手不足と伝えられる(公式発表なし) |
| 営業中のお店 | レストラン泉屋 総本店、イタリア料理 ポロネ、泉屋 ソロ鳥取店 |
| 総本店の社長 | 鈴木由紀子さん(創業者・小泉俊一さんの次女) |
| もう一つの泉屋 | 株式会社泉屋(代表:小泉寿恵さん)がソロ鳥取店を運営 |
| スパカツの値段 | 総本店で1,320円(2025年3月の報道時点) |
| まずいと言われる理由 | 鉄皿で変化する麺の食感とボリュームへの「基準のズレ」 |
| 公的な評価 | 2024年度 文化庁「未来の100年フード」認定 |
支店の閉店は寂しいニュースでしたが、創業者の娘さんが父の味をしっかり受け継ぎ、国からも未来に残したい食文化と認められたことに、私は温かい気持ちになりました。
釧路を訪れた際は、ぜひ総本店かソロ鳥取店で、ジュージューと音を立てるスパカツを味わってみてください。
