大阪のお土産といえば真っ先に名前が挙がる「焼きたてチーズケーキ」のりくろーおじさんの店。
1956年創業以来、関西を中心に行列の絶えない人気を誇り続け、今や大阪銘菓として全国区の知名度を持つほどの存在ですが近年、新大阪のエキマルシェ店や北区長柄店、岸里新本店など、長年愛された店舗の閉店が相次いでいます。
余談ですが調査時点で以下がネットでの最安値でした。売り切れていたらごめんなさい。
りくろーおじさんの閉店理由は?なぜ好調なのに?

行列が途絶えないほど好調なはずのりくろーおじさんが、なぜ次々と閉店を決断しているのか気になる方は多いはずです。
閉店ニュースを並べてみると、表向きの「人気の有無」とは別の構造的な背景があるようです。
次のようなものが理由として考えられます。
閉店理由1:商業施設側の大規模リニューアル工事に伴い、テナントとして退店を余儀なくされたため

↑個人的によく足を運んだ新大阪駅校内店
直近で最も大きな閉店事例である新大阪の店舗閉店は、商業施設「エキマルシェ新大阪」の全館リニューアルが背景にあります。
りくろーおじさん側の業績不振や戦略変更ではなく、駅ナカを運営するジェイアール西日本デイリーサービスネットの建て替え判断が決定打となっています。
(出典:りくろーおじさんの店 エキマルシェ新大阪店閉店のお知らせ)
公式発表と流通ニュースの情報を照合すると、2026年5月から段階的に20店舗以上が一斉退店する大規模再編であることが読み取れます。
| 閉店時期 | 内容 | 主な該当店舗 |
|---|---|---|
| 2026年5月31日 | エキマルシェ新大阪 第1陣(11店舗) | りくろーおじさんの店、デリチュース、喜八洲総本舗、山口果物、うぐいすボールほか |
| 2026年6月8日 | アントレマルシェ閉店 | お土産・コンビニ |
| 2026年8月16日 | 第2陣(8店舗) | 551蓬莱、北極星、スターバックスコーヒー、ブックスタジオほか |
エキマルシェ新大阪は2015年3月にJR西日本エリアの改札内最大規模の駅ナカ商業施設として開業した経緯があり、開業から約11年でのフルリニューアルとなります。
デリチュースやセブン-イレブンが仮設店舗で営業継続を発表している一方、りくろーおじさんは仮設出店の発表がない点も特徴的です。

ここから読み取れる、WEB上であまり語られていない観点は、「人気だからテナントに残れる」とは限らず、「商業施設の再開発スケジュールにテナントが従う」という駅ナカ・百貨店ビジネスのシビアな現実です。
ブランド力で押し切れる話ではなく、施設運営者の長期計画が決定打になります。同様の事情は2022年2月に閉店した京阪百貨店モール京橋店のケースにも当てはまり、いずれも「商業施設の都合」が起点となっている点が共通しています。
この理由で閉店したりくろーおじさんの店舗は以下のとおりです。
- エキマルシェ新大阪店:2026年5月31日閉店
- 京阪百貨店モール京橋店:2022年2月28日閉店
- そごう神戸店:2014年3月31日閉店(そごう神戸店自体が神戸阪急へ転換)
行列のできる看板テナントですら撤退を強いられる事実に、商業施設テナントとして出店することの難しさを改めて感じます。
閉店理由2:路面店の役割を郊外大型店・百貨店戦略へ置き換えるため、低稼働立地を整理する必要があったため

りくろーおじさんは2014年の新なんば本店移転を皮切りに、2015年に彩都の森店、2018年に大丸心斎橋店をオープンするなど、出店戦略の軸足を「街中の路面店」から「観光・郊外型大型店」「百貨店・駅ナカ・空港」に移してきました。
この戦略転換に伴い、役割を終えた路面店が順次閉店している構図が見えます。
(出典:リクロー株式会社(Wikipedia))
時系列で並べると、新業態オープンと路面店閉店のタイミングがほぼ連動していることが分かります。
| 年月 | 出店・閉店の動き |
|---|---|
| 2014年3月 | そごう神戸店 閉店(大阪府外撤退) |
| 2014年4月 | 新なんば本店オープン(戎橋筋へ移転) |
| 2015年9月 | 彩都の森店オープン(初の大型郊外型店舗) |
| 2018年秋 | 大丸心斎橋店オープン |
| 2019年9月 | 岸里新本店 閉店 |
| 2022年2月 | 京阪百貨店モール京橋店 閉店 |
| 2023年2月 | 北区長柄店 閉店(1997年開業から約26年) |
岸里新本店は創業者の西村陸郎氏が1956年に開業した「千鳥屋」の流れを汲む創業ゆかりの地でした。
それでも閉店の決断に至った背景には、創業地への思い入れよりも経営合理性を優先するという、世代交代後のリクロー株式会社の方針転換が表れていると言えます。
閉店から半月後には大丸心斎橋店が新規オープンしており、路面店からデパ地下への入れ替えだったことがはっきり読み取れます。
りくろーおじさんは小麦・卵・砂糖・乳製品など主要原材料の高騰に対しても、チーズケーキ1ホール965円前後(2024年時点)という強気な低価格帯を維持し続けてきました。

この価格を維持するためには、高家賃かつ販売数の伸びにくい路面店を整理し、駅ナカや百貨店といった「来店動機が強く客単価・回転率の高い立地」へ集約する必要があったと考えられます。
北区長柄店の閉店についてSNSでは「並ばずに買える穴場」と惜しむ声が多かったものの、企業側から見れば「行列ができないほど来客が集中していなかった」というシグナルでもあったわけです。
この理由で閉店したりくろーおじさんの店舗は以下のとおりです。
- 岸里新本店:2019年9月8日閉店
- 北区長柄店:2023年2月26日閉店
創業の地を閉めるという決断は並の覚悟ではなく、ブランドを次の世代へ残すための経営判断の重みを強く感じます。
閉店ラッシュ?過去にはどんな店舗が閉店しているの?

「閉店ラッシュ」と表現されることもありますが、実態としては10年単位で見れば数年に1店舗ペースであり、決して大量撤退ではない点に注意が必要です。
公式の沿革情報等を、過去に閉店したりくろーおじさんの店舗を時系列でまとめます。
- 2014年3月31日:そごう神戸店 閉店
- 2014年4月:旧なんば本店 閉店(戎橋筋へ移転)
- 2019年9月8日:岸里新本店 閉店
- 2022年2月28日:京阪百貨店モール京橋店 閉店
- 2023年2月26日:北区長柄店 閉店
- 2026年5月31日:エキマルシェ新大阪店 閉店
2021〜2022年は近畿圏の百貨店やイズミヤ系列で頻繁に出張販売されていましたが、2023年以降は催事自体がほぼ姿を消し、現在の公式サイトでも「只今催事出店情報はございません」となっています。
「実店舗の閉店」とは別に、ブランドの露出機会自体を絞っている動きであり、見方を変えれば「希少価値の演出」と「品質管理の徹底」を優先した戦略と読めます。
大阪市民にとっては身近な店舗ばかりが消えていて、世代をまたいだ「思い出の場所」が静かに減っている寂しさが伝わってきます。
跡地はどうなるの?

閉店後の跡地利用について、現時点で公式・報道ベースで判明している動向と、SNS上の反応をまとめます。
主な跡地の活用例は次のとおりです。
- エキマルシェ新大阪店跡地:2026〜2027年の全館リニューアル工事を経て、新生エキマルシェ新大阪として再オープン予定(詳細テナントは順次発表)
- 京阪百貨店モール京橋店跡地:京阪モール本館B1食品館エリアの別テナント区画として再利用
- 北区長柄店跡地:路面店建物として残存、地域のロードサイド区画として再活用の動き
- 岸里新本店跡地:本部事務局および隣接するパン専用工場(旧プローバー)として機能継続
- そごう神戸店跡地:そごう神戸店そのものが阪急百貨店に転換(神戸阪急へ)
りくろーおじさんは「店舗で焼きたてを焼く」業態のため、テナント区画にオーブン・換気・冷蔵設備一式を組み込む必要があります。そのため跡地は同価格帯のスイーツ店ではなく、設備要件の異なるカフェや弁当店、雑貨店、コンビニなどに置き換わるケースが多くなります。
これは「跡地に同じようなチーズケーキ屋ができないかな」というファンの願いと現実が噛み合いにくい構造的な理由です。
みんなの声をXや食べログなどから拾うと、次のような反応が目立ちました。
- ・「並ばずに買えるありがたい店だったのに残念」
- ・「子どもの誕生日ケーキはずっとここで買っていた」
- ・「庶民の味方がまた一つ減ってしまった」
- ・「跡地に同じ価格帯のお菓子屋さんができてほしい」
- ・「新大阪は他店舗があるからまだ救い」
跡地の使われ方ひとつ取っても、りくろーおじさんが地域に残してきた記憶の濃さがにじんでおり、改めてこのブランドが大阪の生活風景にどれだけ深く根付いてきたかを感じさせられますね。
