「近所のロイヤルホストが閉店するらしい」——そんな知らせを、店頭の貼り紙で不意に知った方も多いのではないでしょうか。
2026年に入ってからだけでも、新潟市の西堀通店、姫路市の姫路本町店、北海道の江別店、さいたま新都心店と、地域で長く親しまれた店舗が次々と営業を終えています。
しかも運営元のロイヤルホールディングスは、2025年12月期に売上高・営業利益・経常利益がそろって過去最高を記録したばかりです。
好調なはずのブランドで、なぜ閉店が続くのでしょうか。
ロイヤルホスト閉店なぜ?閉店店舗リストや大量閉店の背景とは?

結論から申し上げると、閉店の主因は業績不振ではなく、立地と契約の入れ替えでした。
私も調べながら意外に感じましたが、次のようなものが理由として考えられます。
閉店理由1:建物の賃貸借契約の満了や再開発によって、店舗そのものを続けられなくなっているため

ロイヤルホストの閉店告知を並べて読むと、まず気づくのは「閉店する店舗の年齢」です。
2025年5月22日に営業を終えた川崎店は、川崎駅周辺で47年にわたって営業してきた店舗でした。
2026年5月25日に閉店した江別店は、北海道江別市野幌町の国道12号沿いで40年。
窓には「40年間ご愛顧いただきありがとうございました」という手書きの言葉が残されていたと伝えられています。
2026年6月29日に閉店したさいたま新都心店は、2003年7月24日のオープンから23年。
明治安田生命さいたま新都心ビル(ランド・アクシス・タワー)2階という、いわゆる路面店ではないテナント型の店舗でした。
つまり、閉店しているのは「客が来なくなった新しい店」ではなく、「建物や土地の契約が一巡した古い店」なのです。

ロイヤルホストを運営するのはロイヤルフードサービス株式会社(東京都世田谷区)で、その親会社であるロイヤルホールディングスは福岡市博多区に本社を置いています。
同社は自社で土地建物を保有するより、借地・借家で出店する形が中心です。
となると、20年・30年・40年という節目で必ず訪れるのが、賃貸借契約の更新交渉と、貸主側の建て替え・再開発の判断です。
ここで折り合わなければ、どれだけ店が繁盛していても営業は続けられません。
実際、店舗が混んでいたのに閉店した、という声はQ&Aサイトなどにも繰り返し投稿されています。

そこで挙げられている「売上はあってもコストが見合わない」「建物の老朽化や契約満了」という指摘は、公式告知の並び方ときれいに一致します。
ちなみに、閉店の最終営業時刻がほぼ「15時」または「16時」に統一されている点も、私が資料を読んでいて最も驚いたところでした。
ファミリーレストランの通常営業は夜まで続きますが、ロイヤルホストの閉店日は昼過ぎで幕を下ろします。
食材の在庫を残さず、混雑を最終日に集中させず、スタッフを他店へ引き継ぐ——そうした計画的な撤収の作法が、告知文のたった一行ににじんでいるように感じられました。
| 閉店店舗 | 最終営業日 | 立地・建物の特徴 | 営業年数の目安 |
|---|---|---|---|
| 川崎店 | 2025年5月22日 | 川崎駅周辺の商業エリア | 約47年 |
| 江別店 | 2026年5月25日 | 江別市野幌町・国道12号沿いの郊外ロードサイド | 約40年 |
| さいたま新都心店 | 2026年6月29日 | さいたま新都心駅西口・オフィスビル2階のテナント | 約23年 |
| 姫路本町店 | 2026年1月13日 | 姫路市内で唯一のロイヤルホスト | 長期営業店 |
| 千田町店 | 2026年8月25日 | 広島市中区千田町のビル2階テナント | 長期営業店 |
閉店理由2:最低賃金と原材料費の上昇により、大型ロードサイド店の採算構造が合わなくなっているため

2つ目は、店を続けたくても続けにくくなっているコスト側の事情です。
ロイヤルホールディングスの2025年12月期決算では、連結売上高1,654億9,500万円(前期比8.8%増)、営業利益76億8,500万円(同4.3%増)、経常利益79億1,700万円(同8.2%増)といずれも過去最高を更新しました。
ロイヤルホスト単体でも既存店売上高は前年比108.0%と好調です。
それでも外食事業の経常利益は26.9%減。
国産米を中心とした原材料費高騰の影響額は23億円と開示されています。

さらに2026年12月期第1四半期では、ロイヤルホストは「販管費の増加などにより増収減益」と説明されました。
売上は伸びているのに、利益が削られている構図です。
人件費の環境も年々厳しくなっています。
2025年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,121円で、前年比66円・6.3%の引き上げと過去最大級でした。
2026年7月28日には中央最低賃金審議会が2026年度の目安を全国加重平均1,176円(55円・4.9%の引き上げ)とすることで決着しています。
東京都は1,226円、神奈川県は1,225円と、都市部はすでに1,200円台です。

ロイヤルホストは全店舗でシェフが調理する体制を掲げるブランドであり、セントラルキッチンに寄せた低価格チェーンより、どうしても店内の作業量と人時が必要になります。
※最低賃金の数値は厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照しています(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html)。
この条件下で真っ先に苦しくなるのが、席数が多く駐車場を抱え、深夜帯まで人を張り付ける必要がある郊外のロードサイド大型店です。
江別店やおりおの店のような路面型店舗が閉店し、一方で新規出店はイオンモール仙台上杉店(2025年10月8日)、イオン八王子滝山店(2026年6月26日)、あびこ駅前店(2024年12月20日)、名古屋納屋橋店(2025年11月25日)、駒沢パーククォーター店(2025年11月11日)と、商業施設内や駅前に集中しています。

同社は2026年5月19日に価格改定も発表しており、値上げと立地の絞り込みを両輪で進めている様子がうかがえます。
数字だけ見れば冷徹な判断ですが、40年通った店が消える側から見れば理屈では割り切れない、というのが正直な気持ちです。
| 項目 | 2024年度〜2024年12月期 | 2025年度〜2025年12月期 | 2026年度〜2026年12月期 |
|---|---|---|---|
| 最低賃金(全国加重平均) | 1,055円 | 1,121円(+66円・6.3%) | 目安1,176円(+55円・4.9%) |
| ロイヤルホスト既存店売上高 | — | 前年比108.0% | 増収も販管費増で減益(第1四半期) |
| 原材料費高騰の影響額 | — | 約23億円 | 価格改定を2026年5月19日に告知 |
| 外食事業の経常利益 | — | 前期比26.9%減 | 「その他外食」は海外開業費用で減益 |
これまでのロイホの閉店店舗リスト

公式サイトの閉店告知をもとに、近年のロイヤルホストの閉店店舗を時系列で並べます。
閉店時刻まで記載されているのが同社の告知の特徴で、そこにも撤収の設計思想が表れています。
- 2024年11月30日:おりおの店 閉店(22時・ラストオーダー21時30分)
- 2025年5月22日:川崎店 閉店(15時・ラストオーダー14時)
- 2025年9月3日:北仙台店 閉店(15時・ラストオーダー14時30分)
- 2026年1月13日:姫路本町店 閉店(16時・ラストオーダー15時)
- 2026年1月13日:西堀通店 閉店(15時・ラストオーダー14時)
- 2026年2月17日:新潟駅前店 閉店(15時・ラストオーダー14時)
- 2026年5月25日:江別店 閉店(15時・ラストオーダー14時30分)
- 2026年6月29日:さいたま新都心店 閉店(15時・ラストオーダー14時30分)
- 2026年8月17日:蛍茶屋店 閉店(16時・ラストオーダー15時)
- 2026年8月19日:善福寺店 閉店(15時・ラストオーダー14時)
- 2026年8月20日:山の田店 閉店(16時・ラストオーダー15時)
- 2026年8月25日:千田町店 閉店(16時・ラストオーダー15時)
なお、2020年5月にロイヤルホールディングスが発表した「ロイヤルホスト」「天丼てんや」など約70店舗の閉店は、国内店舗の約1割にあたる創業以来最大規模のものでした。
当時はロイヤルホストの既存店売上高が2020年3月に前年同月比20.3%減、4月に57.9%減まで落ち込んでおり、コロナ禍という明確な原因がありました。
「大量閉店」という言葉が今も検索され続けているのは、この2020年の記憶が強烈だったからだと考えられます。
ここで注意したいのが、公式サイトには「店舗一時閉店のお知らせ」という別のお知らせも並んでいることです。
たとえば南バイパス店は2026年7月2日から7月21日まで、立川南店は7月11日から7月16日まで、いずれも改装工事のための一時閉店でした。
SNS上でも「閉店の告知かと思ったら改装だった」という安堵の投稿は定番で、私自身も一覧を追いながら何度かひやりとしました。
| 区分 | 内容 | 期末店舗数 |
|---|---|---|
| 2025年通期実績 | 開店3店・閉店4店(増減△1) | 227店 |
| 2026年第1四半期実績 | 開店0店・閉店4店(増減△4) | 223店 |
| 2026年3月31日時点 | 全国221店舗(国内直営210・国内FC11・海外2を含む) | — |
| 2020年5月発表 | グループ約70店舗の閉店方針(国内店舗の約1割) | — |
個人的に分析してみた結果

一次情報を並べ直したうえで私がたどり着いた結論は、いま起きているのは「撤退」ではなく「引っ越し」だ、というものです。
決め手は仙台でした。
北仙台店が2025年9月3日に閉店した約1か月後の10月8日、同じ仙台市にイオンモール仙台上杉店がオープンしています。
路面の単独店を畳み、集客装置を持つ商業施設のなかへ移る——この動きは千葉のあびこ駅前店、名古屋納屋橋店、東京の駒沢パーククォーター店、八王子のイオン八王子滝山店にも共通しています。
数字の面でも「大量閉店」という語感とは温度差があります。
2025年通期の増減は△1店、2026年第1四半期は△4店。
2020年に一度で約70店舗を閉じた局面とは、規模も性質もまったく違います。
しかもロイヤルホストは2026年に55周年を迎え、記念ファンブックが2026年6月16日に発売されました。
撤退モードのブランドが55周年の公式ファンブックを出すでしょうか。
私はここに、同社の「経営ビジョン2035」「中期経営計画2025〜2027」に沿った前向きな配置転換の意思を読み取りました。
とはいえ、地域単位で見れば痛みは確実にあります。
姫路本町店の閉店で姫路市からロイヤルホストは姿を消し、新潟市でも西堀通店と新潟駅前店が相次いで営業を終えました。
全国の店舗数が221店とほぼ横ばいでも、住んでいる街に1店舗もなくなれば体感は「大量閉店」です。
この「全国の数字」と「自分の街の実感」のギャップこそが、検索窓に何度も「ロイヤルホスト 閉店 なぜ」と打ち込まれる理由なのだと思います。
| 比較軸 | 2020〜2021年の閉店 | 2025〜2026年の閉店 |
|---|---|---|
| 規模 | グループ約70店舗(国内の約1割) | 年間4店前後の入れ替え水準 |
| 引き金 | コロナ禍による売上急減(2020年4月は57.9%減) | 契約満了・再開発とコスト構造の変化 |
| 業績の状況 | 大幅赤字を見込む局面 | 2025年12月期は売上・営業利益・経常利益が過去最高 |
| 同時期の出店 | 新規出店は抑制 | 商業施設内・駅前へ新店を継続出店 |
| ブランドの動き | 営業時間短縮・業態見直し | 55周年企画、価格改定、既存店改装を実施 |
向いている人

ここまで読んでくださった方のなかには、「そもそも自分はロイヤルホストを使いこなせているだろうか」と思われた方もいるかもしれません。
全店舗でシェフが調理し、朝食から深夜帯まで幅広く対応するという特徴を踏まえると、次のような方に特に向いていると言えます。
私自身、閉店リストを追いながら「行けるうちに行っておけばよかった」と何度も思いました。
- 価格より料理の作りたて感を優先したい人
- 朝からしっかりした洋食やビュッフェを楽しみたい人
- 小さな子ども連れで落ち着いて食事をしたい人
- 一人でゆっくり読書や作業の時間を取りたい人
- 記念日や家族の誕生日を気取らずに祝いたい人
- 季節限定のフェアメニューやデザートを追いかけたい人
- 駅前や商業施設で確実に席を確保したい人
| 利用シーン | おすすめの理由 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 朝食・モーニング | 朝食ビュッフェを導入する店舗があり、名古屋納屋橋店は東海地方初 | 実施店舗が限られるため事前確認が必要 |
| 家族での食事 | 栄養に配慮したキッズメニューを用意 | 店舗休業日が年数回設定される |
| 一人利用 | 席の間隔が広く長時間利用しやすい | 一部店舗で営業時間の短縮あり |
| 記念日利用 | 季節のフルーツを使ったデザートやフェアメニューが充実 | フェアは一部店舗を除く場合がある |
| 買い物ついで | 商業施設内への新規出店が続いている | 施設の営業時間に準じる場合がある |
閉店の知らせは寂しいものですが、その裏側では新しい街に新しいロイヤルホストが生まれ続けています。
もし近所の店舗に閉店の貼り紙が出ていたら、最終営業日は15時や16時で終わることが多い点だけ、どうか覚えておいてください。
最後の一皿に間に合うかどうかは、その数時間の差で決まります。
