昭光通商が上場廃止となった背景には、TOB(株式公開買付け)が深く関わっています。
2021年4月16日に実施されたこのTOBにより、昭光通商は市場から姿を消すことになりました。
SKTホールディングスが主体となって実行されたこの買収劇は、ただの経営統合ではなく、グループ全体の効率化とガバナンスの強化を見据えたものでした。
なぜ、昭光通商はSKTホールディングスの傘下に入ったのでしょうか?その背後にある経緯を深掘りしてみたいと思います。
昭光通商の上場廃止理由はTOB!
昭光通商の上場廃止は、2021年7月21日をもって正式に行われました。
その理由は、SKTホールディングス株式会社によるTOB(株式公開買付け)の成功です。
このTOBにより、昭光通商の株式の大部分がSKTホールディングスに買い取られ、昭光通商は完全子会社化されました。
株式公開買付け価格は796円で、総額74億円規模の取引となりました。
昭光通商は、昭和電工の中核商社として長年機能していましたが、上場廃止に至るまでの一連の流れには、親会社の事業再編と戦略的な意図が強く影響していたことが分かります。
昭光通商が市場から撤退したのは、単なる経営不振ではありません。
むしろ、経営効率化とガバナンスの強化を目指した親会社の判断によるものでした。
昭光通商は、昭和電工グループの一員として高い技術力と専門性を持ち、国内外で事業を展開していましたが、親子上場のままでは経営上の課題が残っていました。
そのため、SKTホールディングスのTOBにより、親子上場を解消し、完全子会社化を進めることで、さらなる成長の基盤を築いたのです。
昭光通商がSKTホールディングスの傘下に入った背景がやばい?
昭光通商がSKTホールディングスの傘下に入った背景には、昭光通商自体が持つ専門性の高さと、昭和電工グループ全体の再編の必要性が関わっています。
昭和電工は、化学や材料技術に強みを持つ企業で、昭光通商の持つ事業内容と深いシナジーを生み出していました。
しかし、昭光通商は親会社との親子上場状態であり、そのため経営の効率性や統一性に課題が残っていたのです。
ガバナンス強化や経営効率の向上に向け昭和電工グループの再編を行なった
昭光通商がSKTホールディングスの完全子会社となった背景には、昭和電工グループ全体のガバナンス強化と経営効率向上が大きな課題としてありました。
昭和電工は、2020年4月に日立化成(現在の昭和電工マテリアルズ)を買収するなど、積極的にM&Aを進めてきました。
このような大規模な買収を進める中で、グループ全体の経営資源を最適化し、より強固な基盤を作る必要性が高まっていました。
親子上場を解消することで、経営の意思決定がより迅速になり、ガバナンスの透明性が向上することが期待されました。
実際、親子上場の状態では、親会社と子会社の利益が相反する場面が出てくることが多く、株主間の利害調整が難しくなるケースが少なくありません。
このような背景から、昭光通商のTOBは、昭和電工グループの経営戦略において重要なステップだったと言えるでしょう。
SKTホールディングスが株式の55.49%を取得し、昭和電工は14.9%の株式を引き続き保有する形で、昭光通商はグループ内でのシナジーを最大化するための体制を整えました。
この構造により、経営資源が効率的に再配分され、より一体化したグループ運営が実現したのです。
昭光通商の高い専門性や商材の幅広さが魅力だった
昭光通商がSKTホールディングスの傘下に入ったもう一つの大きな理由は、その持つ高い専門性です。
昭光通商は、化学品や金属、特殊化学品、合成樹脂、電子材料など、多岐にわたる商品を取り扱っており、その取り扱い商品は非常に技術的な知識や専門性を必要とします。
化学分野での製品取引は、高度な技術力が求められるため、こうした商材を扱える商社は限られています。
また、昭光通商は日本国内だけでなく、アジア、欧米などの国際市場でも強いプレゼンスを持っており、その国際的なネットワークは昭和電工グループにとって非常に重要な資産です。
昭光通商が持つこうした専門的な知識と、長年培ってきた取引先との強い信頼関係は、グループ全体の競争力を高めるために欠かせない要素でした。
昭光通商は、ただの商社ではなく、顧客に対して技術的なソリューションを提供することができる企業です。
このような専門知識を持つ企業が、グループ内でどのように活用されるかによって、昭光通商の存在感はますます高まるでしょう。
昭光通商の将来性は明るいと考えられる
昭光通商の将来性は非常に明るいと考えられます。
これは、SKTホールディングスの完全子会社化を通じて、より強力な成長基盤が構築されたためです。
昭光通商が持つ専門性の高い事業領域とグローバルなネットワークが、昭和電工グループ全体の成長を大きく支える役割を果たすと思います。
展開されている軽金属事業、合成樹脂事業、化学品事業のそれぞれについても見ていきます。
まず、軽金属事業では、特にアルミニウム製品が注目されています。

(出典:昭光通商株式会社)
アルミニウムはリサイクル性が高く、軽量かつ強度が優れているため、輸送機器分野(航空機、自動車、鉄道など)での需要が増えています。
昭光通商が提供するカーボンコート箔は、電気自動車(EV)のリチウムイオン電池で使用されることが期待されており、今後の電気自動車市場の成長に伴って需要が拡大するでしょう。
また、アルミニウムのリサイクル事業も環境対応のニーズに応え、持続可能な社会の構築に貢献しています。
次に、合成樹脂事業では、ポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチック製品の需要が生活や産業の多岐にわたって広がっている点が強みです。

(出典:昭光通商株式会社)
再生樹脂やバイオマス樹脂など、環境に配慮した製品へのシフトが進んでおり、持続可能な社会が注目されている昨今ではこれらの製品は今後さらに求められるでしょう。
昭光通商の生分解性樹脂は農業用フィルムなどにも利用されており、これも農業の発展に寄与する製品です。
最後に、化学品事業は、基礎化学品から機能化学品まで幅広い分野をカバーしています。

(出典:昭光通商株式会社)
環境に配慮した製品開発やリサイクルビジネスの推進など、社会的なニーズに応えるための事業展開が進んでいます。
環境調和型のアンモニア「ECOANN®」のような製品は、環境負荷の低減を実現しており、環境問題への対応が求められる今後、さらに重要性を増すでしょう。
これらの事業領域を持つ昭光通商の将来性は、非常に明るいと考えられます。
環境対応製品へのシフトや、次世代技術への需要拡大といった市場のトレンドに柔軟に対応することで、同社は今後も成長を続けていくでしょう。
昭光通商についておさらい

(出典:昭光通商株式会社)
昭光通商は、1947年に「光興業株式会社」として設立されました。
設立当初は、化学製品や医療品の国内販売および輸出を目的として活動を始めましたが、時代とともに事業を拡大し、1976年には「昭栄興業株式会社」と合併し、社名を「昭光通商株式会社」へ変更しました。
さらに、1962年には東京証券取引所の2部に上場し、そこからさらに発展を遂げ、1981年には東証1部指定替えを果たすまでに成長しました。
昭光通商は、化学品や金属、電子材料、さらには肥料や特殊化学品、合成樹脂製品など、多岐にわたる製品を取り扱う総合商社です。
こうした多様な分野での商材を扱う昭光通商は、その専門性において他社には真似できない強みを持っていました。
また、国内だけでなく海外にも事業を展開しており、欧米やアジアを中心に多くの顧客と取引を行ってきました。
特に、電子材料や特殊化学品の分野では、昭光通商のノウハウが大きな強みとなっており、こうした知識と経験は、グループ全体にとって欠かせないものとなっています。
2000年にはアルミニウム事業の強化を図るため、協同軽金属株式会社との合併を行い、2008年には合成樹脂製品の販売事業や肥料事業を分社化するなど、事業の効率化とともに成長を続けてきました。
このように、昭光通商は常に変化と進化を続けてきた企業と言えます。
昭光通商は魅力的な会社!向いている人って?
昭光通商の魅力は、その広範な事業内容と、技術的な専門知識を求められる点にあります。
昭光通商で働くということは、単に商品を販売するだけでなく、顧客に対してソリューションを提供する役割を担うことになります。
製品知識や市場動向、さらには顧客のニーズに応じた提案を行うことが求められるため、常に学び続ける姿勢が必要とされます。
特に、化学品や電子材料、特殊化学品などの分野に興味がある人には、昭光通商の環境は非常に魅力的です。
昭光通商での業務は、技術的な知識を活かしながら、顧客と深く関わり、そのニーズに応じた提案を行うことができるため、非常にやりがいのあるものです。
国内外で事業を展開しているため、国際的なビジネスに興味がある人にも適しています。
- 化学品や電子材料に興味がある人
- 技術的な知識を活かして働きたい人
- 国際的なビジネスに挑戦したい人
昭光通商は、単なる商社ではなく、技術力や専門性を活かしながら顧客に価値を提供する企業です。
こうした業務に興味がある人にとっては、非常に魅力的な会社だと言えるでしょう。
項目 | 詳細 |
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会社名 | 昭光通商株式会社 |
設立 | 1947年5月28日 |
本社所在地 | 東京都港区芝公園二丁目4番1号 |
業種 | 卸売業(化学品、金属、合成樹脂など) |
資本金 | 50億円(2021年7月29日時点) |
売上高 | 連結:1,007億26百万円 単体:774億70百万円(2020年12月期) |
純利益 | 連結:25億85百万円 単体:19億20百万円(2020年12月期) |
従業員数 | 連結:493名 単体:191名(2020年12月31日時点) |
主要株主 | SKTホールディングス株式会社(55.49%) 昭和電工株式会社(14.90%) |
公式採用情報 | https://www.shoko.co.jp/recruit/ |