天下一品が相次いで閉店しているという噂があるようです。
今回は店舗動向について様々な角度から整理し、理由や背景、そして支持が続く理由まで詳しくご紹介していきます。
天下一品が閉店ラッシュでやばい?理由は?

(出典:天下一品)
一部で「閉店ラッシュ」と報じられている天下一品。
2020年以降、東京都内を中心に複数の店舗が一斉に閉店し、大きな話題となりました。
ここではその背景にある複数の要因を掘り下げます。
閉店理由1:コロナ禍による影響を受けたため
まず見逃せないのが、新型コロナウイルスによる影響ですね。
飲食業界全体が経済的な打撃を受けた中、天下一品も例外ではなかったようです。
とくに深夜営業に強かった都心の店舗では、外出自粛や営業時間短縮要請により売上が大きく落ち込みました。
以下は内閣府のデータですが2022〜2024年にかけて倒産件数は前年度比を下回ることはかなり少なく常に増加していることがわかります。

(出典:内閣府)
2023年度、全国のラーメン店では負債額1,000万円以上の倒産が45件、休廃業・解散が29件という統計が出ています。
これは過去15年で最多の数字となっており、業界全体が極めて厳しい環境下にあることを示しています。
また、コロナ融資の返済開始時期と経営状況の悪化が重なったことで、資金繰りが難しくなった店舗も増加傾向にあるようです。
ラーメン文化のひとつとして親しまれていた「シメの一杯」も、夜の外食控えの流れとともに消えつつあります。
客足が戻らないエリアでは、閉店という選択肢が現実的になっているのでしょう。
理由2:高すぎ?人件費や物価高で値上げし客離れがおきたため
次に考えられるのが、価格設定の問題です。
天下一品では、こってり(並)の価格が2025年時点では940円前後で提供されています。


対して「日高屋」の中華そばは420円、「幸楽苑」は490円など、リーズナブルな価格帯で勝負しているチェーンも多いのが現状です。
近年では原材料費や光熱費の上昇、人件費の増加などにより、値上げせざるを得ない状況が続いています。
ここ数年の間に原材料費の上昇が進み、さらに人手不足に伴う時給相場のアップなどによって、経営には相当な負担がかかるようになったのではないでしょうか。
以下の厚生労働省のグラフでもわかりますが、右肩上がりですよね。

(出典:厚生労働省)
2023年2月1日にも価格改定が実施されており、これが消費者に「高くなった」という印象を与えたことは否定できない事実なのです。
ネットやSNSでも、
といった声が散見されました。価格が“気軽に食べられる範囲”を超えてしまったことで、常連客やライトユーザーが離れ始めた可能性もありますよね。
一方で、飲食プロデューサーのコメントには「ラーメン1杯940円は、昨今の価格帯では突出して高いとは言い難い」としつつも、「消費者の心理的な壁として1000円を超えると躊躇されやすい」とありました。
価格がサービスの質と釣り合っているかどうかを、ユーザーが敏感に感じ取っている状態なのです。
ちなみに値上げ・価格動向に関してはこちらの記事が参考になります。
理由3:スープや麺変わった?店舗ごとに味のばらつきがあるため

(出典:天下一品)
味のブレも、天下一品の人気に陰りをもたらしている要因のひとつだと考えられます。
とくに「麺が短くなった」「風味が薄くなった」と感じる人が一定数おり、こうした違和感がSNSなどで拡散されることもあります。
2024年5月にあるユーザーが「麺が目線の高さですぐ終わるほど短くなった」と投稿したことがきっかけで、「確かに麺が変わった」「スープの絡みが悪くなった」といった共感の声が相次ぎました。
などの口コミが寄せられています。これは、天下一品が全国展開する中で、多くの店舗がフランチャイズ方式を採用していることも関係しているようです。
フランチャイズ店舗では、本部が提供する濃縮スープを希釈して使う仕組みが一般的で、その際の分量や煮込み時間に差が生まれると、味がブレてしまうことになります。
しかも麺の茹で加減や提供時間によっても印象が変わるため、味の安定性を保つのは簡単ではないのでしょう。
味が店舗ごとに違う、という声は以前からありましたが、これが「麺やスープが変わった」という形で顕在化し、リピーター離れの要因になっているのかもしれません。

個人的に定期的に食べに行くのですが、全体的にしょっぱい印象が強く、もったいないなと感じます。
天下一品が閉店ラッシュ?閉店店舗を紹介

ここでは、過去1年半で閉店が確認された代表的な店舗を紹介します。
とくに2024年6月末に都内6店舗が同時閉店したことは、象徴的な出来事でした。
この6店舗はいずれも同一のフランチャイジーである「アトラスアンドカンパニー」によって運営されていた店舗でした。
経営判断による一括閉店と見られており、天下一品グループ全体の経営状態を直接反映したものではないと考えられます。
その他にも以下の店舗で閉店が確認されています。
このように見ていくと、都心部以外でも少しずつ閉店が進んでいることが分かります。
直営店よりもフランチャイズ店舗が多く閉店しているのが特徴です。
天下一品が閉店ラッシュでも人気は変わらない!
閉店が続いている一方で、天下一品のブランド力は依然として高く、ファンの間では熱い支持が続いています。
ここでは、人気の理由やその魅力について触れていきます。
コンセプトや人気の理由

(出典:天下一品)
天下一品の代名詞は、やはり「こってりスープ」ですね。
創業者の木村勉さんが約4年かけて完成させたスープは、“飲むスープ”ではなく“食べるスープ”として知られています。
1日に16,000kgもの鶏がらを使い、野菜と共にじっくり煮込むことで、濃厚でありながら後味のすっきりした独自の味が完成します。
さらに、こってりスープに絡むよう設計された特製多加水麺。
この麺は水分を多く含みながらも、モチモチ感とスープの絡みを両立させた逸品です。
これらの要素が合わさることで、他では味わえない中毒性の高いラーメンに仕上がっています。

(出典:天下一品)
毎年10月1日の「天一の日」には、ラーメン1杯無料券を配布するイベントも恒例となっており、ファンにとっては欠かせない1日となっています。
こうしたユーザーとの繋がりも、天下一品が今もなお支持され続ける要因だと考えられます。
向いている人
天下一品は、以下のような人に特に向いているといえます。
その一方で、「こってりが重たすぎる」「スープが濃すぎる」と感じる方には、あっさりスープや屋台の味といったメニューも用意されています。
メニューのバリエーションがあるのも、長年愛される理由なのではないでしょうか。
こってりラーメンというジャンルを確立したパイオニアとして、今後もラーメン文化に影響を与え続ける存在であることは間違いないと思われます。
閉店の動きはあるものの、ブランドの魅力が揺らいでいるわけではないのです。