「名古屋駅で探し物ならハンズ」という習慣が、2027年1月11日で終わります。
ジェイアール名古屋タカシマヤの5〜11階に入る旧・東急ハンズ名古屋店は、なぜ26年で幕を下ろすのでしょうか。
公式発表と過去の閉店例から、理由と跡地の行方をひもときます。
東急ハンズ名古屋の閉店なぜ?跡地は何ができる?

閉店はタカシマヤとのテナント契約が満了し、再契約できなかったためです。
| 年月日 | ハンズ名古屋店の出来事 |
|---|---|
| 2000年3月15日 | ジェイアール名古屋タカシマヤ開業と同時に「東急ハンズ名古屋店」として5〜11階にオープン |
| 2006年11月 | リニューアルでセレクトコーナー「男の書斎」を新設 |
| 2016年11月 | リニューアルで5階のビューティー売場を約1.4倍に拡充 |
| 2022年3月 | カインズが東急ハンズを買収(同年10月から屋号が「ハンズ」に) |
| 2026年2月4日 | 運営会社が2027年1月11日での営業終了を発表 |
| 2026年8月20日 | 名古屋店として最後となる夏の「でら得セール」がスタート |
| 2027年1月11日(月・祝) | 営業終了予定 |
SNSでは惜しむ声が相次ぎ、私も寂しさを感じています。
次のようなものが理由として考えられます。
閉店理由1:ジェイアール名古屋タカシマヤとのテナント契約が満了し、再契約に至らなかったため

いちばん大きな理由は、ハンズ本社と運営会社がそろって公表している「契約満了」です。ハンズ名古屋店は、株式会社ハンズの直営店ではなく、三重交通グループの三交クリエイティブ・ライフがフランチャイズで運営してきた店舗です。
報道によると、同社はタカシマヤ側と再契約を結べなかったと説明しており、閉店手続きが終わり次第、会社自体も解散する予定と伝えられています。つまり「名駅の別の場所へ移る」という選択肢も、運営会社側には残されていないことになります。
では、なぜタカシマヤは再契約しなかったのでしょうか。公式な説明はありませんが、館の歴史を並べると、タカシマヤが少しずつ「専門店は新館へ、本館は百貨店らしい売場へ」と役割を整理してきた流れが見えてきます。
| 時期 | ジェイアール名古屋タカシマヤの動き |
|---|---|
| 2000年3月 | 開業。ハンズと三省堂書店が大型専門店として入居 |
| 2014年度 | 売上高で松坂屋名古屋店を上回り「名古屋1番店」に |
| 2017年4月 | 新館「タカシマヤ ゲートタワーモール」開業、専門店を順次移転 |
| 2019年5月 | 三省堂書店を新館へ全面移転 |
| 2025年 | バレンタイン催事「アムール・デュ・ショコラ」が売上49億円超で過去最高 |
| 2026年2月28日 | 近隣の名鉄百貨店本店が閉店 |
| 2027年1月11日 | ハンズ名古屋店が営業終了予定 |
三省堂書店が本館を離れたのが2019年で、今回のハンズが「開業時からの大型専門店」の最後のひとつです。名駅直結の7フロア・約7,432㎡という一等地を、百貨店として化粧品や催事など高単価の売場に生かしたいと考えるのは、商業施設の運営としては自然な判断といえます。
26年間同じ場所で営業してきたお店だけに、「契約の区切り」という静かな理由で終わってしまうのは、なんとも切ないですね。
閉店理由2:ハンズ全体が多層型の大型店から、小型・ワンフロア型の店づくりへ軸足を移しているため

もうひとつの背景として見逃せないのが、ハンズというブランド全体の「店のかたち」の変化です。
ハンズは2022年のカインズ傘下入り後、店長ごとの裁量で決めていた棚割りを本部で一括管理する仕組みに改め、業績を立て直してきました。この方法は、商業施設のワンフロアに入る中型店とは相性が良い一方で、7つの階に分けて専門品をフルラインで並べる名古屋店のような店舗とは相性がよくありません。
実際、運営会社の三交クリエイティブ・ライフ自身も、栄の「東急ハンズANNEX店」(4フロア)を2021年に閉じ、翌2022年に松坂屋名古屋店南館の地下1階にワンフロアの「ハンズ名古屋松坂屋店」を開くなど、ワンフロア型へのシフトを進めていました。
| 店舗 | フロア・面積 | その後 |
|---|---|---|
| 池袋店 | 1〜8階・約6,390㎡ | 2021年10月31日閉店 |
| ANNEX店(名古屋・栄) | 5〜8階・約2,960㎡ | 2021年10月17日閉店→松坂屋店(1フロア)へ |
| 梅田店(大丸梅田店内) | 10〜12階・約6,000㎡ | 2025年11月16日閉店 |
| 渋谷店 | 24フロア・約5,494㎡ | 2026年11月15日閉店予定 |
| 名古屋店(タカシマヤ内) | 5〜11階・約7,432㎡ | 2027年1月11日閉店予定 |
表を見ると、いわゆる「旗艦店」と呼ばれた多層型の店舗が、この5年ほどで次々と姿を消していることがわかります。特に名古屋店は、ハンズ各店が縮小してきたDIY用品や手芸・クラフト用品を7階でフルラインのまま置き続けてきた、全国でも貴重な店でした。
- 木材・工具・塗料などのDIY素材
- 毛糸・レザークラフト・彫金などの手芸用品
- 10階の理化学用品や原石・化石
こうした「ほかでは見つからない物」を置くには広い売場と在庫が必要で、効率重視の流れとは逆行しやすいのが実情です。閉店後は、複数フロアにまたがるハンズが東海3県から姿を消すことになります。
「ハンズに行けば何かある」という安心感は、まさにこの広さが支えていたのだと改めて感じます。
跡地は何ができる?

2026年9月30日時点で、跡地に何が入るかは発表されていません。タカシマヤ側は、ハンズ閉店後のスペースに入る店舗を検討中で、準備が整い次第、計画を知らせるとしています。
ここからは公式情報をもとにした考察になりますが、有力と考えられる候補を表にまとめました。
| 跡地の候補 | そう考えられる根拠 |
|---|---|
| 名鉄百貨店から移る店舗の受け皿 | 2026年2月に名鉄百貨店本店が閉店し、名駅で行き場を探すブランドがある |
| 化粧品・ビューティー売場の拡大 | タカシマヤは化粧品イベントを1・3〜6・9階と複数階で展開しており、ハンズ5階もビューティー売場だった |
| 催事場・イベントスペースの拡張 | 「アムール・デュ・ショコラ」や物産展など、催事が大きな集客力を持っている |
| 名古屋土産・インバウンド向け売場 | ハンズ8階の名古屋土産コーナー「でらナゴ」のように、観光客需要が見込める |
7フロア分をまるごと1つのテナントで埋めるより、階ごとに役割を分けて再構成する可能性が高いと筆者は見ています。
なお、閉店後にハンズを使いたい方は、次の店舗が近隣の受け皿として案内されています。
- ハンズ名古屋松坂屋店(中区・松坂屋名古屋店南館地下1階)
- ハンズ名古屋モゾ ワンダーシティ店(西区・mozoワンダーシティ3階)
- ハンズ イオンモール大高店(緑区・イオンモール大高2階)
- ハンズ桑名店(三重県桑名市・イオンモール桑名3階)
名駅の「待ち合わせついでにハンズ」がなくなるのは惜しいですが、次に何ができるのか、正直少しワクワクもしています。
東急ハンズは閉店ラッシュなの?過去に閉店した東急ハンズの店舗例

渋谷店と名古屋店の閉店が続いたことで「ハンズがなくなるのでは」と心配する声もあります。これまでに閉店した主な店舗を並べてみました。
・2018年3月21日:東急ハンズ札幌店閉店(移転のため)
・2020年9月6日:東急ハンズ心斎橋店閉店(移転のため)
・2020年12月31日:東急ハンズ三宮店閉店
・2020年12月31日:東急ハンズ国分寺店閉店
・2020年12月31日:東急ハンズ川崎ダイス店閉店
・2021年10月17日:東急ハンズANNEX店閉店(移転のため)
・2021年10月31日:東急ハンズ池袋店閉店
・2022年1月16日:東急ハンズトラックマーケット水戸オーパ店閉店
・2022年10月30日:東急ハンズトラックマーケット イオンモール座間店閉店
・2023年2月19日:東急ハンズトラックマーケット いわきラトブ閉店
・2023年2月28日:東急ハンズトラックマーケット アティ郡山閉店
・2023年3月18日:東急ハンズトラックマーケット 西宮閉店
・2023年4月10日:ハンズ ビー グランエミオ大泉学園店閉店
・2025年2月24日:ハンズ広島店閉店(移転のため)
・2025年8月17日:ハンズ ビー エトモ中央林間店閉店
・2025年11月16日:ハンズ梅田店閉店
・2026年11月15日:ハンズ渋谷店閉店
・2027年1月11日:ハンズ名古屋店閉店
こうして並べると閉店が多く見えますが、2020〜2021年はコロナ禍による赤字が原因、2025年以降は梅田店が「大丸梅田店の改装」、渋谷店が「賃貸借契約の満了」、名古屋店が「テナント契約の満了」と、建物側の事情によるものが中心です。
| 決算期 | ハンズの業績 |
|---|---|
| 2021年3月期 | 最終損益が約71億円の赤字 |
| 2023年2月期 | 売上高514億円(カインズ傘下で最初の決算) |
| 2024年2月期 | 売上高605億円 |
| 2025年2月期 | 売上高675億円、経常利益ベースで32年ぶりの最高益 |
業績は回復しており、2025年にはイオンモール福岡や近鉄和歌山(和歌山県初出店)、2026年にはイオンモール太田や自由が丘ミューズスクエアへの出店も進めています。「閉店ラッシュ」というより、大型路面店・多層店から商業施設内の店舗へと入れ替えている段階と見るのが実態に近いでしょう。
ハンズそのものがなくなるわけではないと知って、少しホッとした方も多いのではないでしょうか。
東急ハンズ名古屋店の閉店を悲しむ声は多い

本記事で確認できた、ハンズ名古屋店の閉店に触れたSNS投稿やネット上のコメント9件を分類すると、次のような割合になりました。
| 口コミの傾向 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 悲しい・寂しい・困るなど閉店を惜しむ声 | 7件 | 約78% |
| 閉店情報の共有・冷静な分析 | 2件 | 約22% |
代表的な口コミは次のとおりです。
- 「ショックなニュース。タカシマヤへ行く理由がなくなる」
- 「ハンズ名古屋店も来年早々に閉店してしまいます…😭困ってしまいます😭😭」
- 「売上げの大きいところが閉店していってハンズ無くなるのかと思っちゃいますよね。」
- 「ハンズ名古屋店さんは来年閉店されるので、この場所でのこのイベントは最後ですよ~。」
- 「ハンズ名古屋店さん、来年閉店するそうなので少しでもうさフェス盛り上げられるといいなの気持ち…」
買い物客だけでなく、「ネコマチ商店街」や「うさフェス」といった催事に参加してきた作家さんからも、名残を惜しむ投稿が見られました。ほかにも「ネットで買う機会は増えたが、ハンズを散策するのが好きだった」「あれだけの広さを埋める店が入るのか不安」といった声も寄せられています。
2026年8月には名古屋店最後の夏の「でら得セール」が始まり、店内は大勢の客でにぎわいました。閉店の2027年1月11日までには、感謝を込めたイベントも予定されています。
目的もなく階を上がりながら「こんな物まであるのか」と驚ける場所だっただけに、閉店までにもう一度ゆっくり歩いておきたいと心から思います。
