銀座の一等地に構える東急プラザ銀座。
象徴的な商業施設なのに、空室が目立っていると声があがっています。
地下鉄銀座駅と直結しており、利便性も高いはずなのになぜ閉店する店舗が多いのでしょうか。
東急プラザ銀座の閉店ラッシュがガラガラ?閉店一覧を紹介
2016年3月31日、銀座の新たなランドマークとして期待を集めてオープンした東急プラザ銀座。
ファッション、ライフスタイル、フード&カフェ、レストランなど125店舗もの多様な店舗が集まり、新業態やエリア初出店が約半数を占める華やかなスタートでしたね。
当初は外国人観光客で賑わい、高級ブランドショップが軒を連ねる活気ある商業施設でした。
東急グループの本格的な銀座進出として大きな話題を集めたのです。
しかし、その輝きは長く続きませんでした。
以下の閉店が相次いでいます。
・2018年1月28日:BIRTHDAY BAR TOKYO
・2020年1月16日:HANDS EXPO閉店
・2021年11月15日:HINKA RINKA閉店
・2022年3月27日 : バリー閉店
・2024年1月21日 : CHAN LUU閉店
HINKA RINKAは3階から5階までの大型区画を占めており、その閉店は施設の集客力を大きく低下させる結果となりました。
2024年時点でも6、7階フロアはガラガラの状態です。
(出典:東急プラザ銀座)
週末限定でイベントスペースとして活用されているものの、本来の商業施設としての機能を果たせていない状況が続いているのです。
HINKA RINKAは東急百貨店によるファッションをテーマにしたセレクトショップとして期待されていました。
また、HANDS EXPOは東急ハンズの新業態として注目を集めていたのですね。
こうした主力テナントの撤退は、東急プラザ銀座の苦境を象徴する出来事となったのです。
東急プラザ銀座が閉店ラッシュ…。閉店理由を考察
東急プラザ銀座内の閉店が立て続いた理由、ひいてはなかなか次の店舗が入らない背景には次のようなことがあるのではないでしょうか。
理由1:東急不動産ホールディングスが売却したため
2023年4月5日、東急不動産HDは重要な決断を下しました。
東急プラザ銀座を三井住友トラスト・パナソニックファイナンスへ売却したのです。
売却時の帳簿価格は1185億円。
驚くべきことに、211億円もの減損損失を計上することになりました。
施設の収益性が著しく低下していたことを示しているのですね。
東急不動産HDは「事業ポートフォリオや資産ポートフォリオの入れ替えによる効率化の一環」と説明しています。
しかし、この説明の裏には深刻な経営課題が隠されていたのです。
当初の期待値と現実の収益のギャップが大きすぎたのですね。
2007年に東芝不動産から1610億円で取得した物件が、わずか16年で大幅な価値下落を余儀なくされてしまいました。
売却後も運営は東急不動産が継続していますが、この決定は銀座における商業施設運営の難しさを如実に物語っているのです。
理由2:高い賃料と消費者の変化による影響を受けたため
建築費の高騰は深刻な問題でした。
2013年の着工時期が、東京オリンピック開催決定後の建設ラッシュと重なってしまったのです。
加えて、数寄屋橋交差点という超一等地ゆえの土地取得費も膨大でした。
これらのコストは必然的にテナント賃料に反映されることになったのですね。
消費者行動も大きく変化しています。
オンラインショッピングの急速な普及により、実店舗の存在意義が問われる時代となりました。
高額な賃料を支払ってまで実店舗を維持する必要性が薄れてきているのです。
(出典:東急プラザ銀座)
上記は2022年11月の資料ですが1階のエレベーター前のスポットを借りる場合、物販売上の20%/日(最低保証として平日3.3万円、休日4.4万円)かかるようです。
スポット出店でもこれほどかかるので、フロアの一角を長期的に借りるとなるとかなりの賃料を払う必要がありますよね。
社会情勢の変化などを受けて売上が伸び悩む中で高額賃料を支払い続けることは、経営を圧迫する要因となったのかもしれません。
理由3:三越や松屋、GINZA SIXなど競合店の影響を受けたため
競合環境の厳しさは想定以上でした。東急プラザ銀座のオープンとほぼ同時期の2017年、GINZA SIXが開業したのです。
GINZA SIXは、より大規模で高級感のある施設として注目を集めました。両施設は海外ブランドの誘致を巡って激しい競争となり、多くのブランドをGINZA SIXに奪われる形となったのですね。
銀座には歴史ある老舗百貨店も健在です。銀座三越や松屋銀座は海外でも高い知名度を持っており、多くの外国人観光客を集めているのです。
新参者である東急プラザ銀座は、これら老舗との差別化に苦心することになりました。
フロア構成を見ても、他の銀座エリアの商業施設と比べて特徴的な店舗構成や目玉となるテナントが少ないのですね。
「わざわざ東急プラザ銀座に行く理由」を消費者に提示できていないという課題が浮き彫りになっています。
理由4:地下街からの誘導が弱いため
銀座駅と直結しているにもかかわらず、施設内の動線には大きな問題がありました。
エレベーターやエスカレーターの配置が複雑で、買い回りのしづらい設計になっているのです。
地上からのエントランスもわかりにくいという声が多く聞かれます。
外堀通りに面した入口は存在感があるものの、気軽に立ち寄りやすい雰囲気を作り出せていないのかもしれません。
地下街からの導線も最適化されていません。
銀座の地下街は広大なネットワークを形成していますが、その利点を活かしきれていないのかもしれませんね。
理由5:コロナ禍による影響を受けたため
東急プラザ銀座に限った話ではないですが、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大は、致命的な打撃となりました。
インバウンド需要に大きく依存していた東急プラザ銀座にとって、外国人観光客の激減は深刻な問題だったのですね。
8階と9階に設置された大型免税店「ロッテ免税店銀座」は、コロナ禍で客足が激減。かつては中国語が飛び交い、活気に満ちていた館内が、静かで人の少ない空間へと様変わりしてしまったのです。
テレワークの普及も大きな影響を与えました。銀座エリアはオフィス街としての一面も持っており、平日の昼間人口が大幅に減少。ビジネスパーソンの利用が激減してしまったのですね。
緊急事態宣言下での営業時間短縮や休業要請も追い打ちをかけました。
多くの店舗が営業制限を余儀なくされ、施設全体の集客力が著しく低下したのです。
東急プラザ銀座は閉店ラッシュから生まれ変わる?今後について
東急プラザ銀座の今後は?
新オーナーのもと、様々な再生策が検討されており、またコロナ禍が落ち着きインバウンド需要が戻ってきた現代、東急プラザの
7階の大型空きスペースは、週末限定でイベントスペースとして活用。
ポップアップストアや各種イベントの開催で、新たな賑わいを創出しようとしているのですね。
SNS戦略も積極的に展開中です。
TikTokのフォロワー1万2000人以上、Instagramも8000人を超えるフォロワーを獲得。
若い世代への訴求を図っているのです。
他にも屋上の「KIRIKO TERRACE」は、都心の絶景スポットとして人気を集めています。
360度のパノラマビューを活かしたフォトスポットとして、SNSでの発信が活発に行われているのですね。
東急プラザ銀座の概要
地上11階・地下5階建て、店舗面積2万2000平方メートルの大型商業施設です。
2016年の開業時には125店舗が出店し、その約半数が新業態やエリア初出店でした。
建築デザインには江戸切子をモチーフとした特徴的な外観を採用。
銀座・数寄屋橋交差点の新たなランドマークとなることを目指したのですね。
東急プラザ銀座が向いている人
施設は依然として課題を抱えていますが、銀座の新たなランドマークとしての可能性を秘めているのですね。
今後は、時代のニーズに合わせた柔軟な運営戦略が求められているのです。
項目 | 詳細 |
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名称 | 東急プラザ銀座 (TOKYU PLAZA GINZA) |
用途 | 物販店舗、飲食店舗、駐車場 |
設計者 | 日建設計、商環境デザイン インフィクス |
構造設計者 | 日建設計 |
施工 | 清水建設 |
建築主 | 東急不動産 |
構造形式 | 鉄骨構造、一部鉄骨鉄筋コンクリート構造 |
敷地面積 | 3,766.73 m² |
延床面積 | 49,700.00 m² |
階数 | 地下5階、地上11階 |
高さ | 66.00m |
着工 | 2013年9月20日 |
竣工 | 2016年3月 |
開館 | 2016年3月31日 |
所在地 | 〒104-0061 東京都中央区銀座五丁目2番1号 |
施設構成 |
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交通アクセス | JR有楽町駅より徒歩4分、東京メトロ銀座駅より徒歩1分、 日比谷駅より徒歩2分、都営三田線日比谷駅より徒歩2分 |
公式リンク | 公式HP, Instagram, TikTok |