千葉県で格安スーパーとして長年愛されてきたトップマート。
全店舗閉店に至った背景を調査・紹介します。
トップマートの全店閉店理由は?なぜ撤退?

(出典:トップマート)
閉店した背景には次のようなものが考えられます。
特に1つ目の要素が一番大きいと思われます。
閉店理由1:2025年2月28日付けでクスリのアオキに事業を譲渡したため

(出典:クスリのアオキ)
トップマート全店撤退の最も大きな要因として、2024年12月5日に締結されたクスリのアオキとの事業譲渡契約が挙げられます。
これによってトップマートを運営する企業は2025年2月28日付でスーパーマーケット事業をすべてクスリのアオキへ譲渡することになったのです。
例え、それぞれの店舗をクスリのアオキにリニューアルするにしてもそのままの店舗や看板を使い続けることはできず、全店閉店に至ったのでしょう。
ちなみにクスリのアオキは石川県を拠点に全国展開しているドラッグストアチェーンであり、ここ数年は食品強化型の店舗を増やしていることで知られていますよね。

(出典:株式会社クスリのアオキホールディングス)
ドラッグストアに生鮮品売り場を併設するなど、買い物のワンストップ化を図る店舗運営を推し進めてきたことが特徴。
クスリのアオキが地方スーパーマーケットを吸収合併や譲受で取り入れるケースが増えているのは、競合他社との差別化を図るねらいがあると考えられます。
店舗網を増やすだけでなく、食品販売における地域密着ノウハウの獲得も視野に入れているのではないでしょうか。
こうした背景からトップマート側としても、単独での生き残りが難しいと判断し、譲渡を決断した可能性が高いのです。
閉店理由2:物価高や人件費の高騰、店舗の老朽化などによる経営難のため
トップマートは「お値段半額!お買い物二倍!」をキャッチコピーに低価格戦略を打ち出し、多くの利用者を惹きつけてきました。

(出典:トップマート)
しかし、近年は原材料費や物流費の上昇が顕著で、物価全体が上がっている状況。
さらに最低賃金引き上げなどの影響により人件費も高騰し続けているため、低価格路線を維持するのが難しくなったのではないでしょうか。
こちらは厚生労働省の資料になるのですが令和5年と6年で最低賃金が時給で50円増額しており、薄利多売のスタイルを取っていたトップマートにとって、年々人件費が高騰する現代の動きはかなりの痛手だったはず。


(出典:厚生労働省)
また、店舗の老朽化という点も見過ごせないですね。
トップマート蘇我店など、一部の店舗では開業から数十年が経過していて、設備更新に大規模な投資が必要とされる時期に差しかかっていたと思われます。
以下のような可能性も十分にありえます。
物価上昇や老朽化の問題が重なった結果、早めに事業譲渡に踏み切らなければならなかったと考えられます。
ドラッグストア大手のクスリのアオキへバトンを渡す道が最適と判断されたのかもしれませんね。
過去に閉店した店舗一例

(出典:トップマート)
閉店に至った店舗の一例を紹介します。
トップマート蘇我店
昭和61年(1986年)に1号店としてオープンし、2024年3月24日に営業を終了した店舗。
38年間という長い歴史を持ち、千葉市中央区南町2丁目のJR蘇我駅東口から徒歩5分ほどの好立地が特徴でした。
駅前で仕事帰りなどに立ち寄りやすく、2階に100円ショップ(キャンドゥ)があった点も多くの人に喜ばれていたのではないでしょうか。
トップマート志津店
2012年に佐倉市でオープンし、地域の方に愛されてきた店舗です。
閉店セールの際には夕方の値下げがかなり魅力的だったとSNSなどで話題に。
地元民からは「残念」「これからどこで安く買えばいいのだろう」といった声が上がっています。
トップマート津田沼店
船橋市前原東2丁目に位置しており、1994年11月にオープンした店舗。
周辺にはイオン系や西友など比較的大きなスーパーがある環境でしたが、その中でも輸入肉やお惣菜がお得に買えるスーパーとして一定の人気がありました。
トップマート松ヶ丘店
千葉市中央区仁戸名町にあった、本社機能も置かれている店舗です。
地域の人たちにとって生鮮品の入手先としてだけでなく、生活雑貨や日配品の確保にも活用されてきました。
トップマートの跡地は?蘇我店の跡は何ができる?
突然の閉店ラッシュにより、「この先、跡地にはどんな施設が入るのか」と気になる方が続出しているようです。
前述の通り事業譲渡先が決まっているため、地域住民としては別の形でスーパー機能が維持されることを望む声も大きいですよね。
蘇我店の跡地はホテル
多くの方が「かつての1号店があった場所はどうなるのか」という疑問を持っているようです。
蘇我店の跡地については、すでに「ホテルが建設される」という具体的な話が持ち上がっており、ホテルの建設計画の看板も立ち、宿泊施設ができることは確実です。
完成予定は2026年3月末のようで、計画を見る限り7階建てのようで、東横INNのような形ですね。
蘇我店があった場所はJR蘇我駅東口から徒歩5分ほどと非常に便利な立地です。
このエリア(西口)はサッカーの試合が開催されるスタジアムが近かったり、大きな商業施設が点在していたりするため、宿泊施設の需要が高まっているといわれますね。
ビジネス客や観光客が蘇我を起点に活動する機会も増えており、駅周辺の宿泊インフラ拡充は良いタイミングなのではないでしょうか。
他トップマートの店舗の跡地はどうなる?
閉店後は以下のような展開が想定されるようです。
クスリのアオキとしてドラッグストアにリニューアル
事業譲渡契約によって、比較的早期にドラッグストア形態に生まれ変わる場合もあるでしょう。
割とこのパターンが多いと思われます。
地域によっては食品を多く取り扱うこともあると思われます。
土地・建物を第三者が引き継ぎ、別のスーパーになる
既存店舗の建物を活用してローカルスーパーや他チェーンの店舗が入る可能性も。
先ほどの蘇我店のように土地が売り出されるケースも多いはず。
地域住民は買い物場所に困っている、需要があると思われるので全く異なるスーパーが引き継ぐ展開も十分に考えられます。
こうした動向を見ると、跡地がどのような形で利用されるかは店舗ごとに変わると思われ、地域の需要や地価などによってかなり異なるでしょう。
トップマートの閉店を惜しむ声は多く、一方で新しい施設の期待を寄せる声もあります。
時代の流れや競争激化を考えると、大手ドラッグストアとの提携や合併が増えてきている昨今の流れは、ある程度仕方のないことなのではないでしょうか。