アメリカ・ロサンゼルス発のオーガニックカフェとして人気を集めてきたアースカフェですが、2025年2月末をもって日本国内での営業(店舗とオンラインストアの両方)を終了しましたね。
日本初上陸時には長蛇の列ができるほど話題を呼んだだけに、多くの方が「なぜ閉店してしまったのか」と疑問に思われます。
本記事ではアースカフェ閉店の背景を調査し、その理由や愛されてきた魅力まで紹介していきます。
アースカフェ閉店理由とは?なぜ撤退したのか考察

(出典:Urth caffe)
アースカフェは代官山に1号店をオープンした2013年4月から、多くのメディアやSNSで取り上げられてきた存在。
「あのふんわりパンケーキとロサンゼルスっぽい雰囲気が大好きだったのに閉店するなんて……」とショックを受ける人も多かったはず。
ちょっと話は変わりますが、このブランドには、創始者であるバークマン夫妻がオーガニックコーヒー栽培を守るためにペルーの小さな村で奮闘した歴史があります。
ここからはアースカフェが撤退に至った3つの理由を掘り下げていきます。
閉店理由1:人件費や物価の高騰のため
以下の厚生労働省の図のように近年の日本では、最低賃金の引き上げや原材料の価格上昇が全国的な課題になっていますよね。

(出典:厚生労働省)
オーガニック食材を中心としたメニューを提供するアースカフェは、仕入れコストの高さが経営を圧迫したと考えられます。
さらに、バリスタなど専門技術を要するスタッフを確保し続けるための人件費も少なくなかったのではないでしょうか。
オーガニックコーヒー豆は大量生産の一般的なコーヒー豆よりも価格が高いですよね。
アースカフェは米国OCIAのオーガニック認定を受けた生豆を輸入していたため、円安や流通コストの増大が経営を圧迫したようです。
実際に輸送費の高騰が飲食企業全体に大きく影響しており、運営費用の増加は無視できない課題になっていたと思われます。
まとめると以下のような負担が増えたと予測されます。
上記のような要素が重なると、採算ラインを下回りやすくなるのではないでしょうか。
アースカフェも同じように苦戦を強いられた可能性が高いですよね。次の理由にもつながります。
閉店理由2:競合店の増加による影響を受けたため
ここ数年で、日本国内にオーガニックやヘルシー志向を全面に押し出すカフェが大幅に増えています。
アースカフェが日本に進出した当初は、LAテイストの開放的な内装や、100%無農薬栽培のコーヒーを提供する姿勢が目新しかったですよね。
健康を意識した若い世代からは「海外セレブ気分を味わえるお店」として脚光を浴びていたのではないでしょうか。
ですが、同様のコンセプトをもつブランドが都内や主要都市に軒並みオープンし始め、「ちょっとおしゃれなオーガニックカフェ」という印象が珍しくなくなったのが現実なのです。
- MMCオーガニックカフェ
- ジオオーガニックカフェ
- なごみナチュルア
SNSで話題になりやすいカフェや、ホテル直営カフェなどが数多く登場したことで、アースカフェの独自性が埋もれてしまったとも考えられます。
パンケーキやワッフルをメインにアピールする競合店も続々と進出しています。
そうした背景からアースカフェのブランド力が相対的に薄れてしまい、売上維持が難しくなった面もあるのではないでしょうか。
閉店理由3:アメリカ国内での事業に専念するため

(出典:Urth caffe)
アースカフェ本社があるアメリカ・ロサンゼルス方面では、10店舗以上を展開するなどさらに拡大を進めているようです。
海外進出はブランド認知度を高める絶好のチャンスですが、そのぶん物流や人材確保などで大変な労力が必要となるのですね。
国内店舗閉店とともにオンラインストアも閉店したことからも、「アメリカ国内の事業拡充にリソースを集中させたい」という経営的判断があったのではないでしょうか。
バークマンさん夫妻は「コーヒーで人と地球を健康にする」という理念をもって活動。
アースカフェではサステナブルで高品質なコーヒー豆を安定的に供給するため、現地農家との協力体制やロサンゼルスでの拡大に全力を注ぐ道を選んだと考えられます。
やはり国内外で多店舗を経営するには莫大な手間がかかり、そのうえブランディング戦略やスタッフ教育なども重要になりますから、ブランドが集中投下できる国を絞ったのは自然な流れなのかもしれませんね。
アースカフェ閉店を悲しむ声は多い
閉店のニュースが駆け巡った際には、SNS上でも「もう一度行きたい」「学生時代の思い出の店がなくなるのは寂しい」というコメントも。
特に横浜ベイクォーター店や代官山店は、週末に行列ができるほどの人気ぶりでした。
人気だった理由って?
カリフォルニアの店舗をそのまま日本に持ち込んだような明るくナチュラルな内装が特徴的で、居心地が良いと人気でした。
南国の植物や木材をふんだんに使った店内は、まるでロサンゼルスにいるような空気感を醸し出していましたね。
また、化学肥料を使用せず、森林保護や農家の暮らしを守りながら作られたコーヒー豆は深いコクとさわやかな香りをもっていました。
サラダや焼き菓子にも新鮮な素材を使っていて、健康とおいしさを両立させていたのが人気に拍車をかけたと考えられます。
- オーガニックオートミール粉を使ったパンケーキ
- アボカドエッグサンドウィッチ
- ワッフル
- オーガニックコーヒー
- ボバ(タピオカドリンク)
アースカフェ代官山店のブランチタイムでは、エッグベネディクトやアボカドトーストを求める行列がよく見られましたね。
オーガニックオートミールを使ったパンケーキやスイーツ系ワッフルが「SNS映え」するとして注目度が高かったのではないでしょうか。
こうした要素が組み合わさって、とくに若い女性やカップル、家族連れにも好評だったのだと思います。
ロサンゼルス感を気軽に体験できる特別な場所。そう表現しても過言ではないでしょう。
閉店を悲しむ声は多い
やはり「日本であのオーガニックラテが飲めなくなるなんて」と嘆く方はとても多いようです。
ラテアートの可愛さはもちろん、ゆったりとしたソファ席で時間をかけておしゃべりする楽しさも魅力的でした。
ショーケースに並ぶ色とりどりのケーキやマフィンを見ていると、それだけでLA旅行の気分になれたのではないでしょうか。
閉店前には、横浜ベイクォーター店などでラストドリンクを求める人々が殺到し、店の外にも列ができていたそうです。
長年通っていた人にとっては思い出が詰まった空間であり、スタッフと仲良くなった方も少なくなかったようですよね。
今後はロサンゼルスや海外のアースカフェ店舗に足を運ばなければ、あの味は味わえないかもしれません。
気軽に行けないですがロサンゼルス旅行の際に、本場の雰囲気とコーヒーを楽しんでみるのも良いかもしれませんね。