ウィンマートの閉店理由は？本店レビューや富谷市東向陽台店が撤退した背景とは

宮城県富谷市に根差し、24時間営業という画期的なサービスで地域住民の生活を支えてきた「ウィンマート」。

本店があった東向陽台エリアでは、なくてはならない存在でしたが、そんなウィンマートが閉店したという話が広まり、多くの人々がその理由を知りたいと思っています。

なぜ、地域に愛されたスーパーは撤退という決断に至ったのでしょうか。

ウィンマートの閉店理由は？富谷市東向陽台店が撤退した背景とは

地域に密着したスーパーとして、多くのファンに支えられてきたウィンマート。

その閉店の背景には、一つの理由だけでは語りきれない、複数の複雑な要因が絡み合っていると考えられます。

原料費や光熱費、人件費の高騰のため

まず最も大きな要因として考えられるのが、近年の急激なコスト上昇で、ウィンマートのような独立系の地域密着型スーパーにとっては、その影響は非常に大きかったと思われます。

具体的には、生鮮食品の仕入れ価格が世界的な需要増や天候不順によって高騰し、以前のような手頃な価格で提供することが難しくなってきたことが考えられます。

以下は内閣府の情報で、政府も対策はしてくれているものの、それでも運営側の負担が年々増えていることは言うまでもありません。

（出典：内閣府）

ウィンマートの強みは新鮮でお得な生鮮食品でしたから、この仕入れ値の上昇は経営を直撃したのではないでしょうか。

ウィンマートの大きな特徴であった「24時間営業」は、顧客にとっては非常に便利なサービスでしたが、経営面では大きな負担となっていたようです。

深夜帯も照明や冷蔵・冷凍設備の電力を消費し続けるため、昨今の電気料金の値上がりは、想定以上のコスト増につながったと思うのです。

有人営業の時間帯を支える従業員の人件費も、最低賃金の上昇に伴い増加傾向にあり、経営全体を圧迫する要因になったと考えられます。

これらのコスト増が、利益を確保する上での大きな壁となったのかもしれません。

大手資本との競争激化と差別化戦略の限界のため

ウィンマートが戦っていた市場は、決して楽なものではなかったのです。

周辺には大手スーパーマーケットも存在し、常に厳しい価格競争やサービス競争に晒されていたと考えられます。

ローカルスーパーが生き残るためには、大手にはない「何か」で差別化を図る必要があります。

ウィンマートは、「元おさかな屋さん」というルーツを活かした新鮮な魚介類や、手作り感のある美味しいお惣菜、そして「24時間無人営業」という先進的な取り組みで、独自の魅力を打ち出していました。

この戦略は、多くの地元ファンを獲得する上で非常に有効だったと思います。

しかし、近年では大手スーパーもその戦略を大きく進化させていて、高品質なプライベートブランド商品を開発したり、地域限定の商品を積極的に取り入れたりすることで、「安さ」だけでなく「品質」や「独自性」でも勝負してくるようになりました。

また、ネットスーパーやデリバリーサービスを拡充し、利便性でも地域店を上回ろうとしています。

ウィンマートが先駆けて導入した「無人営業」も、Amazon Goに代表されるように、いずれは大手資本がより洗練された形で導入してくる可能性がありました。

画期的な取り組みではあったものの、その初期投資や維持コストを考えると、大手との体力勝負になった場合、持続的な優位性を保ち続けるのは非常に困難だったのかもしれません。

事業承継の困難さのため

企業の存続には、経営者の存在が不可欠です。

ウィンマートのような中小企業の場合、経営者のリーダーシップや情熱が事業の原動力となっていることが多いのです。

その点で、ウィンマートの成り立ちを考えると、「事業承継」という課題が閉店の一因になった可能性も否定できません。

ウィンマートは、2008年に廃業した「生鮮ショップマルヨシ」の元従業員の方々が中心となって立ち上げた、という経緯があり、お店と地域に対する強い愛情がなければ成し得ない、素晴らしい再出発だったと思います。

しかし、その立ち上げから15年以上が経過し、創業を支えた中心メンバーの方々が引退を考える年齢になっていたとしても不思議ではありません。

問題は、その情熱や経営ノウハウを、次の世代にうまく引き継ぐことができたかどうかです。

前述のような厳しい経営環境の中で、事業を引き継ぐことには大きな責任とリスクが伴います。

親族や従業員の中に適任者がいなかったり、いたとしても引き受けることに躊躇してしまったりするケースは、全国の中小企業で共通して見られる深刻な課題なのです。

24時間無人営業という先進的なシステムを導入したものの、それを将来にわたって維持・発展させていける人材を確保することも、決して簡単なことではなかったでしょう。

創業メンバーの引退とともに、お店の歴史に幕を閉じるという決断が下された、という可能性も十分に考えられるのです。

ウィンマート本店に対する声を調査

今回、ウィンマート本店を利用したことがある方の代表的なご意見をまとめました。

以下のように単なる「安いスーパー」としてだけでなく、地域の生活に深く根付いた存在として愛されていた様子が伝わってきます。

「月曜と金曜の特売日は、本当に我が家の家計の救世主でした！朝から行かないと駐車場が満車になるくらい混んでたけど、それだけの価値がありました。特にお肉の半額はすごかった！」

「ここのお寿司が大好きでした。夕方18時過ぎに行くと半額になっていることがあって、それを狙ってよく通いました。ネタが新鮮で、そこらへんの回転寿司より断然美味しかったです。」

「24時間営業には本当に助けられました。仕事柄、帰りが深夜になることが多いのですが、ウィンマートがあったおかげで、コンビニ弁当じゃなくてちゃんとした食材を買って自炊できました。あの明かりが消えてしまったのは寂しいです。」

「お店は正直、狭くて古い感じはありました（笑）。でも、それがまた味があって良かったんです。店員のおばちゃんが『今日はこれがお買い得だよ！』って教えてくれたり、アットホームな雰囲気が好きでした。」

「他のお店では見かけないような、珍しいインスタントラーメンや調味料が置いてあるのが面白かったです。宝探しみたいで、行くたびに新しい発見がありました。」

「駐車場が狭くて、道路を渡った向かいの駐車場も停めにくいのが唯一の難点でしたね。セール日は特に、駐車するまでが一苦労でした。」

「元々お魚屋さんだったと聞いて納得。お刺身の鮮度が抜群でした。閉店してしまって、これから美味しいお魚をどこで買えばいいのか途方に暮れています。」

Q&A

ウィンマートの閉店に関して、多くの人が抱くであろう疑問についてお答えします。

ウィンマートは本当に全店閉店してしまったのですか？

残念ながら、地域に長く愛されてきた富谷市東向陽台の「ウィンマート本店」は閉店となりました。しかし、ウィンマートには仙台市青葉区に「小松島店」も存在します。本店と小松島店では経営状況や方針が異なる可能性もあるため、小松島店の営業状況については、別途確認することをおすすめします。今回の閉店は、あくまで東向陽台店に関するものと考えるのが正確かもしれません。

ウィンマートの24時間無人営業は、他のスーパーとどう違ったのですか？

ウィンマートの無人営業は、大手IT企業が莫大な資金を投じて開発したような最先端システムというよりは、既存の設備と「顔認証」を組み合わせた、いわば“地域密着型”の創意工夫の結晶だった点が特徴です。人手不足という深刻な課題を解決しつつ、営業時間を延ばして顧客サービスを向上させたい、というローカルスーパーならではの切実な思いから生まれた仕組みだったと言えるでしょう。小松島店では利用に顔認証の事前登録が必要でしたが、本店では従業員が一人常駐するハイブリッド型を採用するなど、店舗ごとに最適な形を模索していた点も、大手にはない柔軟さであり、非常に興味深い取り組みでした。

ウィンマートの前身「マルヨシ」はどんなお店だったのですか？

ウィンマートは、もともと「生鮮ショップマルヨシ」という名前で長年地域で親しまれていたスーパーマーケットでした。口コミによると、元々おさかな屋さんだったという話もあり、その名残でウィンマートもお魚や生鮮食品に強いという評価につながっていたようです。2008年に一度廃業という形になりましたが、そのお店を愛する元従業員の方々が跡地でウィンマートを立ち上げたという経緯があります。つまり、お店の名前は変わっても、地域とのつながりや食へのこだわりといった「マルヨシ魂」が引き継がれていた、まさに地元の人々の思いが詰まったスーパーだったと言えるのです。