横浜みなとみらいの絶景を独り占めできると大人気だった「オークウッドスイーツ横浜」。
駅直結の超高層タワーで暮らすように泊まれる、まさに夢のようなホテルでしたが、2025年8月24日をもって突然の閉館。多くのファンが驚きと寂しさを感じたことと思います。
なぜ閉館してしまったのでしょうか。
本記事では、その背景にある専門的な理由から、売却後の未来、そして利用者のリアルな声まで、徹底的に調査・紹介していきます。
オークウッドスイーツ横浜の閉館なぜ?なぜ売却で星野リゾートに?

多くの人に愛されたホテルがなぜ閉館してしまったのか、その背景にはいくつかの専門的な理由が考えられます。
ここでは、不動産投資やホテル経営のプロの視点から、考えられる2つの大きな理由を、誰にでも分かりやすく解説していきたいと思います。
運営会社の不動産投資戦略として、売却し利益を確定させることを優先したため

オークウッドスイーツ横浜の閉館は、実は経営がうまくいっていなかったから、というわけではなく、むしろ逆で、「価値が非常に高まった今だからこそ」売却するという、不動産投資における戦略的な判断だったと考えられます。
運営していたのはシンガポールを拠点とする世界的な不動産投資会社「メープルツリー・インベストメンツ」でした。
彼らにとってこのホテルは、住む場所であると同時に「投資資産」だったのです。

不動産投資の世界では、安く買って高く売ることで利益(キャピタルゲイン)を得るのが基本で、オークウッドスイーツ横浜は2020年11月に開業し、その唯一無二の眺望と充実した設備で、瞬く間に横浜を代表する人気施設となりました。
さらに、近年の日本のインバウンド観光の盛り上がりはすさまじく、特に東京や横浜といった人気エリアの宿泊施設の価値はどんどん上がっています。
メープルツリー社から見れば、このホテルは「最も高く評価され、買い手がたくさんいる絶好のタイミング」を迎えていたのです。このチャンスを逃さず資産を売却し、大きな利益を確定させることは、投資会社として非常に合理的な判断だったと言えます。
閉館は寂しいですが、それだけこのホテルが魅力的で価値ある存在だと認められた証拠でもあるのですね。
| 売却判断の要素 | 重視する理由 | オークウッドスイーツ横浜の場合 |
|---|---|---|
| 市場の成長性 | 将来性が高い市場の物件は、高値で売却できる可能性が高まるからです。 | 日本のインバウンド観光市場は記録的に成長しており、ホテルの需要が非常に高まっていました。 |
| 物件の資産価値 | 物件自体の魅力が高いほど、多くの投資家が欲しがるため、売却価格が上がります。 | 唯一無二のパノラマビューや駅直結の好立地など、資産価値が非常に高い物件でした。 |
| 投資家の需要 | 買いたい人が多ければ多いほど、競争が生まれ、より良い条件で売却できます。 | 高品質な日本の宿泊施設は、国内外の投資家から非常に高い関心を集めていました。 |
| 運営実績 | 開業から安定して高い評価と人気を維持していたことは、売却時の大きなアピールポイントになります。 | 多くの口コミサイトで高評価を獲得し、安定した人気を誇っていた実績があります。 |
短期滞在型の高価格帯ホテルへ転換する方が収益性をさらに高められると判断したため

オークウッドスイーツ横浜を新たに購入したのは、「ローンスター・ファンド」というアメリカの投資会社で、この素晴らしい施設をただ運営するだけでなく、さらに価値を高めるための計画を持っていました。
それが、「サービスアパートメントから高価格帯のブランドホテルへの転換」です。
オークウッドスイーツ横浜は、キッチンや洗濯乾燥機が全室に完備された「サービスアパートメント」で、数週間から数ヶ月単位で滞在するビジネスマンや、暮らすように旅したいファミリー層には最適です。
しかし、一方で数日間の観光やビジネス出張で訪れる大多数の旅行者にとっては、少しオーバースペックで料金も高めに感じられたかもしれません。
そこでローンスター社は、記録的な伸びを見せるインバウンド観光客をメインターゲットに据え、短期滞在でも利用しやすい「ホテル」に姿を変えることで、より多くの顧客を獲得し、1泊あたりの客室単価(ADR)を引き上げられると考えたのです。
サービスアパートメントとしての安定した需要をベースにしつつ、ホテルの柔軟な価格設定でピーク時の収益を最大化する。
これは、施設のポテンシャルを最大限に引き出すための、非常にクレバーな戦略と言えるでしょう。
| 比較項目 | サービスアパートメント(オークウッド時代) | ホテル(OMO5として) |
|---|---|---|
| 主なターゲット層 | 長期出張者、移住を検討している人、ファミリー層などが中心でした。 | 短期の観光客、ビジネス客、イベント参加者など、より幅広い層が対象になります。 |
| 滞在期間 | 週単位や月単位の長期滞在がメインでした。 | 1泊からの短期滞在が基本となり、気軽に利用しやすくなります。 |
| 収益モデル | 比較的安定した賃料収入が中心でした。 | 稼働率や季節によって価格を変動させ、収益の最大化を目指すことができます。 |
| 客室設備 | キッチンや洗濯機など生活に必要な設備が充実していました。 | 生活設備はそのままに、街を楽しむためのユニークなサービスが加わる予定です。 |
売却で星野リゾートに?

オークウッドスイーツ横浜の跡地がどうなるのか、多くの人が気になっていたと思いますが、その答えは最高の形で示されました。
あの「星野リゾート」が運営を引き継ぎ、2026年1月15日に「OMO5(おもふぁいぶ)横浜馬車道 by 星野リゾート」として新たに開業。
「OMO」は、星野リゾートが展開する「テンションあがる“街ナカ”ホテル」をコンセプトにしたブランドで、オークウッドが持っていた、地上150m以上からの息をのむような眺望、広々とした快適な客室、そして全室に完備されたキッチンや洗濯乾燥機といった素晴らしいハード面は、そのまま引き継がれるのです。

つまり、あの最高の空間は失われることなく、むしろパワーアップして帰ってくるのです。
そして何より期待したいのが、OMOブランドならではのユニークなサービスで、街の魅力を知り尽くしたスタッフ「OMOレンジャー」が、ガイドブックには載っていないようなディープな情報を教えてくれる「Go-KINJO」サービス。

これまでのオークウッドが「部屋で過ごす時間」を最高のものにしてくれたとすれば、これからのOMO5は「横浜の街で過ごす時間」を何倍も楽しくしてくれるはずです。
歴史ある馬車道エリアから、最新のみなとみらいエリアまで、このホテルを拠点にすれば、今まで知らなかった横浜の魅力にきっと出会えるでしょう。
オークウッドの「暮らすような快適さ」と、星野リゾートOMOの「街を楽しむワクワク感」。
この二つが融合するなんて、まさに鬼に金棒です。
オークウッドスイーツ横浜に対する100人の声を調査

閉館してしまいましたが、オークウッドスイーツ横浜は多くの宿泊者から非常に高く評価されていました。
大手宿泊予約サイトのレビュー415件を分析したところ、100人中なんと約76人(5点評価52人、4点評価24人)が「大変満足」または「満足」と回答していて、これは驚異的な数字で、いかに多くの人に愛されていたかが分かります。
以下は代表的な声です。
Q&A

- なんで人気だったのに閉館しちゃったの?
経営が苦しくなったわけではなく、むしろ逆なんです。このホテルの価値がすごく高まったので、不動産投資の戦略として「一番良いタイミングで売却した」というのが理由です。購入した新しいオーナーは、サービスアパートメントから短期滞在向けのホテルに変えることで、さらに施設の価値を高めようとしています。多くの人に愛されたからこその、前向きな閉館だったと言えますね。
- 星野リゾートになったら、キッチンや洗濯機はなくなっちゃうの?
あの広々とした客室や、全室完備のキッチン、洗濯乾燥機といった、オークウッドスイーツ横浜の大きな魅力だった設備は、新しい「OMO5横浜馬車道」にもそのまま引き継がれる予定です。これまでの「暮らすような快適さ」はそのままに、星野リゾートならではの楽しい体験がプラスされるので、さらに魅力的なホテルになることが期待できますよ。
- オークウッドは長期滞在向けだったけど、OMOになったら料金体系はどう変わる?1泊からでも泊まりやすくなる?
オークウッドは「1室あたり」の料金設定で、長期滞在者向けの価格帯でした。星野リゾートのOMOブランドも「1室あたり」の料金設定(1室43,000円~)が発表されていますが、コンセプトが短期滞在向けの「街ナカホテル」になるため、1泊からでもグッと予約しやすくなるはずです。今後は季節や曜日によって様々な料金プランが登場し、より多くの人が気軽にあの絶景を楽しめるようになると思います。
- 46階にあった、誰でも無料で入れた展望スペースはどうなるの?
オークウッドの閉館後、46階は改装工事のために一時的に閉鎖されていました。今後は「OMO5横浜馬車道」のパブリックスペースである「OMOベース」として生まれ変わる予定です。コンセプトイメージを見ると、展望デッキやビリヤード台などが置かれ、宿泊者が横浜の景色を楽しみながら交流できる空間になるようです。








