多くの医学生が医師国家試験対策でお世話になったであろう、オンライン学習サービス「medu4」。
その分かりやすさと手頃な価格から、まさに医学教育界の革命児ともいえる存在でしたが、2025年11月4日、代表のDr.穂澄氏から「2028年3月末をもって全サービスを終了する」という衝撃的な発表があり、SNSでは驚きと感謝、そして悲しみの声が広がりました。
本記事では、なぜMedu4はサービスを終了するのか、その本当の理由を専門的な視点から深く考察、紹介します。
Medu4のサービス終了なぜ？本当の理由は？
Medu4のサービス終了について、運営側から明確な理由は発表されていませんが、サービスを取り巻く状況やビジネスモデルを分析すると、いくつかの複合的な要因が浮かび上がってきます。
ここでは、考えられる3つの大きな理由を、一つひとつ丁寧に解説していきます。
創業者一人に依存した労働集約的なビジネスモデルの限界に達したため
Medu4の最大の魅力は、創業者であるDr.穂澄氏がほぼ全ての講義を一人で担当している点でした。
これにより、講義の質や内容に一貫性が保たれ、多くの学生から絶大な信頼を得ていたのですが、このスタイルは、裏を返せば極めて「労働集約的」なビジネスモデルであったと言えます。
医師国家試験は毎年内容が更新されるため、それに合わせて膨大な量の講義動画を撮り直し、テキストを改訂し続ける必要があります。
これをたった一人で、しかも高いクオリティを維持しながら続けるのは、想像を絶する労力だったと思います。
また、過去にはプラットフォームの移行に伴う混乱があったり、ユーザーからはアプリの動作が重いといった技術的な課題も指摘されていました。
サービスの維持・改善にかかるコストと労力が、Dr.穂澄氏個人のキャパシティや経営的な採算ラインを超えてしまった可能性は十分に考えられるのです。
| 補足情報 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 講義スタイル | Dr.穂澄氏一人が全科目を担当します。 | 講師が変わらないため、教え方に一貫性があり、安心して受講できるのが大きなメリットでした。 |
| テキスト形式 | PDFデータで提供され、穴埋め形式が特徴です。 | iPadなどのタブレットで書き込みながら、自分だけのオリジナル参考書を作れるのが魅力でした。 |
| 価格設定 | 従来の予備校に比べて手頃な価格でした。 | 単元ごとの購入も可能で、学生が自分のペースで学習を進めやすいシステムだったのです。 |
競合サービスの台頭と医学教育市場の飽和によって、事業の成長が見込めなくなったため
Medu4がサービスを開始した2015年当時、オンラインに特化した医師国家試験対策サービスはまだ珍しい存在でしたが、この約10年で市場環境は劇的に変化し、問題集『Question Bank(QB)』で知られるメディックメディア社が提供する「Q-Assist」の台頭は非常に大きかったと思われます。
Q-Assistは、受験生の9割が利用するとされる問題演習サイト「QBオンライン」との強力な連携を武器に、急速にシェアを拡大。
問題を解いていて分からない点があれば、ワンクリックで関連講義に飛べるという利便性は、多くの学生にとって魅力的だったのです。
Medu4は「医学生の2人に1人が利用する」と言われるほどの地位を築きましたが、これは同時に、これ以上の新規ユーザー獲得が難しい「市場の飽和状態」に達していたことを意味します。
新たな成長戦略を描きにくくなったことも、サービス終了という決断を後押しした一因かもしれません。
| 年代 | 主な出来事 | 市場の状況 |
|---|---|---|
| 2015年 | Medu4がサービスを開始しました。 | オンライン特化型の先駆けとして、独自の地位を築き始めました。 |
| 2019年頃 | Q-Assistが本格的に台頭してきました。 | QBオンラインとの連携を強みに、Medu4の強力なライバルとして成長しました。 |
| 2025年 | Medu4がサービス終了を発表しました。 | 二大巨頭の競争が激化し、市場が成熟期に入ったと考えられます。 |
| 2028年 | Medu4の全サービスが終了予定です。 | 一つの時代が終わり、医学教育市場は新たな局面を迎えることになります。 |
創業者Dr.穂澄氏が、自身のキャリアにおける一つの区切りとして決断したため
様々な要因を考察してきましたが、最終的には創業者であるDr.穂澄氏自身の意思決定が最も大きな理由だったのではないか、と考えられます。
Dr.穂澄氏の経歴は、一般的な医師のキャリアパスとは大きく異なります。
東京大学医学部を卒業後、一度は医師の道に進まず、世界的な経営コンサルティングファームである「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に就職するという異色の経歴を持っています。
そこで数年間活躍したのち、医学教育の世界に飛び込み、2015年にMedu4をたった一人で立ち上げたのです。
一つの分野で結果を出した後、全く新しい領域に挑戦し、そこでもまた大きな成功を収める。
Dr.穂澄氏は、常に新たな挑戦を求める人物像が浮かび上がってきます。
Medu4というサービスを約10年かけて医学教育界のスタンダードにまで育て上げた今、その役割を終え、新たなステージへ進むための「卒業」として、サービス終了を決断したのかもしれません。
これは単なるビジネスの撤退ではなく、Dr.穂澄氏の生き方やキャリアプランが反映された、前向きな決断だったのではないでしょうか。
| Dr.穂澄氏に関する豆知識 | 備考 |
|---|---|
| 医師国家試験を「資格試験」として徹底的に分析しています。 | 合格というゴールから逆算し、最短ルートで知識をインプットする講義スタイルは、コンサルタント時代の経験が活かされていると思われます。 |
| 「センスがない」という言葉を時々使います。 | これは、非効率な勉強法や本質を捉えていない考え方に対する指摘であり、受講生にとってはっとさせられる瞬間でもありました。 |
| 熱烈なファンが多く、SNSなどでも頻繁に話題に上がります。 | その圧倒的な知識とカリスマ性から、多くの医学生にとって憧れの存在だったのです。 |
代わりの学習サイトは？
Medu4がなくなることで、今後の勉強に不安を感じている方も多いでしょう。
しかし、心配はいりません。現在もMedu4に匹敵する、あるいは異なる強みを持つ優れた学習サービスが存在します。
ここでは、特におすすめの2つのサービスを比較しながら紹介します。
Q-Assist
（出典：Q-Assist）
メディックメディア社が提供するオンライン講座です。
最大の強みは、何と言っても問題集『Question Bank(QB)』や参考書『病気がみえる』シリーズとの圧倒的な連携力で、QBオンラインで問題を解いていて理解が曖昧な箇所があれば、解説欄からワンクリックでQ-Assistの該当講義にアクセスできます。
テキストは『病気がみえる』のイラストがふんだんに使われており、視覚的に理解しやすい構成になっています。
Medu4のシンプルなテキストとは対照的で、カラフルで分かりやすい参考書が好きな人に向いているかもしれません。
MEC (メック)
（出典：MEC）
古くからある医師国家試験予備校の大手です。
Dr.孝志郎先生のカリスマ性は絶大で、臨床現場をイメージさせる情熱的な講義は、多くの受験生のモチベーションを支えてきましたし、長年の実績と多くの利用者がいるという安心感は、他のサービスにはない大きな魅力です。
また、夏と冬に実施されるMEC模試は、本番に近い良質な問題が多いと評判です。
老舗ならではの安定感と、試験に関する豊富なノウハウを求める人におすすめです。
| サービス名 | 特徴 | テキストのスタイル | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| Q-Assist | QBオンラインとの連携が最強です。 | イラストが豊富でカラフル。視覚的に理解しやすいです。 | 問題演習を中心に、効率よく知識を補強したい人。 |
| MEC | Dr.孝志郎先生のカリスマ講義が人気です。 | A4サイズの冊子テキストが基本です。 | 講師の熱意を感じながら、王道の勉強法で着実に合格を目指したい人。 |
穂澄氏の本名、高校、経歴とは?
Medu4をたった一人で作り上げ、多くの医学生を合格へと導いてきたDr.穂澄氏。
その圧倒的な分析力と分かりやすい講義から、「一体どんな人なんだろう？」と気になっている方も多いはずです。
公表されている情報やインターネット上の情報を基に、その謎に包まれたプロフィールをまとめました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ハンドルネーム | Dr.穂澄（ほずみ） |
| 本名 | 非公表です。インターネット上では「東海林瑞穂（しょうじ みずほ）」説や「勝村和央（かつむら かずお）」説などが見られますが、いずれも確証はありません。 |
| 出身高校 | 非公表です。しかし、国内最難関である東京大学医学部（理科三類）に合格していることから、全国トップクラスの進学校出身であることは間違いないでしょう。 |
| 大学 | 東京大学医学部医学科 卒業。 |
| 経歴 | 東京大学医学部を卒業後、外資系コンサルティングファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に就職しました。その後、2015年に独立し、医学生向けオンライン学習サービス「medu4」を設立しました。 |
Q&A
最後に、Medu4のサービス終了に関してよくある質問や、少し踏み込んだニッチな疑問についてQ&A形式でお答えします。
- Medu4の講座は、サービスが完全に終了する2028年3月末まで視聴できますか？
視聴自体は2028年3月末まで可能です。しかし、非常に重要な注意点があります。それは、新規の講座購入や、現在購入している講座の視聴期限を延長する手続きが、2025年12月末で全て終了してしまうことです。つまり、それ以降は新しい講座を買ったり、視聴期間を延ばしたりすることが一切できなくなります。現在受講中の講座がある方は、計画的に学習を進める必要がありますし、これから購入を検討している方は、早めに決断する必要があるのです。
- Medu4の「究極MAP」は、本当にあれだけで国家試験に合格できるのでしょうか？
「究極MAPだけで受かる」という声が上がるほど、非常に優れた教材であることは間違いありません。この教材は、わずか約12時間の講義と30ページのテキストで、国試全範囲の最重要知識を網羅できるように設計されています。公表されている的中率も76%と非常に高く、多くの受験生が最後の総仕上げに使うため、「ここに載っている知識を落とさなければ、他の受験生に差をつけられることはない」という精神的な支えにもなります。
ただし、これだけで合格できるかというと、少し注意が必要です。究極MAPはあくまで「知識をインプットする」ための最強のツールです。医学の勉強では、インプットした知識を実際に使えるかどうか、つまり「アウトプット」の練習が不可欠です。QBオンラインなどの問題演習サービスを繰り返し解き、知識の使い方を体に染み込ませることで、初めて合格が確実なものになると考えられます。- Dr.穂澄氏がマッキンゼー出身であることは、Medu4の講義にどのように活かされているのですか？
マッキンゼーに代表される戦略コンサルティングファームでは、複雑に絡み合った膨大な情報の中から本質を見抜き、課題解決のための最も効率的な道筋（ロジック）を構築する能力が徹底的に鍛えられます。
Dr.穂澄氏の講義が、多くの医学生から「とにかく分かりやすい」「頭が整理される」と評価されるのは、まさにこのコンサルタント的な思考法が存分に活かされているからでしょう。例えば、ある疾患を解説する際に、学問的な深さや面白さを追求するのではなく、「国家試験で合格点を取る」という明確なゴールから逆算し、「どの知識を」「どの順番で」「どのように覚えれば」最も効率的かを徹底的に分析して提示してくれます。このロジカルで無駄のないアプローチこそが、Dr.穂澄氏の講義の真髄であり、マッキンゼーでの経験が昇華されたものだと言えるのです。
