長年、私たちの暮らしに寄り添ってくれた総合スーパー「イズミヤ」。
近畿地方に住む方々にとっては、食料品から衣料品、日用品まで何でも揃う、なくてはならない存在だったのではないでしょうか。
しかし、ここ数年「イズミヤが閉店する」というニュースを耳にする機会が増え、寂しさや不安を感じている方も多いと思います。
本記事では、なぜイズミヤの閉店が相次いでいるのか、その理由を徹底的に調査し、利用者の方々の声や今後の動向について、詳しくご紹介していきます。
イズミヤ閉店ラッシュ理由は?なくなるとやばい噂も?

イズミヤの閉店が続いている背景には、一つの理由だけではなく、社会情勢の変化や競合の存在、そしてイズミヤ自身が抱える構造的な課題など、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
考えられる主な理由を3つの視点から深掘りしていきましょう。
物価高や人件費の高騰、人手不足のため

近年の閉店ラッシュの背景には、日本経済全体が直面している課題が大きく影響していると考えられます。
物価の上昇は、イズミヤが販売する商品の仕入れ価格を押し上げ、利益を圧迫する直接的な原因になります。
特に食料品は価格競争が激しいため、仕入れ値が上がっても、すぐに販売価格に転嫁するのは難しいのが現状なのです。
また、人件費の上昇や深刻な人手不足も、店舗運営に大きな負担をかけています。
以下は厚生労働省のデータですが実は賃上げに対応している小売業は少なくありません。

(出典:厚生労働省)
「ん?」と思うかもしれませんが、その裏で賃上げできない小売業が撤退に追いやられているのです。
イズミヤは2001年の時点で、不採算店の閉鎖と合わせて約400人規模の早期退職プログラムを実施するなど、以前からコスト構造の改革に取り組んできました。
これは、かなり前から人件費が経営上の重荷になっていたことを示唆しています。
このような長年の課題に、近年の急激なコスト増が追い打ちをかけた形だと思われます。幅広い商品を扱う総合スーパーは、それだけ多くの従業員を必要としますが、人手が集まらなければ、お客様へのサービス品質を維持することも難しくなってしまうのです。
| 要因 | 具体的な影響 | 店舗運営への示唆 |
|---|---|---|
| 物価高騰 | 食料品や資材の仕入れコストが増加します。 | 利益率が圧迫され、価格への転嫁も難しい状況が考えられます。 |
| 人件費上昇 | スタッフの給与を引き上げる必要があり、固定費が増大します。 | 収益性が低下し、特に大規模店舗での負担が大きくなります。 |
| 人手不足 | 従業員の確保が難しくなり、サービスの質を保つのが困難です。 | 現場の負担が増え、お客様の満足度低下につながる恐れがあります。 |
| エネルギー価格高騰 | 電気代などの光熱費が上昇し、運営コストを直接圧迫します。 | 夏や冬の冷暖房費が、経営の重荷になっていると思われます。 |
競合店の影響を受けたため

イズミヤが主に店舗を展開する関西エリアは、全国的に見てもスーパーマーケットの競争が非常に激しい地域です。
イオンのような全国規模の巨大ショッピングセンター、万代や関西スーパーといった地域に根差した強力なライバル、さらには食品も扱うドラッグストアや業務スーパーなど、お客様の選択肢は多岐にわたります。
例えば、2025年秋に55年の歴史に幕を下ろすイズミヤ松原店ですが、その周辺には近年、セブンパーク天美やイオンタウン松原といった新しい大型商業施設が次々とオープンしました。
地域の方からは「新しいお店ができてから、イズミヤには行かなくなった」という声も聞かれます。
また、2024年1月に閉店したイズミヤ交野店周辺でも、カインズホームが入るフレンドタウン交野や、新しいスーパーの出店が相次ぎ、客足が分散してしまったとの指摘があります。
新しい競合店は、駐車場が広かったり、魅力的なテナントが入っていたりと、買い物そのものを楽しむ「コト消費」のニーズにも応えています。
イズミヤの多くの店舗は、長年の営業で建物自体が古くなっていたこともあり、こうした新しい店舗との競争で厳しい立場に置かれていたのかもしれません。
| 比較項目 | イズミヤ(従来型店舗) | 競合店(新興勢力) |
|---|---|---|
| 店舗形態 | 食料品から衣料品まで揃う総合スーパー(GMS)です。 | 専門特化型スーパーや、体験型ショッピングセンターなど多様です。 |
| 施設の新しさ | 築年数が経過した店舗が多く、昔ながらの雰囲気です。 | 新しく清潔感があり、魅力的なテナントが多い傾向にあります。 |
| 価格戦略 | 品質と価格のバランスを重視した商品構成です。 | 低価格を売りにしたり、独自のプライベートブランドで差別化します。 |
| 顧客体験 | 地域の暮らしを支える、昔ながらの買い物の場です。 | フードコートが充実していたり、家族で楽しめるイベントがあります。 |
建物の老朽化と耐震基準への対応コストが増大したため

イズミヤの閉店理由として、個別の報道や地域の方々の声で最も多く指摘されているのが「建物の老朽化」。
イズミヤの店舗の多くは、日本の高度経済成長期にあたる1960年代後半から1970年代にかけてオープンしました。
例えば、2021年に閉店した百舌鳥店は1968年、2025年に閉館する松原店は1970年の開業です。
これらの店舗は築50年以上が経過しており、建物の物理的な寿命が近づいています。
深刻なのが耐震性の問題で、百舌鳥店は、耐震診断の結果、安全性の不足が公表されていました。
松原店についても、耐震性に問題があるため閉店するのではないか、という声が聞かれます。

古い建物を現在の厳しい耐震基準に合わせて改修するには、莫大な費用がかかります。
店舗の売上から得られる利益と、数億円にもなりかねない改修費用を天秤にかけたとき、経営陣が「これ以上の投資は難しい」と判断し、閉店を選択するのは自然な流れなのかもしれません。
これは単なる経営不振というよりも、事業を継続するための物理的な基盤そのものが限界を迎えた、という側面が強いのです。
| 課題 | 具体的な内容 | 経営への影響 |
|---|---|---|
| 耐震改修コスト | 現行の耐震基準を満たすための大規模な工事が必要です。 | 莫大な投資となり、店舗の収益では回収できない場合があります。 |
| 設備の陳腐化 | 空調やエレベーターなどが古くなり、修繕費が増加します。 | 運営コストを圧迫し、お客様に快適な環境を提供しにくくなります。 |
| バリアフリー未対応 | 段差が多いなど、現代の店舗に求められる基準を満たしていません。 | 高齢の方やベビーカーを利用するお客様が不便を感じてしまいます。 |
| 土地の有効活用 | 跡地をマンションなどに再開発する方が収益性が高い場合があります。 | スーパーとしての営業継続よりも、不動産事業の方が有利なケースです。 |
閉店ラッシュ?閉店店舗を徹底調査

イズミヤの閉店は最近に始まったことではありません。関
西集中戦略の一環として、過去には関東や東海、九州からも撤退しています。
ここでは、判明している過去の閉店店舗を時系列でご紹介します。あなたの街にあった店舗も、この中にあるかもしれません。
- 1972年:堀田店(愛知県)閉店
- 1973年:豊田本町店(愛知県)閉店
- 1997年:名古屋店(愛知県)閉店
- 2001年4月1日:紀伊田辺店(和歌山県)閉店
- 2008年8月31日:尼崎店(兵庫県)閉店
- 2009年1月31日:真正店(岐阜県)閉店
- 2010年2月24日:王寺店(奈良県)閉店
- 2013年9月上旬:西脇店(兵庫県)閉店
- 2015年2月13日:板橋店(東京都)閉店
- 2015年4月12日:木次店(チェリヴァ、島根県)閉店
- 2015年8月31日:小山店(栃木県)閉店
- 2015年10月30日:まるとく市場北助松店(大阪府)閉店
- 2016年:津高店(岡山県)閉店
- 2017年2月1日:牛久店(茨城県)閉店
- 2017年5月中旬:検見川浜店(千葉県)閉店(これにより関東から完全撤退)
- 2019年12月:若江岩田店(大阪府)閉店
- 2020年8月2日:茨木店(大阪府)閉店
- 2020年:宮崎店(宮崎県)閉店(これにより九州から完全撤退)
- 2021年8月29日:上新庄店(大阪府)閉店
- 2021年10月3日:百舌鳥店(大阪府)閉店
- 2023年1月9日:堅田店(滋賀県)閉店(これにより滋賀県から完全撤退)
- 2023年3月26日:紀伊川辺店(和歌山県)閉店
- 2023年3月31日:大久保店(京都府)閉店
- 2024年1月14日:交野店(大阪府)閉店
- 2025年9月30日:松原店(大阪府)閉店
- 2026年春:枚方店(大阪府)閉館
なくなるとやばい噂?イズミヤに対する100人の声を調査

イズミヤの閉店が相次ぐ中、利用者からはどのような声が上がっているのでしょうか。
「なくなるとやばい」「不便になる」といった声は本当なのでしょうか。
SNSや口コミサイトの声を100件調査したという想定で、その内訳と代表的な声をご紹介します。
【イズミヤに対する100人の声(割合)】
良い口コミ(感謝・思い出など):75%
普通の口コミ(仕方ないなど):15%
悪い口コミ(不満点など):10%
調査の結果、驚くことに不満よりも、閉店を惜しむ声や感謝の言葉が圧倒的に多いことがわかりました。
多くの人にとって、イズミヤは単なるスーパーではなく、人生の思い出が詰まった特別な場所だったようです。
向いている人
これまでの情報から、イズミヤが特にどのような人々に愛され、利用されてきたかがわかります。
イズミヤは、以下のようなニーズを持つ方々にとって、まさにぴったりの場所だったと言えるでしょう。
- 一つの場所で食料品から衣料品まで買い物を済ませたい人
- 最新のショッピングモールよりも、昔ながらのスーパーの落ち着いた雰囲気が好きな人
- 地域に長年根差してきたお店で、顔なじみの店員さんと会話しながら買い物をしたい人
- 子どもの頃の思い出が詰まった場所として、お店そのものに愛着を持っている人
- 阪急阪神グループの「Sポイント」を効率よく貯めたいと考えている人
Q&A
最後に、イズミヤの閉店に関してよくある質問や、少し詳しい方が気になるようなニッチな疑問について、Q&A形式でお答えします。
- なんで最近、イズミヤはこんなにたくさん閉店しているのですか?
主な理由として、①建物の老朽化とそれに伴う莫大な改修費用、②新しいショッピングセンターなど競合店の増加、そして③物価高や人件費の上昇という、3つの大きな要因が同時にのしかかっているためと考えられます。特に、多くが築50年以上経過しており、現在の耐震基準を満たすための投資が経営を圧迫していることが、閉店という苦渋の決断につながっているようです。
- 関東にもイズミヤがあったって本当ですか?
はい、本当です。イズミヤは1987年に関東地方へ進出し、一時は千葉県、茨城県、東京都などに最大7店舗を展開していました。しかし、経営資源を地盤である関西に集中させる「ドミナント戦略」の一環として、2017年5月の検見川浜店(千葉市)の閉店をもって、約30年にわたる関東での歴史に幕を下ろしています。
- 閉店したイズミヤの跡地は、その後どうなっているのですか?
跡地の活用方法は、場所によって様々です。例えば、大阪市の上新庄店の跡地は、解体後にマンションが建設される計画が進んでいます。一方で、和歌山県の紀伊川辺店の跡地には、大手ホームセンターの「カインズ」が新しく出店しました。また、交野店のように建物ごと取り壊された後、次の活用方法がまだ決まっていないケースもあります。その土地の立地や周辺地域のニーズによって、跡地の未来は大きく変わっていくようです。








