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    JX金属がやばい?上場廃止理由の噂や世界一と評される背景とは

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    2025年3月、非鉄金属業界のリーディングカンパニーであるJX金属が東京証券取引所プライム市場に再上場を果たしました。

    ENEOSグループの中核企業として知られますが、その一方で「上場廃止」といった少し気になる噂を耳にすることもあります。

    JX金属がやばい?上場廃止理由?誤解さるのはなぜ?

    JX金属に対して「やばい」とか「上場廃止するのでは?」といったイメージを持つ人がいるようですが、これはいくつかの事実が断片的に伝わったことによる誤解から生じていると考えられます。

    親会社からの独立による誤解?

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    JX金属が「やばい」と噂されるようになった一因に、2025年3月の親会社ENEOSホールディングス(以下、ENEOS HD)からの独立上場が関係していると考えられます。

    これまでENEOS HDの100%子会社だったJX金属が、株式を市場に公開して独立したことで、「親会社に見放されたのでは?」「何か問題があって切り離されたのでは?」といったネガティブな憶測を呼んでしまったようなのです。

    しかし、この独立上場の本当の目的は、むしろ非常に前向きなものなので「コングロマリット・ディスカウントの解消」です。

    ENEOS HDは石油事業、JX金属は非鉄金属や半導体材料事業と、全く異なるビジネスを展開。

    これらが一つのグループとしてまとめられていると、それぞれの事業の価値が専門的に評価されにくく、株式市場での評価額が本来の価値よりも割り引かれてしまう「コングロマリット・ディスカウント」という現象が起きていました。

    そこでJX金属は、あえて独立上場することで、自社の事業内容、特に成長著しい半導体材料事業の価値を市場に正しく評価してもらう道を選んだのです。

    これは、経営の意思決定をスピードアップさせる狙いもあります。

    変化の速い半導体業界で勝ち抜くためには、親会社にお伺いを立てることなく、自社の判断で迅速に大規模な投資を決断できる体制が不可欠。

    この独立は、守りではなく、未来の成長に向けた攻めの経営判断であり、「悲願の独立IPO」とまで言われるほど、会社にとっては重要な一歩だったのです。

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    非鉄金属の国際市況の変動に業績が左右する?(考えにくいが)

    JX金属の事業の大きな柱の一つに、銅を中心とした金属資源の開発や製錬を行う「ベース事業」があります。

    この事業は、銅の価格といった国際的なマーケットの状況によって、業績が大きく変動する特性を持っています。

    世界経済の動向で銅の価格が急落すれば、JX金属の利益が大幅に減少したり、時には赤字になったりする可能性もゼロではありません。

    この業績の不安定さが、「市況に左右されて危ないのでは?」、つまり「やばい」というイメージにつながっている一因だと思われます。

    最近では、世界的な銅鉱石の不足から、製錬会社が鉱山会社から受け取る加工賃(TC/RCs)が歴史的な低水準に落ち込み、採算が悪化。

    この影響を受け、JX金属も銅の生産量を減らすことを発表しており、市況の影響を直接受けていることがわかります。

    しかし、JX金属もこのリスクをただ座して見ているわけではありません。

    この市況変動リスクを乗り越えるために、会社全体のビジネスの形を大きく変えようとしています。

    市況の影響を受けにくい半導体材料や高機能な情報通信材料などを扱う「フォーカス事業」に経営資源を集中させているのです。

    このフォーカス事業は、独自の技術力が競争力の源泉となるため、銅価格のように日々の価格変動に一喜一憂することが少ない安定した収益源となり得ます。

    会社として、2040年にはこのフォーカス事業で2000億円の営業利益を稼ぎ出すという高い目標を掲げており、まさに会社を挙げての大きな変革の最中なのです。

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    JXホールディングスが過去に上場廃止したことがあるため?

    「JX金属は上場廃止したことがある」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

    これは事実ではあるのですが、少し複雑な経緯があり、現在のJX金属の経営状況とは直接関係ありません。

    JX金属の源流の一つである「新日鉱ホールディングス」という会社は、2010年に石油元売り大手の新日本石油と経営統合し、「JXホールディングス(現在のENEOS HD)」を設立。

    この時、新日鉱ホールディングスはJXホールディングスの完全子会社となったため、ルールに従って上場を廃止したのです。

    これは、会社の経営が悪化して市場から退場したわけではなく、あくまでグループ再編の一環でした。

    さらにややこしいことに、JX金属自身も「日鉱金属」という社名だった1998年に一度、東京証券取引所に上場しています。

    しかし、この上場もその後のグループ再編の過程で非公開化に。

    会社の成り立ちの中で「上場」と「非公開化(上場廃止)」を繰り返してきた歴史が、一般の方には分かりにくく、「上場廃止した会社」という断片的な情報だけが一人歩きしてしまっているようです。

    2025年3月の上場は、こうした経緯を経ての「再上場」であり、新たなスタートを切った証しなのです。

    項目年代内容
    旧・日鉱金属の上場1998年この時、一度東証一部に上場しました。
    新日鉱HDの上場廃止2010年親会社となるJXHD(現ENEOS HD)設立に伴い、経営統合の一環で上場廃止となりました。
    JX金属の再上場2025年3月ENEOS HDから独立し、成長戦略を加速させるため東証プライム市場に再上場しました。
    再上場の目的2025年事業の価値を正しく評価してもらい、半導体材料などの成長分野へ機動的に投資するためです。
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    JX金属は世界一なの?

    「やばい」という噂とは裏腹に、JX金属は特定の分野で「世界一」と評される圧倒的な強みを持っています。

    その代表格が、半導体の製造に絶対に欠かせない「スパッタリングターゲット」という材料です。

    スマートフォンやパソコン、自動車などに搭載される半導体は、シリコンウェハーという円盤の上に非常に細かな電子回路を何層にも重ねて作られます。

    この回路の元となる金属の薄い膜を作る際に使われるのが、スパッタリングターゲットなのです。

    JX金属は、このスパッタリングターゲットの分野で、なんと世界シェア約60%を握る圧倒的なトップメーカー、単に量を多く作れるというだけでなく、髪の毛の断面に数千個も並べられるほど微細な半導体の回路を作るために必要な、極めて高い純度と品質を実現する技術力があるからこそ成し得ることです。

    この高い技術力は、世界最先端の半導体メーカーである台湾のTSMCから、その開発への貢献や品質、安定供給体制を称えられ表彰されるほど、世界的に高く評価されています。

    他にも、タンタルやニオブといった特殊な金属材料でも世界トップクラスのシェアを誇っており、現代のデジタル社会や最先端技術を、目には見えない「素材」という形で根底から支えているのです。

    こうしたニッチな分野で「世界No.1」の地位を複数確立していることこそが、JX金属の最大の強みであり、市況の波にも負けない安定した成長の源泉となっているのです。

    その強みは、鉱山開発から製錬、先端材料の製造、そして使用済み製品からのリサイクルまで、一貫して行える体制に支えられています。

    この一貫体制こそが、他社には真似のできない品質と安定供給を実現している秘密なのです。

    Q&A

    ここでは、JX金属についてよく聞かれる質問から、少し詳しい人が気になるであろうニッチな質問まで、Q&A形式でお答えします。

    JX金属の年収はどれくらいですか?

    非常に高い水準です。各種情報サイトによると、平均年収は約920万円から992万円と報告されており、日本の非鉄金属業界の中でもトップクラスに位置しています。業界内の年収ランキングでは2位に入るなど、社員への待遇が手厚い企業であることがうかがえます。高い専門性や技術力が求められる事業内容であり、それに見合った報酬体系が整っていると言えるでしょう。

    就職や転職の難易度は高いですか?

    はい、非常に高いと考えられます。理系の学生を対象とした就職偏差値ランキングでは常に上位にランクインしており、学生からの人気が非常に高い企業です。選考プロセスでは、自己紹介や志望動機、学生時代に力を入れたことといった基本的な質問が中心ですが、それぞれの回答に対して「なぜそう思うのか」「なぜ他の会社ではなくJX金属なのか」といった深掘りが徹底して行われるようです。そのため、表面的な企業研究だけでは通用せず、自分自身の価値観や将来のビジョンと、JX金属の事業や理念を深く結びつけて語る論理的な思考力が求められます。

    「親子上場」の問題は今後どうなりますか?

    JX金属は、自身がENEOS HDとの親子上場を解消した一方で、チタン素材大手の「東邦チタニウム」や、電線・電子材料メーカーの「タツタ電線」を子会社に持つ親会社の立場でもあります。近年、日本の株式市場では、親会社と子会社が両方上場している「親子上場」が、子会社の一般株主の利益を損なう可能性があるとして問題視されており、解消に向けた動きが活発化しています。JX金属もこの流れを強く意識しており、タツタ電線については既にTOB(株式公開買付け)によって完全子会社化し、上場廃止としました。また、東邦チタニウムに関しても、社長がインタビューで「シナジーが高まれば完全子会社化も検討する」と発言しており、資本関係の見直しに前向きな姿勢を示しています。今後もグループ全体の企業価値を最大化する観点から、こうした資本関係の整理は続いていく可能性が高いです。

    銅価格が下がると本当に危ないのですか?

    短期的な業績への影響は避けられませんが、それによって直ちに会社の経営が危なくなるわけではありません。JX金属は、銅価格の変動というリスクを十分に認識した上で、多角的な対策を講じています。最大の対策は、前述の通り、半導体材料などの市況に左右されにくい「フォーカス事業」へ経営の軸足を移していることです。これにより、銅価格が下落しても、会社全体の収益が大きく落ち込まないような、より安定した収益構造への転換を目指しています。また、使用済み電子機器などから金属を回収するリサイクル事業の強化も、リスクを軽減する上で重要な役割を果たします。鉱山から新たに鉱石を採掘するのに比べ、原料調達コストを安定させやすいからです。さらに、リスクの高い資産を圧縮する動きも見せており、チリのカセロネス銅鉱山の権益の一部を売却したのもその一例です。リスクを管理しながら戦略的な事業転換を進めているため、過度に心配する必要はないでしょう。

    JX金属の「技術立脚型企業への転身」って具体的にどういうことですか?

    これは、従来の「装置産業型企業」から「技術立脚型企業」へと、会社の稼ぎ方の根本を変えようという大きな挑戦です。装置産業とは、銅の製錬所のように、巨大な設備を動かしてモノを大量に生産することで利益を上げるビジネスモデルを指します。これに対して「技術立脚型企業」とは、他社には真似のできない独自の高い「技術」によって生み出される、付加価値の高い製品で利益を上げるビジネスモデルのことです。世界シェアNo.1を誇るスパッタリングターゲットや、スマートフォンの精密部品に使われる高機能な銅合金などがこれにあたります。この転身を実現するために、JX金属は研究開発に力を注ぎ、茨城県にある磯原工場などで先端材料の生産能力を大幅に増強しています。また、自社にない技術を取り込むためのM&Aも積極的に行っており、電線技術に強みを持つタツタ電線や、医療機器に使われる精密部品メーカーのユー・ティー・エムを買収したのも、この戦略の一環です。単に大きな工場でモノを作る会社から、世界最先端の技術で未来社会に不可欠な素材を生み出す会社へと、大きく舵を切っているのです。

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