BL(ボーイズラブ)界のレジェンドとして、1990年代から長きにわたり第一線で活躍されてきた漫画家・鹿乃しうこ先生。
最終作「オトコギ。」が2025年9月19日にジュネットから発売され、引退に。
鹿乃しうこの本当の引退理由は病気?ブログや公式情報、SNSを調査

多くのファンが最も心配している「引退理由は病気なのか?」という点についてですが、結論から言うと、病気が理由ではありません。
鹿乃しうこ先生ご本人が自身のブログで明確に否定されています。
先生が挙げた引退の主な理由は、「加齢による集中力の低下」です。
長年、繊細な物語と美麗な作画でファンを魅了し続けてきた先生ですが、ご自身が納得のいくクオリティの作品を生み出し続けることが、体力的に難しくなってきたと感じての決断だったようです。
ファンからは「ご病気じゃなくて本当に良かった」「まずは安心しました」といった安堵の声が上がる一方で、「寂しいけれど、先生が決めたことなら応援したい」「長い間、素敵な作品をありがとうございました」という、悲しみと感謝の入り混じった温かいメッセージが数多く寄せられています。
引退に至った理由についてもう少し背景を調査、深掘りしてみます。
長年の創作活動による、心身のエネルギー消耗のため
まず考えられるのは、長年にわたる創作活動が、心身のエネルギーを少しずつ消耗させていった可能性です。
鹿乃しうこ先生ご自身が引退の理由として挙げた「加齢による集中力の低下」というのは、単に「年を取って疲れやすくなった」ということだけを指すのではないと思われます。
漫画制作、特に鹿乃先生のように複雑な人間関係や繊細な心理描写を主軸とする物語を紡ぐ作業は、計り知れないほどの精神的エネルギーを必要とするためです。
一つの作品を完成させるには、プロットの構築、キャラクターの深掘り、ネーム(絵コンテ)、下描き、ペン入れ、仕上げといった多くの工程があり、そのすべてに高い集中力が求められます。
『Punch↑』のような長期シリーズとなると、物語の一貫性を保ちながら、読者を飽きさせない新しい展開を生み出し続けるプレッシャーは相当なものだったはずです。
年齢を重ねることで、この創作サイクルを維持するための精神的な持久力が追いつかなくなってきた、と感じられたとしても不思議ではないためです。
デジタル作画への移行期における、身体的負担の蓄積のため
近年の漫画業界では、アナログ作画からデジタル作画への移行が主流となっています。
鹿乃先生がどの時期からデジタルを取り入れられたかは定かではありませんが、長年アナログで執筆されてきたベテラン作家にとって、修正の容易さや効率化といったメリットがある一方で、新たな課題も生み出すためです。
液晶タブレットに向かって長時間同じ姿勢で作業を続けることは、首や肩、腰への大きな負担となります。
また、画面を凝視し続けることによる眼精疲労や視力の低下も深刻な問題です。
先生が語る「集中力の低下」の背景には、こうした身体的な負担の蓄積が、結果として創作活動への意欲や能力に影響を与えていた可能性も否定できません。
鹿乃先生の作品の魅力の一つである濃厚で熱量の高いラブシーンや、キャラクターの微細な表情の変化を描き出すには、極度の集中力とそれを支える体力が必要不可欠だったためです。
| 項目 | デジタル作画のメリット | デジタル作画による負担 |
|---|---|---|
| 作業効率 | 修正や着彩が容易で、作業時間を短縮できる場合があります。 | 同じ姿勢での作業が続き、肩こりや腰痛の原因になりやすいです。 |
| 表現の幅 | 多彩なブラシやテクスチャで、新しい表現に挑戦しやすいです。 | 液晶画面を長時間見続けることで、眼精疲労や視力低下を招くことがあります。 |
| 管理 | データで管理するため、原稿の保管場所を取らず、紛失のリスクも低いです。 | マウスやペンの長時間使用により、腱鞘炎などを発症するリスクがあります。 |
作家としての「引き際の美学」を追求したため
鹿乃しうこ先生がデビューされた1990年代初頭から現在に至るまで、BL市場は大きく変化。
かつての「JUNE」に代表される文学的で耽美な世界観から、よりエンターテインメント性が高く、設定も多様化した作品が数多く生まれています。
先生は「ガテン系」や「年の差」といった独自のジャンルを切り拓き、常にトップランナーとして走り続けてこられました。
しかし、時代と共に読者の好みも変化し、新しい才能が次々と登場する中で、ご自身の作風と市場の需要との間に、わずかなズレを感じる瞬間があったのかもしれません。
ファンに愛され、惜しまれながらも、ご自身のキャリアの集大成として最高の作品を届け、美しい形で舞台を降りる。
「引き際の美学」こそ、長年BL界を牽引してきたレジェンドである鹿乃先生が選んだ、最も気高い選択だったのではないでしょうか。
鹿乃しうこに対する独自調査と口コミ一覧
鹿乃しうこ先生の作品がどれほどファンに愛されているかは、客観的なデータからも明らかです。
国内最大級のBL情報サイト「ちるちる」では、多くの作品が極めて高い評価を得ています。
代表作『Punch↑』のレビュー評価では、全180件のうち52.2%にあたる94件が最高評価を獲得しており、これは驚異的な数字と言えるでしょう。
ファンから寄せられる声は、作品への愛と作家への感謝に満ち溢れています。
概要をおさらい
ここで改めて、BL界に大きな足跡を残された鹿乃しうこ先生のプロフィールと功績を振り返ってみましょう。
鹿乃しうこ先生は、3月4日生まれ、大阪府出身の漫画家です。1992年に商業誌デビューを果たして以来、30年以上にわたってBL界の第一線で活躍されてきました。
デビュー当時は「初田しうこ(ういだ しうこ)」というペンネームでしたが、後に現在の名義に改名されています。実の姉は、同じくBL漫画家として知られる内田一菜先生です。
代表作には、エリート建築家とガテン系青年の年の差恋愛を描いた大人気シリーズ『Punch↑』、複数のカップルの切ない恋愛模様が交錯する『ササクレ』シリーズ、鳶職人たちの恋を描いた『生意気。』シリーズなど、数多くのヒット作があります。
コメディとシリアスを絶妙に織り交ぜたストーリーテリングと、キャラクターの人間味あふれる心理描写、そして熱量の高い濃厚なラブシーンが特徴で「ガテン系」と呼ばれる肉体労働に従事する男性たちの恋愛をいち早く描き、一つのジャンルとして確立させた功績は非常に大きいと言えるでしょう。
また、愛犬家としても知られ、作品の中にたびたび愛らしい犬たちが登場することも、ファンにとっては楽しみの一つでした。
Q&A
- 鹿乃先生の引退は本当ですか?やはり病気が心配です…。
はい、2025年9月発売のコミックスをもってBL漫画家を引退される、というのはご本人が発表された事実です。ですが、一番心配されているであろう健康問題、つまり病気が理由ではないとブログで明確に否定されています。理由は「加齢による集中力の低下」とのことですので、ひとまずはご安心ください。
- 最終作はいつ発売ですか?もう先生の新しい作品は読めないのでしょうか?
BL漫画家としての最終作となるコミックス『オトコギ。』は、2025年9月19日にジュネットから発売される予定です。これが最後の商業BL作品となります。ただ、先生はブログで「今後は漫画以外で人の役にたつようなものを見つけたい」とも語られており、形は変わるかもしれませんが、またどこかで先生の新しい活動に触れられる日が来ることを期待したいですね。
- 先生の作品はたくさんありますが、初心者におすすめのシリーズはどれですか?
もし鹿乃しうこ先生の魅力の神髄に触れたいのであれば、圧倒的な人気と評価を誇る『Punch↑』シリーズから入るのが一番おすすめです。変態だけど仕事はできるエリート建築家・牧と、口は悪いけど健気なガテン系青年・浩太の年の差ラブコメディは、笑い、萌え、切なさがすべて詰まった最高のエンターテインメントです。また、複数のカップルが織りなす群像劇がお好きなら、『ササクレ』シリーズや『生意気。』シリーズも深く楽しめると思います。
- 昔の「初田しうこ」名義の作品は、今からでも読めますか?
はい、読むことは可能です。デビュー作『永久磁石の法則』を含む初期の作品は、後に新装版や復刊版として、現在の「鹿乃しうこ」名義で再出版されているケースが多いです。初期作品集『兎の城』は、後に『DIVE』の復刊版に収録されました。絵柄や作風に初期ならではの魅力があり、先生の歴史を感じることができるので、ぜひ探してみてください。
- 『Punch↑』の牧さんの身長が186cmって本当ですか?キャラクターの詳しいプロフィールはどこで見られますか?
はい、その情報は本当です。過去に運営されていた公式サイトのQ&Aコーナーなどで、キャラクターの詳しいプロフィールが公開されていたことがありました。『Punch↑』の牧さんが186cmというのも、そこで明かされた公式設定です。現在は公式サイトのコンテンツも変わっているため確認は難しいかもしれませんが、2024年11月に発売されたファンブック『しゃっふる!』などに、こうした情報がまとめられている可能性があります。細かい設定を知ることで、より一層作品の世界に深くハマることができますね。








