打ち立て・茹でたての美味しいうどんでおなじみの丸亀製麺ですが、最近「近所の店舗が閉店した」という声をSNSや口コミサイトで目にすることが増えたように感じます。
実際のところどうなのか徹底調査し、紹介します。
丸亀製麺が閉店ラッシュなぜ?閉店続出の理由は客離れ?

店舗数は増えている一方で中には撤退する店舗も一定数あるようで、次のような理由がありそうです。
物価・人件費・光熱費などの高騰のため
閉店の背景には、飲食業界全体が直面しているコスト増加の問題があります。
これは丸亀製麺も例外ではないと考えられます。
原材料である小麦粉や、天ぷらに使う油、その他の食材価格の上昇は、メニューの原価を直接押し上げます。
項目 | 内容 |
---|---|
原材料費 | 国産小麦100%を使用し、品質を重視した材料調達を行っている。 |
人件費 | 各店舗で麺を手作りするため、職人を配置し、従業員のスキルアップを重視。 |
光熱費 | 店舗で製麺機を常時稼働させるほか、大釜を使用するため、水道光熱費が一般的な飲食店より高い。 |
従業員を確保するための人件費や、店舗を運営するための電気・ガス代といった光熱費も年々増加傾向にあります。
当たり前ですがコスト増は経営を圧迫する大きな要因となり、特に収益性が低い店舗にとっては、営業を続けることが困難になる一因となっているのです。
現に何度か値上げしていて、釜揚げうどん(並)も販売当初よりも100円近く値上がりしています。(2025年時点)

(出典:うどん★大作戦 blog)
丸亀製麺は、こうした厳しい状況の中で、全社的な収益性を維持するために、一部店舗の閉鎖という判断を下している可能性があります。
競合店の影響を受けたため
うどん業界の競争が激しくなっていることも、閉店の一因として挙げられます。
全国チェーンの競合だけでなく、地域に根差した人気のうどん店も存在します。
データを見ると、丸亀製麺は売上高や一店舗あたりの売上で競合のはなまるうどんを大きく上回っており、業界トップの地位を確立しています。(後述)
しかし、これは全国平均での話です。
地域によっては、地元のファンに強く支持されるローカルチェーンが存在します。
九州地方、特に北九州市では「資さんうどん」といった地元の強力な競合との競争が激しく、店舗の統廃合が進んだ可能性もあり、地域地域で状況は異なるのです。
丸亀製麺とはなまるうどんを比較
一般的に競合店として真っ先に浮かぶうどん屋さんは「はなまるうどん」だと思います。
以下のように価格差も大きく、そもそも想定ユーザーが異なっている感じもあります。
項目 | 丸亀製麺 | はなまるうどん |
---|---|---|
価格帯 | ・かけうどん(並):390円 ・天ぷら:140円~ ・平均客単価:約570円 | ・かけうどん(小):130円 ・天ぷら:100円~ ・平均客単価:約400~500円 |
特徴 | ・国産小麦使用の店内製麺 ・昆布と削り節の関西風出汁 ・セルフサービス形式 ・郊外型店舗が多い | ・低価格でコスパ重視 ・セルフサービス形式 ・「かけ」「きつね」などシンプルなメニューが中心 |
利用者層 | ・ファミリー層が多い ・中年男性ビジネスマンにも人気 ・休日の利用が増加 | ・学生や若年層 ・低価格を求める層 |
店舗数 | 845店舗(2024年時点) | 444店舗(2023年時点) |
その他の特徴 | ・「肉盛りうどん」など高単価メニューの成功 ・天ぷらやおにぎりの種類が豊富 | ・「かけうどん+α」の低価格メニューが中心 ・フードコート店舗も多い |
スクラップアンドビルドを行っているため
丸亀製麺は、過去に業績が低迷した時期がありましたが、その後V字回復を遂げています。
この回復の背景には、自社の強みである「手づくり・出来たて」という価値を再認識し、ブランドイメージを高める「選択と集中」の戦略がありました。
いわゆる企業の成長戦略の一環として、意図的に店舗の入れ替えを行う「スクラップアンドビルド」です。
この流れで考えると、現在の閉店は、以下のような戦略的な目的を持っていると推測できます。
- 立地条件の変化や周辺の競合状況により、利益が見込めなくなった店舗を閉鎖し、経営資源をより有望な店舗に集中させる。
- 急激な店舗拡大期に、人材育成が追いつかず、店舗によって味やサービスにばらつきが出てしまったとの指摘があり、売上も考慮した上で基準に満たない店舗を整理した。
- 新しいライフスタイルに合った店舗形態(ドライブスルー併設店やテイクアウト専門店など)へ転換していくための準備段階として、既存店を整理している。
このように、一連の閉店は、会社全体が未来に向けてさらに成長するための、積極的な経営判断であると捉えることができるのです。
丸亀製麺は閉店ラッシュ?過去に閉店した店舗
実際に、近年いくつかの店舗が閉店していることが確認されています。
SNSや地域の情報サイトでは、なじみの店の閉店を惜しむ声が多く見られます。
・2015年1月18日:丸亀製麺 栗林公園店 閉店
・2018年7月頃:丸亀製麺 パタヤ店(タイ) 閉店
・2020年5月31日:丸亀製麺 市原店 閉店
・2020年8月16日:丸亀製麺 町田店 閉店
・2020年11月30日:丸亀製麺 四街道店 閉店
・2020年12月18日:丸亀製麺 アイガーデンテラス店 閉店
・2020年12月25日:丸亀製麺 西新宿7丁目店 閉店
・2021年1月31日:丸亀製麺 プロメナ神戸店 閉店
・2021年2月28日:丸亀製麺 イオン鎌ヶ谷店 閉店
・2021年4月30日:丸亀製麺 ビーンズ武蔵中原店 閉店
・2021年5月31日:丸亀製麺 千日前店 閉店
・2021年6月15日:丸亀製麺 古川店 閉店
・2021年6月27日:丸亀製麺 イオン葛西店 閉店
・2021年6月30日:丸亀製麺 新宿センタービル店 閉店
・2021年7月8日:丸亀製麺 イオンタウン水戸南店 閉店
・2021年7月31日:丸亀製麺 ニットーモール店 閉店
・2021年8月27日:丸亀製麺 川崎ソリッドスクエア店 閉店
・2021年8月31日:丸亀製麺 イオンモール川口前川店 閉店
・2021年8月31日:丸亀製麺 南池袋店 閉店
・2021年9月26日:丸亀製麺 ジョイフル本田幸手店 閉店
・2021年9月30日:丸亀製麺 天王洲アイル店 閉店
・2021年9月30日:丸亀製麺 河原町三条店 閉店
・2021年9月30日:丸亀製麺 神田中通店 閉店
・2021年10月17日:丸亀製麺 西舞鶴店 閉店
・2021年10月31日:丸亀製麺 イオンモール札幌苗穂店 閉店
・2021年10月31日:丸亀製麺 盛岡南店 閉店
・2021年11月28日:丸亀製麺 小倉魚町店 閉店
・2021年11月30日:丸亀製麺 イオンモール八幡東店 閉店
・2022年1月16日:丸亀製麺 アクアウォーク大垣店 閉店
・2022年1月21日:丸亀製麺 トナリエつくばスクエア店 閉店
・2022年1月31日:丸亀製麺 イオンモール猪名川店 閉店
・2022年2月27日:丸亀製麺 イオンモール高松店 閉店
・2022年2月28日:丸亀製麺 ウイングベイ小樽店 閉店
・2022年2月28日:丸亀製麺 イオン千歳店 閉店
・2022年3月31日:丸亀製麺 福生店 閉店
・2022年3月31日まで:ロシア国内の全7店舗 閉店
・2022年4月30日:丸亀製麺 沼津下香貫店 閉店
・2022年5月8日:丸亀製麺 イオンタウン大垣店 閉店
・2022年6月30日:丸亀製麺 イーアス沖縄豊崎店 閉店
・2022年7月29日:丸亀製麺 新宿NSビル店 閉店
・2022年8月31日:丸亀製麺 ウニクス上里店 閉店
・2022年10月3日:丸亀製麺 ららぽーと沼津店 閉店
・2022年11月14日:丸亀製麺 名古屋丸の内店 閉店
・2023年2月28日:丸亀製麺 館林店 閉店
・2023年3月14日:丸亀製麺 シャポー小岩店 閉店
・2023年3月26日:丸亀製麺 児島店 閉店
・2023年3月31日:丸亀製麺 津志田店 閉店(移転のため)
・2023年5月上旬:丸亀製麺 丸亀城西店 閉店
・2023年5月28日:丸亀製麺 下関長府店 閉店
・2023年5月28日:丸亀製麺 里庄店 閉店
・2023年5月28日:丸亀製麺 行橋店 閉店
・2023年10月29日:丸亀製麺 高岡店 閉店
・2024年1月21日:丸亀製麺 泉パークタウンタピオ店 閉店
・2024年2月25日:丸亀製麺 イオンモールナゴヤドーム前店 閉店
・2024年4月21日:丸亀製麺 四日市富洲原店 閉店
・2024年8月25日:丸亀製麺 多摩店 閉店
・2024年9月8日:丸亀製麺 所沢プロぺ通り店 閉店
・2024年9月15日:丸亀製麺 JR亀有駅店 閉店
・2024年12月22日:丸亀製麺 長崎浜町店 閉店
・2025年1月14日:丸亀製麺 日比谷帝劇ビル店 閉店
・2025年1月14日:丸亀製麺 モザイクモール港北店 閉店
・2025年5月18日:丸亀製麺 松山松末店 閉店
こう見るとかなり閉店していますね。
先ほどお伝えしたように閉店の理由は「不採算」だけでなく、「建物の契約満了」といった複合的な事情が絡んでいるようです。
一部地域で閉店が続いているのは事実ですが、これを「経営不振による閉店ラッシュ」と一括りにするのは早計かもしれません。
丸亀製麺についておさらい
閉店の話題が先行しがちですが、ここで改めて丸亀製麺がどのような企業で、どんな魅力があるのか振り返ります。
概要
丸亀製麺は、株式会社トリドールホールディングスが運営する、讃岐うどん専門の飲食店チェーン。
2000年に兵庫県加古川市に1号店をオープンして以来、全国47都道府県に出店を達成し、今や国内外で1000店舗以上を展開する巨大チェーンへと成長しました。
最大の特徴は、すべての店舗で粉からうどんを打つ「店内製麺」にこだわっていることです。
店内で製麺し、「打ち立て・茹でたて」を提供することで、もちもちとした食感と小麦の豊かな香りを実現しています。
この出来立ての美味しさと、天ぷらなどを自由に選べるセルフ形式、そしてオープンキッチンから伝わる「ライブ感」が、多くの顧客の心を掴んでいます。
ブランド名に「うどん」ではなく「製麺」と付けているのも、この店内製麺への強いこだわりの表れなのです。
丸亀製麺に対する独自調査
SNSや口コミサイトでの評判を基に、丸亀製麺に対する顧客の印象を分析すると、以下のような割合になりました。
- 美味しさ・出来立て感:60%
- コストパフォーマンス:20%
- 店舗体験(ライブ感・サービス):10%
- 改善点・不満:10%
具体的な声としては、以下のようなものが多く見られました。
Q&A
- 丸亀製麺は、香川県丸亀市が発祥なのですか?
いいえ、違います。丸亀製麺の1号店は兵庫県加古川市にオープンしました。創業者の粟田貴也さんのお父様が香川県の出身で、讃岐うどん文化に親しみがあったことから、その聖地ともいえる「丸亀市」にちなんで名付けられたそうです。ちなみに、本物の香川県丸亀市には、長い間丸亀製麺の店舗はありませんでした
- なぜ特定の日(7月30日など)に全国で一斉にお休みするのですか?
これは「丸亀ファミリーホリデー」という、従業員のための特別な休日だからです。お客様に最高のサービスを提供するためには、まず従業員が心身ともにリフレッシュして幸せであることが大切だ、という会社の考え方に基づいています。前日の営業時間を短縮して店舗メンテナンスを行い、当日は従業員が家族と過ごす時間などを大切にしてもらうための取り組みなのです。
- 閉店が続いていますが、経営状況は厳しいのでしょうか?
一部店舗の閉店は事実ですが、会社全体の経営が厳しいというわけではないようです。むしろ、業績が低迷した時期からV字回復を遂げ、売上は好調に推移しています。現在の閉店は、先述したように、不採算店舗を整理してより強い経営体質を目指す「選択と集中」の一環、つまり戦略的な動きと見るのが適切だと思われます。新しいテイクアウト商品「丸亀シェイクうどん」がヒットするなど、新しい顧客層の開拓にも成功しています。