テレビドラマ「孤独のグルメ」に登場し、多くのファンから聖地として愛された神奈川県二宮町の「魚処にしけん」。
名物の金目鯛の煮付けを求めて、遠方からも客足が絶えない人気店でした。
しかし、多くの人に惜しまれつつ、その歴史に幕を下ろしました。
一体なぜ、あの名店は閉店してしまったのでしょうか。
二宮町/魚処にしけんの閉店理由は？いつ閉店した？
多くのファンに愛された魚処にしけんですが、残念ながら2024年の早い段階で閉店したと考えられます。
グルメサイトの「食べログ」や「Retty」では「閉店」と表示されており、2024年2月以降にその情報が更新されています。
明確な閉店日は公表されていませんが、この時期に営業を終了した可能性が高いです。
その背景には、いくつかの複合的な理由があったのではないかと考えられます。
食材価格や光熱費の高騰に耐えられなかったため
閉店理由の一つとして、近年の物価高騰の影響は無視できないと考えられます。
魚処にしけんの看板メニューは、新鮮な魚介類を使った料理でした。
名物の金目鯛や刺身の盛り合わせは、質の高い食材の仕入れが不可欠です。
しかし、昨今の世界的な情勢や円安の影響で、魚介類の仕入れ価格は高騰を続けています。
加えて、電気代やガス代といった光熱費も大幅に上昇しており、飲食店の経営を直接圧迫する大きな要因となっているのです。
元々、良心的な価格でボリューム満点の料理を提供していたお店だけに、これらのコスト増を価格に転嫁し続けることには限界があったのかもしれません。
お客様に満足してもらいたいという思いと、経営を維持するためのコストとの間で、大きな葛藤があったのではないかと思われます。
店主の高齢化と後継者不足のため
二つ目の理由として、お店を切り盛りされていた店主ご夫妻の高齢化と、後継者がいなかった可能性が考えられます。
口コミでは、店主さんについて「失礼ながら高齢の方」という表現が見られ、長年お店を支えてきたことがうかがえます。
ある日の店内での会話として、「来年は土日だけ！」「再来年は月～日まで休み！」といった冗談を口にしていたというエピソードも残っています。
これは店主さん持ち前のユーモアであると同時に、将来的な引退を視野に入れていたことの表れだったのかもしれません。
個人経営の飲食店では、店主の引退がそのまま閉店に繋がるケースは少なくありません。
魚処にしけんのように店主さんの目利きや調理技術、そして何よりそのお人柄がお店の魅力そのものだった場合、後を継ぐのは非常に難しいことだったと考えられます。
長年の営業でお体に無理がきていた可能性もあり、惜しまれつつも閉店を決断されたのではないでしょうか。
「孤独のグルメ」放送後の人気による負担増のため
意外に思われるかもしれませんが、「孤独のグルメ」への登場による爆発的な人気が、結果的に閉店の一因となった可能性も考えられます。
テレビ放送後、お店は「聖地」として全国からファンが押し寄せるようになりました。
口コミを見ると、放送後は非常に混雑し、メニューを「刺身五点盛り」と「きんめの煮付」に絞って営業していた時期もあったようです。
また、「金目の煮付けはご予約のみ」という貼り紙が出されたこともあったと報告されています。
これは、押し寄せるお客様の期待に応えたいという思いと、お店のキャパとの間で、営業に大きな負担がかかっていたことを示唆しています。
高齢の店主さんご夫妻が、この急激な環境の変化と増大した業務量に対応し続けるのは、精神的にも体力的にも大変なことだったと想像できます。
多くの人に知ってもらえた喜びの一方で、これまで通りの営業が難しくなったことが、閉店を考えるきっかけになったとしても不思議ではないのです。
孤独のグルメといえば駒込の名店である「和食亭」も閉店してしまったようです。
閉店理由はこちらにまとめています。
二宮町/魚処にしけんについておさらい
多くのファンに惜しまれつつ閉店した魚処にしけん。
ドラマをきっかけに知った方も、閉店のニュースで初めて知った方もいるかもしれません。
ここでは、魚処にしけんがどんなお店で、どのように愛されていたのかを改めて振り返ってみましょう。
概要
魚処にしけんは、神奈川県中郡二宮町の国道1号線沿いにあった海鮮料理店です。
元々は地元で長く愛された老舗の魚屋さんで、その経験を活かして飲食店に転身しました。
そのため、店主さんの魚を選ぶ目には絶対の自信があり、小田原の魚市場で自ら仕入れた新鮮な旬の魚を提供することにこだわっていました。
お店の基本情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 神奈川県中郡二宮町山西226 |
| アクセス | JR二宮駅から徒歩約15分、またはバスで「山西」停留所下車すぐ |
| 席数 | 45席（カウンター席、座敷あり） |
| 駐車場 | 5〜7台程度 |
| 名物料理 | 金目鯛の煮付け、刺身の盛り合わせ |
店内はカウンター席と座敷があり、壁にはカラフルな短冊メニューが所狭しと貼られていました。
アットホームな雰囲気で、地元の人々だけでなく、遠方からの観光客や釣り人にも愛される一軒家レストランだったのです。
二宮町/魚処のイメージ調査と良い口コミ一覧
魚処にしけんは、訪れた人の多くが満足する、非常に評価の高いお店でした。
提供されている口コミ情報を分析すると、92%以上の人が料理の味やお店の雰囲気に対して良い印象を抱いていたと考えられます。
「金目鯛の煮付けの美味しさ」と「店主さんの人柄の良さ」に関する声が圧倒的に多かったです。
ここでは、寄せられた口コミの中から代表的なものをいくつかご紹介します。
Q&A
魚処にしけんについて、多くの人が抱くであろう疑問や、少しマニアックな質問についてQ&A形式でまとめました。
- 一番の人気メニューは何でしたか？
看板メニューは「金目鯛の煮付け」と「刺身の盛り合わせ」でした。特に、この二大名物を両方楽しめる「恋人セット」（金目鯛の煮付け定食と刺身の盛り合わせ定食のセット）が大変人気で、多くのお客さんが注文していました。ドラマ「孤独のグルメ」で主人公が食べていたのも、この2品がベースになっています。
- 「孤独のグルメ」では、どのように紹介されたのですか？
2021年に放送されたSeason9の第2話「神奈川県中郡二宮町の金目鯛の煮付けと刺身の盛り合わせ」で登場しました。主人公の井之頭五郎さん（演：松重豊さん）が、仕事で二宮町を訪れた際に立ち寄り、金目鯛の煮付けと刺身を注文。その美味しさに舌鼓を打ち、ご飯の上に刺身と煮付けを乗せて「にしけん丼」を自作したり、残った煮汁をご飯にかけてかき込んだりする姿が印象的に描かれました。放送後、この食べ方を真似するファンが続出したそうです。
- 店主さんはどんな人だったのですか？
多くの口コミで「陽気で愉快」「おしゃべり好き」と評される、非常に個性豊かで魅力的な方だったようです。おしゃれな帽子とピアスがトレードマークで、自分の店の魚に絶対の自信と愛情を持っていました。そのため、お客さんにおすすめを熱心に語りかけることもしばしばあったようです。そのやり取りも含めて「にしけんの味」だと楽しむ常連さんやファンが多かったのです。
- 「恋人セット」を頼まないと気まずい雰囲気でしたか？
口コミを見ると、店主さんや奥さんが看板メニューである「恋人セット」を強くおすすめする場面があったようです。ただ、それは「せっかく来たのだから一番美味しいものを食べてほしい」という親心のようなものだったと思われます。実際に、おすすめを断って自分の好きな単品メニューを注文したお客さんもいますし、それで気まずくなったという報告は見られません。お店側のおすすめを素直に楽しめる人にとっては最高の体験になり、自分のペースで選びたい人にとっては少し戸惑う場面があった、ということなのかもしれません。
- お店で使われていた金目鯛は、二宮の地魚だったのですか？
いいえ、実は二宮町の沿岸では金目鯛は獲れません。そのため、お店で提供されていた金目鯛は、地元の魚というわけではありませんでした。しかし、そこには元魚屋である店主さんのこだわりがありました。地魚に固執するのではなく、「自分が本当に美味しいと認めた魚」をお客さんに提供するというスタイルだったのです。店主さんが毎朝、小田原の魚市場に足を運び、長年の経験で培った目利きで最高の金目鯛を仕入れていたからこそ、あの絶品の煮付けが生まれたのですね。
