1995年の『テイルズ オブ ファンタジア』から始まり、多くのゲームファンを魅了し続けてきた「テイルズ オブ」シリーズ。
しかし、2021年の『テイルズ オブ アライズ』以降、マザーシップタイトル(本編作品)の新作情報がなかなかなく、ファンからは「もう新作は出ないの?」「もしかしてオワコン…?」といった不安や寂しさの声が聞こえてきます。
本記事では、なぜテイルズの新作が出ないのか、その背景にある理由を専門的な視点とファンの声を交えながら徹底的に調査・解説します。
テイルズの新作出ないのはなぜ?オワコン・人気落ちた声も?

(出典:Amazon)
新作が出ない背景には、単に人気が落ちたという単純な理由だけではなく、ゲーム開発環境の変化やシリーズが長年積み重ねてきた歴史そのものが影響していると考えられるのです。
開発サイクルの長期化とクオリティ追求による影響のため
近年のゲーム開発は、グラフィックの進化や求められるコンテンツ量の増大により、一つのタイトルを作るのに非常に長い時間と多くのコストがかかるようになっています。
これは「テイルズ」シリーズも例外ではありません。
シリーズの「新生」を掲げて開発された『テイルズ オブ アライズ』は、これまでのシリーズからグラフィック表現を一新し、世界中のプレイヤーに受け入れられることを目指した意欲作でした。
この挑戦は見事に成功し、『アライズ』はシリーズ史上最速で世界累計販売本数100万本を突破し、発売から約2年半で300万本という大台に乗る記録的なヒット作となったのです。
この成功は、シリーズがまだ世界で戦える力を持っていることを証明しましたが、同時に次なる新作へのハードルを極めて高く設定してしまいました。
ファンからの期待はもちろん、開発チーム自身も『アライズ』を超えるクオリティを目指さなければならないというプレッシャーは相当なものだと考えられます。
実際に、シリーズの歴史を振り返ると、開発期間は徐々に長くなる傾向にあります。
- 2012年11月1日: 『テイルズ オブ エクシリア2』発売
- 2015年1月22日: 『テイルズ オブ ゼスティリア』発売(約2年3ヶ月後)
- 2016年8月18日: 『テイルズ オブ ベルセリア』発売(約1年7ヶ月後)
- 2021年9月9日: 『テイルズ オブ アライズ』発売(約5年1ヶ月後)
『ベルセリア』から『アライズ』までの約5年間という空白期間は、シリーズにとって大きな転換点でこの間に、開発体制の見直しや新しいゲームエンジンの導入など、次世代の「テイルズ」を生み出すための大規模な準備が行われていたのです。
一度クオリティの基準を大きく引き上げてしまった以上、以前のように1~2年で新作をリリースするのは現実的ではなくなってしまいました。
つまり、新作が出ないのは、次の一作を『アライズ』以上の「最高傑作」にするための、長い助走期間に入っているからだと言えるでしょう。
開発方針が国内中心からグローバル市場へと大きくシフトしたため
『テイルズ オブ アライズ』の成功は、シリーズの新たな可能性を切り開くと同時に、開発体制そのものを大きく変化させるきっかけになったと思われ、かつてのように1~2年に1本のペースで新作をリリースしていた時代から、一本一本のクオリティを極限まで高め、世界市場で戦える大作として開発する方針へと舵を切ったのです。
近年のテイルズシリーズは、海外での販売本数が全体の約7割を占めるほど、グローバルな人気を獲得していて、開発チームが国内のコアファンだけでなく、世界中のゲーマーをターゲットにした作品作りを意識するのは当然の流れと言えます。
『アライズ』では、従来のテイルズらしさを残しつつも、グラフィック表現に「アトモスシェーダー」を採用したり、バトルシステムを一新したりと、海外のAAA級タイトルにも引けを取らないクオリティを目指して開発されました。
この大規模な開発プロジェクトの成功体験が、今後の新作開発におけるハードルを格段に引き上げたことは間違いありません。
ファンは『アライズ』と同等、あるいはそれ以上のものを期待するため、開発に膨大な時間とコストがかかるのは必然なのです。
また、グローバル市場を意識することで、ストーリーやキャラクター造形にも変化が見られます。
文化圏に依存しない普遍的なテーマ性が求められるようになり、かつてのテイルズシリーズが得意としていた「アニメ風のキャラクター同士の濃密な掛け合い」といった要素は、少し控えめになったと感じるファンもいるようです。
観点 | 2010年代前半までのテイルズ | 『アライズ』以降のテイルズ |
---|---|---|
メインターゲット | 主に国内のJRPGファンが中心でした。 | 全世界のゲーマーがターゲットになっています。 |
開発スタイル | 既存のシステムを改良していく形が多かったです。 | グラフィックやシステムを一から再構築しました。 |
リリース間隔 | 1~2年に1本と、非常にコンスタントでした。 | 5年以上空き、今後は大作志向になると考えられます。 |
重視される要素 | キャラクター間の関係性や声優の人気が強みでした。 | 普遍的な物語と世界最高水準のグラフィックです。 |
なぜ新作がでないの?売れにくくなっている?
「新作が出ないのは、売れなくなったからでは?」という心配の声も聞かれますが、データを見る限りその心配は不要です。むしろ、シリーズは今、商業的に最も成功している時期にあると言っても過言ではないのです。
前述の通り、『テイルズ オブ アライズ』はシリーズ史上最速で世界累計100万本を突破し、最終的には300万本という驚異的なセールスを記録しました。これは、歴代シリーズの中でもトップクラスの売上であり、「テイルズブランド」が世界的に非常に高い価値を持っていることの証明です。
では、なぜこれほど売れているのに新作が出ないのでしょうか。
それは、バンダイナムコが「リマスタープロジェクト」という新たな戦略を打ち出したためです。
完全新作の開発に長い時間をかける一方で、過去の人気作を現行機向けにリマスターし、コンスタントにリリースしていくという戦略です。
実際に、2025年1月には『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』が、同年10月には『テイルズ オブ エクシリア リマスター』が発売されるなど、このプロジェクトは着実に進行。
プロデューサーの富澤祐介氏は「今後 “かなりコンスタント” にリマスターを出せるよう専任ラインを設置した」と明言しており、将来的には年1本ペースでのリリースを目指しているようです。
つまり、「新作が出ない」のではなく、「高品質な新作をじっくり開発しつつ、その間はリマスターでファンを楽しませる」という、シリーズの未来を見据えた新しいフェーズに入ったと考えるのが正しい理解だと思われます。
タイトル | 発売日 | 区分 | 備考 |
---|---|---|---|
テイルズ オブ ゼスティリア | 2015年1月22日 | 新作 | シリーズの評価に大きな影響を与えました。 |
テイルズ オブ ベルセリア | 2016年8月18日 | 新作 | 『ゼスティリア』の過去を描く物語です。 |
(約5年間の空白期間) | – | – | – |
テイルズ オブ アライズ | 2021年9月9日 | 新作 | シリーズ復活を遂げた世界的大ヒット作です。 |
テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター | 2025年1月16日 | リマスター | リマスタープロジェクト第1弾として発売されました。 |
テイルズ オブ エクシリア リマスター | 2025年10月30日 | リマスター | プロジェクト第2弾として発表されました。 |
オワコンや人気落ちたの?テイルズの印象は?なんJ・SNSを調査
データ上では好調なテイルズシリーズですが、ファンの間ではどのような印象を持たれているのでしょうか。
なんJ(なんでも実況J)やX(旧Twitter)などのSNSを調査すると、ファンの意見は大きく3つの層に分かれていることがわかりました。
以下に、それぞれの立場を代表するような口コミをいくつかご紹介します。
ファンの意見は多岐にわたっており、一概に「オワコン」「人気が落ちた」と断じることはできません。
むしろ、『アライズ』の成功によって新たなファン層が生まれた一方で、古くからのファンとの間に意識のズレが生じている、過渡期の状態にあると言えるのかもしれません。
Q&A
ここでは、テイルズシリーズに関するよくある質問や、少し踏み込んだ疑問についてお答えします。
- テイルズシリーズはもう完全新作を出さないのですか?
いいえ、そんなことは決してありません。バンダイナムコの株主総会では、シリーズの今後について問われた際に「現在(完全新作を)開発中です。詳細は言えませんが期待してほしい」と公式に回答しています。
ただし、『アライズ』で大きく引き上げられたクオリティのハードルを超えるため、開発には相当な時間がかかっていると予想されます。
- なぜ『エクシリア』のリマスターは、続編の『2』とセットで発売されなかったのですか?
考えられる理由はいくつかあります。まず、開発リソースの問題です。リマスター専任ラインを設置したとはいえ、2作品を同時に高品質でリマスターするのは作業量が膨大になります。そのため、まずは『1』をリリースして市場の反応を見てから、『2』の開発を本格化させるという段階的な戦略を取っている可能性があります。
もう一つは、商業的な狙いです。単純に2本に分けて販売することで、売上を最大化したいという意図も考えられます。ファンとしては少し寂しい判断に感じられるかもしれませんが、企業としては合理的な判断なのかもしれません。いずれにせよ、『1』の売上次第では、『2』のリマスターも十分に期待できると思います。
- 『ゼスティリア』の炎上は、具体的にその後の作品の売上にどのような影響を与えたのですか?
実は、『テイルズ オブ ゼスティリア』(2015年)自体の全世界累計販売本数は126万本以上と、決して低い数字ではありませんでした。問題は、その次に発売された作品への影響です。
炎上の翌年に発売された『テイルズ オブ ベルセリア』(2016年)は、ゲームメディアやプレイヤーからの評価は非常に高かったにもかかわらず、発売初週の国内売上は『ゼスティリア』を下回る結果となりました。これは、炎上によるブランドイメージの低下が、ファンの「次回作への購入意欲」に直接的なダメージを与えた結果と考えられます。
しかし、興味深いのはその後の展開です。『ベルセリア』は、その重厚なストーリーと魅力的なキャラクターが口コミで高く評価され、時間をかけて売上を伸ばし続けました。最終的には全世界で250万本以上を売り上げるロングセラーとなり、炎上で傷ついたブランドイメージの回復に大きく貢献したのです。