2016年にサービスを開始し、その独特すぎる世界観で一部のプレイヤーに熱狂的に支持された『ユバの徽(しるし)』
多くのファンに惜しまれつつも2018年にその歴史に幕を下ろしました。
なぜ『ユバの徽』は終了してしまったのでしょうか。
ユバの徴のサービス終了理由や続編は?

公式からは具体的な理由は語られていませんが、ゲームの仕様や当時のプレイヤーの声から、いくつかの要因が浮かび上がってきます。
ユーザー離れや売上の激減のため
ソーシャルゲームのサービス終了における最も一般的な理由は、アクティブユーザー数の減少と、それに伴う収益の低下で、『ユバの徽』も、その例外ではなかったと考えられます。
後述する技術的な問題や、人を選ぶニッチな世界観が、新規ユーザーの定着を妨げ、既存ユーザーの離脱を招いた可能性があります。
ゲームの根幹をなす「世代交代」システムは、腰を据えてじっくりプレイする必要があり、手軽さを求めるライト層にはハードルが高かったかもしれません。
結果として、運営を継続するために必要な収益を確保することが困難になり、約2年という期間でサービスを終了するという苦渋の決断に至ったのではないでしょうか。(2016年8月〜2018年9月26日)
ただ、1年以内で撤退するソシャゲも少なくないので、頑張った方だとは思います。
ちなみに賛否あった部分に関しては以下のような部分が挙げられます。
ユーザー離れ&売上激減の主な要素
| 要素 | 問題点 |
|---|---|
| ゲームの重さ・ロード時間 | クエスト開始・終了時のロードが非常に長く、快適に遊べない。スマホ容量も圧迫されやすい。 |
| 世界観・ストーリーの難解さ | 謎が多すぎて風呂敷を広げるだけで回収されないまま終了。キャラや設定の真相が語られない。 |
| システムの複雑さ・ニッチさ | 「契り」「生け贄」など独特すぎて人を選ぶ。育成も手間が多く、ライト層が定着しづらい。 |
| イベント・キャラ追加の単調さ | イベントが単調で飽きやすい。新キャラも見た目重視で個性が薄く、印象に残りづらい。 |
| 有名人起用の乱発 | 後半は有名人CVキャラが増えすぎて、世界観との一体感が薄れた。違和感を感じる人も多かった。 |
| 対応環境の不便さ | PCやスマホの一部環境で動作しない、Firefox非対応などでプレイできない人が多かった。 |
| 育成・レベル上げの手間 | 戦士のレベル上げが「生け贄」必須で手間がかかる。ガチャも選別が面倒。 |
| コア層の選民意識 | 一部ユーザーの選民意識が強く、初心者が入りづらい空気があった。 |
技術的な問題による快適性の低下のため
『ユバの徽』がユーザー離れを起こした大きな要因の一つに、技術的な問題によるプレイの快適性の低さが挙げられます。
多くのプレイヤーが指摘していたのが、ゲーム全体の「重さ」でした。
クエストの開始時と終了時に発生する長いロード時間は、プレイのテンポを著しく損ない、「クエストをプレイしている時間よりロード時間の方が長い」と感じるユーザーも少なくありませんでした。
また、アプリ自体のデータ容量も非常に大きく、スマートフォンのストレージを圧迫することも、継続プレイの障壁となっていたのです。
どれだけ世界観やストーリーが魅力的であっても、快適に遊べないという点は、特に毎日プレイすることが前提となるソーシャルゲームにおいては致命的です。
快適性の欠如が、多くのユーザーをゲームから遠ざけてしまったことは想像に難くありません。
他のゲームとも比べてもやはりロードへの不満は多い印象です。
| ゲームタイトル | プレイの快適さ | 特徴 |
|---|---|---|
| ユバの徽 | ロードが長く重い印象でした | 独特の世界観は魅力的ですが、快適なプレイ環境の構築が課題だったかもしれません。 |
| Fate/Grand Order | 比較的サクサク動きます | 長年の運営とアップデートにより、ゲームの最適化が進んでいて快適です。 |
| グランブルーファンタジー | ブラウザ版は環境によりますが、アプリは快適です | こちらも長寿タイトルならではの最適化が進んでおり、安定したプレイが可能です。 |
ニッチな世界観と広告戦略のミスマッチのため
『ユバの徽』の最大の特徴は、「人身御供」「生け贄」「世代交代」といった、他のゲームにはないダークで背徳的な世界観です。
この世界観は一部のプレイヤーを強く惹きつけましたが、同時に非常にニッチで、万人受けするものではなかったことも事実です。
サービス開始当初の広告戦略も、ユーザー層を狭める一因となった可能性があり、Web広告では「助けてください 今の私は本当の私ではないのです」といったショッキングなフレーズや、キャラクターの痛々しい姿を前面に押し出し、「胸糞系」「怖い広告」として大きなインパクトを与えました。
広告戦略は知名度向上には貢献したものの、「グロテスクなリョナゲー」というイメージを先行させてしまいました。
実際のゲームはキャラクターを救済し、育成する要素も色濃く、広告のイメージだけでプレイを敬遠した層や、逆に過激な描写を期待して始めたものの、思った内容と違ったために離れてしまった層もいたのではないでしょうか。
あるユーザーが「ただのファッションとして利用してるだけだ」と感じたように、広告とゲーム内容の微妙なズレが、コアなファンを完全に掴みきれない要因になったとも考えられるのです。
続編はある?
現時点(2025年9月)で、『ユバの徽』の続編やリメイクに関する正式な発表はありませんが、その可能性は決してゼロではないのです。
本作に関わったゲームクリエイターの西澤龍一氏が、過去のインタビューで「コンソールで『ユバの徽』を作り直せないかなと、ちょっと考えています」と語っており、開発サイドにリメイクへの意欲があることが示唆されています。
また、ファンの熱意も健在で、2021年に行われたDMM GAMESの10周年企画「復刻投票キャンペーン」では、『ユバの徽』が対象作品に選ばれ、数多くのタイトルの中で5位にランクインしました。
サービスが終了して数年経ってもなお、多くのファンが作品を愛し、復活を望んでいることの何よりの証拠です。
サービス終了後もキャラクターブックやサウンドトラックが発売されるなど、コンテンツとしての魅力は色褪せていません。
ユバの徴はグロい?なんJやSNSの声を徹底調査
「生け贄」システムや血しぶきの舞う戦闘シーンなどから、「グロい」というイメージを持たれがちな『ユバの徽』。
プレイヤーたちは、その描写をどのように受け止めていたのでしょうか。
SNSやなんJ(5ちゃんねる)などの声を見てみると、その評価は一様ではないことがわかります。
調査したところ、プレイヤーの感想はおおよそ以下の割合に分かれる印象でした。
多くのプレイヤーは、グロテスクな要素を作品のダークな世界観を構成する重要な魅力として、肯定的に捉えていたようです。
【SNSや掲示板での口コミまとめ】
世界観にどっぷりハマった!
「なんJの広告スレで知って始めたけど、ただグロいだけじゃなくてストーリーがめちゃくちゃ深かった。不幸な祈り人を救済して、絆を深めたと思ったら生け贄に捧げる……。この上げて落とす流れが最高に”キマる”。運営はプレイヤーの心を折る天才だと思う(褒め言葉)。」
キャラクターデザインが刺さる
「侵略者に改造されて、タコの足が生えちゃったカナロちゃんとか、痛々しいデザインが逆に美しい。進化させるとトラウマから解放されて笑顔になるのがたまらない。このゲームの魅力は、単なるグロじゃなくて、その先にある悲哀と救済だと思う。」
意外とグロ耐性は要らない?
「広告が怖かったから身構えてたけど、戦闘中の血しぶきも演出って感じだし、生け贄シーンも直接的な描写はないから平気だった。むしろ、キャラクターたちの抱える心の闇の方が精神的にくる。雰囲気ゲーが好きな人にはたまらないと思う。」
グロいとか以前の問題…
「世界観は好きだったけど、とにかくゲームが重すぎて……。ロードが長すぎて、グロいとか怖いとか感じる前にプレイするのがしんどくなってやめちゃった。もったいないゲームだったと思う。」
「グロい」という評価はありつつも、それを上回るストーリーやキャラクターの魅力、独特の背徳感に惹きつけられたプレイヤーが多かったようです。
直接的なゴア表現は控えめな一方で、精神的に揺さぶられるダークな設定こそが、『ユバの徽』の本質だったと言えるでしょう。
概要をおさらい
『ユバの徽』は、DMM.com POWERCHORD STUDIOによって開発・運営され、2016年8月2日にサービスを開始した横スクロールアクション型世代交代RPG。
PCブラウザ版のほか、iOS版、Android版も配信されていました。
物語の舞台は、侵略者によって脅かされる神の地「ユバの大地」。プレイヤーは神の血を引く「ユバ一族」の長となり、各地に囚われている「祈り人」と呼ばれるキャラクターたちを救出していきます。
最大の特徴は、「契りの儀式」によって戦士と祈り人の間に子孫(新たな戦士)を誕生させ、世代を重ねることで一族を強化していく「世代交代」システムです。
また、キャラクターを消去するコマンドが「生け贄」となっており、捧げることで一族に恩恵をもたらすなど、ダークで背徳的な世界観が多くのプレイヤーに衝撃を与えました。
豪華声優陣に加え、高須克弥院長や稲川淳二さんといった異色のゲスト声優の起用も大きな話題となりました。約2年1ヶ月にわたる運営の末、2018年9月26日にサービスを終了しました。
Q&A
- なんで『ユバの徽』じゃなくて『ユバのしるし』ってひらがなで書かれることが多いの?
正式名称は『ユバの徽』ですが、「徽」という漢字が日常的に使われるものではなく、読み方や変換が難しいためです。このため、公式のTwitterハッシュタグでも「#ユバのしるし」が用いられており、プレイヤーの間でもひらがな表記が広く浸透しました。ちなみに、よく似た漢字の『ユバの徴』は誤記なので注意が必要です。
- どんな有名人が声優をやってたの?
『ユバの徽』は、キャスティングでも非常に話題になりました。高須クリニックの高須克弥院長がイケメン科学者役を、怪談家の稲川淳二さんが森の民のキャラクター役を担当しています。他にも、ザ・ドリフターズの高木ブーさんや、セクシー男優の加藤鷹さんなど、声優業を本業としない方々が多数起用されました。さらに、渡洋史さん(宇宙刑事シャリバン)や椿隆之さん(仮面ライダー剣)といった特撮ヒーロー作品で知られる俳優も多く参加しており、他のゲームにはない大きな特徴となっていました。
- 「突然変異」の戦士って、強いけど子孫を残せないデメリットがあったけど、実際どう使われてたの?
「突然変異」の戦士は、特定の能力が突出して高くなるため、高難易度クエストやランキングイベントでハイスコアを狙う際の切り札として非常に重宝されました。まさに一代限りの天才、という存在です。子孫を残せないというデメリットは、『ユバの徽』の世界観においては決して無駄にはなりませんでした。役目を終えた突然変異の戦士は、「生け贄」に捧げることで、その職業のレベルを大幅に上げるための貴重な糧となったのです。戦場で華々しく活躍し、その身を捧げて次世代の礎となる…その姿は、『ユバの徽』の過酷で美しい世代交代のサイクルを象徴していました。
- サービス終了間際のゲーム内の雰囲気ってどんな感じだった?
まさに「最後の祭り」といった雰囲気で、不思議な一体感に包まれていました。運営から課金アイテムである「ドクロゴールド」が大量に配布され、レアな祈り人が手に入りやすい救出クエスト(ガチャ)も開催されたため、多くのプレイヤーがこれまで手に入れられなかったキャラクターを救出し、未開放だったエピソードを読み進めるなど、最後の時間を思い思いに楽しんでいました。TwitterなどのSNSでは、ファンアートの投稿や思い出を語り合うツイートが溢れ、サービス終了を惜しむ声と共に、作品への愛を共有する温かい空気が流れていたのが非常に印象的です。
- 祈り人の「進化」って、見た目が良くなるだけじゃなかったの?
見た目が変化するのはもちろんですが、進化の真価はそれだけではありませんでした。進化前の祈り人たちは、侵略者によって心と体に深い傷を負い、暗い表情をしています。プレイヤーが「ウル」というアイテムを捧げて彼女たちを「救う」ことで進化し、トラウマから解放されて初めて笑顔を見せてくれるのです。この過程に、キャラクターを救済したという強いカタルシスを感じるプレイヤーが多くいました。また、ゲームシステム的にも、進化後はステータスが大幅に向上し、新たなスキルを習得します。そして何より、一族を繁栄させるための「契りの儀式」を行えるようになるため、進化は物語と攻略の両面で極めて重要な要素だったのです。








