今回はどん亭の閉店理由やその跡地について調査しました。
どん亭の閉店なぜ?理由とは
「どん亭」と聞くと、しゃぶしゃぶのお店を思い浮かべる方と、牛丼のお店を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれませんね。
「どん亭」には、株式会社アークミールが運営する「しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭」と、株式会社富士達が運営していた「牛丼のどん亭」の主に2つあります。
ややこしいですよね。
ただ近年、両方の「どん亭」で閉店のニュースが聞かれるようになりました。
閉店理由1:親会社の変更や事業再編のため
まず考えられるのが、会社の経営方針の変更や事業の整理、見直しですね。
「しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭」を運営する株式会社アークミールは、2020年に大きな変化がありました。
それまでは牛丼の「吉野家」などを運営する吉野家ホールディングスの子会社だったのですが、焼肉レストラン「安楽亭」などを運営する株式会社安楽亭に全株式が譲渡されたのです。
この背景には、アークミールの業績が関わっていると思われます。
アークミールは2019年2月期決算で売上高が約202億円だったものの、営業赤字が9億30百万円だったとされています。
親会社が変わることで、不採算店舗の閉店や、より収益が見込める業態への転換(リブランド)といった事業再編が進められることがあるのですね。
実際に、しゃぶしゃぶどん亭高石店は改装後、同じアークミールが運営する「ステーキハウス フォルクス」としてリニューアルオープンしました。
項目 | 内容 |
---|---|
旧親会社 | 株式会社吉野家ホールディングス |
新親会社 | 株式会社安楽亭 |
対象会社 | 株式会社アークミール(「ステーキハウス フォルクス」「ステーキのどん」「しゃぶしゃぶどん亭」運営) |
譲渡日 | 2020年2月29日に譲渡 |
アークミール業績(当時) | 2019年2月期 売上高202億5百万円、営業赤字9億30百万円 |
このような会社の大きな動きは、個々のお店の運営にも影響を与えることがあるのですね。
閉店理由2:コロナ禍の影響を受けたため
次に、新型コロナウイルスの感染拡大も、飲食業界全体に大きな影響を与えましたよね。
どん亭も例外ではなかったと考えられます。
多くの飲食店が営業時間の短縮を余儀なくされたり、大人数での宴会が減ったりしました。
また、外食を控えるという消費者の行動の変化もありましたね。
以下の法務省のデータにもあるように、令和2〜3年は特に自粛期間が長く、売り上げが落ちたお店もかなり多いです。

(出典:法務省)
「しゃぶしゃぶ どん亭」のような鍋料理のお店や、食べ放題形式のお店は、衛生面への配慮や、大人数での利用が中心だったこともあり、影響が大きかったようです。
他のしゃぶしゃぶチェーン店でも、コロナ禍で経営が厳しくなったという話も聞かれます。
コロナ禍の影響 | 具体例 |
---|---|
営業面での制約 | 営業時間の短縮要請、座席数の削減、設備の衛生対策強化、ビュッフェスタイルの制限など |
消費行動の変化 | 宴会需要の急減、テイクアウト志向の高まり、少人数での利用増加、滞在時間の短縮化など |
経営への打撃 | 売上減少による資金繰りの悪化、不採算店舗の閉鎖など |
こうした状況が、一部店舗の閉店という判断につながった可能性は十分に考えられます。
閉店理由3:食材費や人件費、光熱費の高騰による影響のため
最近よくニュースでも耳にする、食材費や人件費、光熱費の値上がりも、飲食店の経営を圧迫する大きな要因です。
小麦や食用油、肉類といった食材の価格は、国際情勢や天候不順、円安などの影響で高騰しています。
こちらの総務省のデータのように基本的に右肩上がりで、厳しい状況は今後も続くと考えられます。

(出典:総務省)
また、人手不足から人件費も上昇傾向にありますし、電気代やガス代といった光熱費も上がっています。
これらのコストは、お店の運営に直接響いてきます。
値上げに踏み切るお店も多いですが、お客様離れを心配してなかなか価格に転嫁できない場合、お店の利益が減ってしまい、経営が厳しくなってしまうのですね。
牛丼の「どん亭」武蔵新城店の閉店情報の中でも、材料費高騰などの影響が示唆されていました。
コスト項目 | 要因の例 | お店への影響の例 |
---|---|---|
食材費 | 国際的な穀物価格の上昇、円安の進行、天候不順による不作など | 仕入れ価格の上昇、メニュー価格への転嫁圧力 |
人件費 | 最低賃金の上昇、労働力不足による採用コストの増加など | 従業員の確保の難しさ、サービスレベル維持の課題 |
光熱費 | 原油価格や液化天然ガス(LNG)価格の高騰、電気料金・ガス料金の値上げなど | 店舗運営コストの直接的な増加 |
こうした厳しい経営環境も、閉店の決断を後押しする一因になっていると思われます。
閉店ラッシュ?過去に閉店した店舗一例や跡地について
「閉店ラッシュ」という言葉が使われることもありますが、実際にいくつかの店舗が閉店しています。
しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭の閉店例
店舗名 | 閉店時期 | 跡地 |
---|---|---|
しゃぶしゃぶどん亭 我孫子店 | 2024年1月22日 | 跡地はマクドナルド我孫子若松店として2025年3月中旬オープン |
しゃぶしゃぶどん亭 南柏店 | 2023年8月30日 | |
しゃぶしゃぶどん亭 東浦和店 | 2022年7月31日 | 跡地はコインパーキング「Dパーキング東浦和2丁目第1・第2」 |
しゃぶしゃぶどん亭 石神井台店 | 2023年1月9日 |
牛丼 どん亭の閉店例
牛丼の「どん亭」は、武蔵新城店の閉店により、本州からは姿を消し、2025年時点では沖縄県の3店舗(牧志店、国際通り安里店、豊見城店)のみの営業となっています。

(出典:どん亭)
このように、様々な理由が複合的に絡み合って、店舗の閉店という結果に至っているのですね。
どん亭についておさらい
改めて、「どん亭」がどんなお店なのか、その魅力について紹介します。
しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭の魅力
株式会社アークミールが運営する「しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭」は、「みんなでお鍋を囲み、団欒と語らいの中、楽しいお食事の時間が過ぎていく。
そんな場をみなさまにご提供する、しゃぶしゃぶとすき焼専門店」をコンセプトにしています。
手頃な価格でしゃぶしゃぶやすき焼きの食べ放題コースを楽しめるのが大きな魅力ですよね。
ランチタイムにはお得な定食メニューも用意されていて、気軽に利用しやすいです。
店舗によっては、サラダバーやソフトクリームの食べ放題が付いていることもあり、家族連れにも人気があるようです。
しゃぶしゃぶ業界には、「しゃぶ葉」「ゆず庵」「温野菜」「木曽路」といったライバル店がたくさんありますよね。
店舗名 | 価格帯(一般的なイメージ) | 特徴の例 |
---|---|---|
どん亭 | 中価格帯 | しゃぶしゃぶ・すき焼きの食べ放題、ランチ定食、サラダバー(店舗による) |
しゃぶ葉 | 低価格帯 | 豚肉中心のリーズナブルな食べ放題、野菜・デザートはセルフサービス、平日ランチがお得 |
ゆず庵 | 中価格帯 | 寿司や串揚げなども含めた食べ放題、デザートの種類が豊富、タッチパネル注文 |
温野菜 | 中~やや高価格帯 | だしの種類が選べる、肉質や野菜にこだわり、落ち着いた雰囲気の店舗が多い |
木曽路 | 高価格帯 | 高級感のある店内で本格的なしゃぶしゃぶ・日本料理、接待や特別な日の食事向け |
「どん亭」は、これらのお店と比較すると、家族や友人と気軽に利用できる中価格帯のお店という位置づけでしょうか。
牛丼 どん亭の魅力
一方、株式会社富士達が運営していた「牛丼のどん亭」は、牛丼をメインとしながらも、カツカレーやカツ丼、定食類など豊富なメニューが特徴でした。
武蔵新城店では、「どん亭スペシャル(どんスペ)」と呼ばれる、牛丼の具、カレー、トンカツが一皿に乗ったボリューム満点のメニューが名物で、地元の人々や学生さんたちのお腹を満たしてきたのです。
長年地域に根ざし、多くの人に愛されてきたお店です。
牛丼チェーン主要3社と比較しても安価で、沖縄に根付いている感じがあります。
項目 | どん亭(牛丼) | 吉野家 | すき家 | 松屋 |
---|---|---|---|---|
運営会社 | 株式会社富士達 | 吉野家HD | ゼンショーHD | 松屋フーズHD |
主力商品 | 牛丼 | 牛丼 | 牛丼 | 牛めし(牛丼) |
メニュー幅 | 牛丼中心、沖縄限定 | 牛丼、定食、カレー等 | 牛丼、カレー、丼物等 | 牛めし、定食、カレー等 |
トッピング | 少なめ | ねぎ玉、チーズ等 | チーズ、キムチ等豊富 | ネギたま、キムチ等 |
店舗数 | 沖縄3店舗(2025年) | 約1,200店 | 約2,000店 | 約1,000店 |
テイクアウト | ○ | ○ | ○ | ○ |
デリバリー | × | ○ | ○ | ○ |
価格帯 | 安価 | 安価 | 安価 | 安価 |
ターゲット層 | 地域住民・学生 | 幅広い層 | 若年層・ファミリー | 幅広い層 |
特徴 | 沖縄ローカル色強い | 伝統・安定の味 | トッピング多彩 | 定食・味噌汁無料 |
向いている人
ここまでの情報を踏まえ、それぞれどんな方に向いているか紹介します。
しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭が向いている人
- 家族や友人と、わいわい楽しく鍋料理をお腹いっぱい食べたい人。
- しゃぶしゃぶだけでなく、すき焼きも楽しみたい人。
- ランチを手頃な価格で済ませたい人(ランチメニューがあるため)。
- 野菜もたくさん食べたい人(サラダバー設置店の場合)。
牛丼 どん亭(沖縄)が向いている人
- 沖縄で、手軽に牛丼や定食、沖縄そばなどを味わいたい人。
- ボリュームのある食事を求めている人。
- 地元に密着した雰囲気のお店が好きな人。
Q&A
- どん亭にはどんな種類があるの?
はい、主に2つの系統がありますね。ひとつは株式会社アークミールが運営している「しゃぶしゃぶ すき焼 どん亭」で、こちらは全国的に店舗があります。もうひとつは株式会社富士達が運営していた「牛丼のどん亭」で、こちらは2025年3月末に本州最後の店舗が閉店し、現在は沖縄県に数店舗が残るのみとなっています。
- しゃぶしゃぶのどん亭はどこの会社がやっているの?
株式会社アークミールという会社が運営していますね。この会社は、以前は吉野家ホールディングスの一員でしたが、2020年からは焼肉の「安楽亭」などを運営する株式会社安楽亭のグループ会社になっています。
- 閉店したどん亭の跡地はどうなっているの?
場所によって様々ですね。千葉県我孫子市の「しゃぶしゃぶどん亭」跡地はマクドナルドですし、埼玉県さいたま市の東浦和店の跡地はコインパーキングになっています。他の飲食店やドラッグストアになるケースもあるようです。
- しゃぶしゃぶどん亭の今後の展開はどうなるの?
親会社であるアークミールの情報によると、以前は「しゃぶしゃぶのどん亭」に事業の重点を置くという方針も示されていました。現在も、新しい店舗がオープンしたり(例:武蔵浦和店が2024年4月オープン)、既存のお店を改装したり、お得なキャンペーンを実施したりしています。これからも、地域のお客様に愛されるお店作りを目指していくのではないでしょうか。