多くの人々に愛され、神楽坂の顔ともいえる存在だった老舗甘味処「紀の善」。
2022年9月30日の突然の閉店に驚いた人も多かったはずです。
今回は、紀の善が一度のれんを下ろした理由から、多くの声に後押しされて奇跡の復活を遂げた現在までを徹底調査、紹介します。
紀の善の閉店理由は?その後は神楽坂で復活!

突然の閉店は多くの人を驚かせましたが、その背景にはやむを得ない事情がありました。
リニューアルに向けた準備のため(その後は神楽坂で復活)
2022年9月30日、紀の善は惜しまれつつも閉店。
公式に発表されたその理由は「店主の高齢化や諸般の事情」というものでした。長年お店を守り続けてきた女将さんのことを思うと、誰もが納得せざるを得ない、寂しくも温かい幕引きだったのです。
しかし、その味を惜しむ声は鳴りやみませんでした。
その熱い想いに応えるかのように、飲食事業を展開する「株式会社クリエイト・レストランツ」が事業を継承。
閉店から約3年後の2025年7月18日、以前の店舗から少し坂を上がった場所で、待望の再オープンを果たしました。
住所:〒162-0825 東京都新宿区神楽坂1丁目12 さわやビル
営業時間:11時00分~19時00分
定休日:月曜日
電話番号:0366303921
単なる閉店ではなく、160年以上続く伝統の味を未来へ繋ぐための、大切な準備期間だったのかもしれませんね。
項目 | 詳細 | 備考 |
---|---|---|
再オープン日 | 2025年7月18日 | 多くのファンがこの日を待ち望んでいました。 |
新しい運営会社 | 株式会社クリエイト・レストランツ | 「磯丸水産」なども展開する食のプロ集団です。 |
新店舗の場所 | 東京都新宿区神楽坂2-12-15 | 以前の店舗と同じ通り沿いで、少し坂を上がった場所です。 |
味の継承 | 25年以上あんこを炊いた職人さんが続投 | 原材料や製法も忠実に再現されているのが嬉しいポイントです。 |
店主の高齢化のため
閉店のお知らせに記されていた、もう一つの大きな理由が「店主の高齢化」です。
紀の善のルーツは江戸時代末期にまで遡り、1948年に甘味処として再出発して以来、長年にわたり富田ご夫妻がお店を守り続けてきました。
看板メニューの「抹茶ババロア」は、女将の冨田恵子さんが考案した、まさに紀の善の魂とも言える逸品なのです。
毎日お店に立ち、お客様を温かく迎え、伝統の味を守り続ける。
その日々は、私たちの想像以上に心身ともに大変なものだったと思います。
160年という長い歴史を背負い、多くの人々の思い出の場所であり続けることの重圧もあったかもしれません。
だからこそ、事業継承という形でその味と心が次世代に引き継がれたことは、本当に喜ばしいことなのです。
コロナ禍や人件費・物価の高騰の影響を受けたため

公式に発表された閉店理由ではありませんが、閉店に至る背景には、近年の厳しい社会情勢も少なからず影響していたと考えられます。
2020年からのコロナ禍では、紀の善も例外なく影響を受けました。
緊急事態宣言下では2階のイートインスペースを閉鎖したり、営業時間を短縮したりといった対応を余儀なくされ、売上が大幅に減少した時期もあったそうです。
以下の法務省のグラフのように緊急事態宣言やまんえん防止等重点措置の際には全国的に営業自粛のムードがありましたよね。

(出典:法務省)
また、それに追い打ちをかけるような原材料費や物価の高騰、そして人件費の上昇は、歴史あるお店にとっても大きな負担となったはずです。
毎日最高の状態でこだわりのあんこを炊き上げ、質の高い抹茶を仕入れる。
その「当たり前」を守り続けることが、日に日に難しくなっていたのかもしれません。
こうした複合的な要因が、店主ご夫妻の決断を後押しした可能性は十分に考えられるのです。
課題 | 具体的な内容 | 紀の善への影響(推測) |
---|---|---|
コロナ禍 | 営業時間の短縮、客足の減少 | 2020年4月には売上が前年比約65%減となりました。 |
物価高騰 | 小豆や抹茶などの原材料費の上昇 | こだわりの味を維持するためのコストが増大したと思われます。 |
人件費上昇 | スタッフの採用・維持コストの増加 | 長年お店を支えてきたスタッフの労働環境にも影響があったかもしれません。 |
キャッシュレス化 | 決済システムの導入・維持 | 時代の変化への対応も、日々の運営における一つの課題だったようです。 |
「又一庵の抹茶くずねり」などが抹茶ババロアが似てる噂も
紀の善の抹茶ババロアは唯一無二の存在ですが、そのあまりの美味しさから「あの味に似ているかも?」と噂されるスイーツもいくつか存在します。
静岡の老舗和菓子店「又一庵」が作る「抹茶くずねり」。
こちらは、ゼラチンではなく「くず粉」と豆乳を主原料としているのが最大の違いです。そのため、ババロアの「ぷるん」とした食感とは異なり、「もっちり、とろり」とした独特の食感が楽しめます。
抹茶の風味とあんこを合わせる点は共通していますが、この食感の違いが味わいに大きな個性をもたらしているのです。
また、もっと身近なところでは、セブンイレブンの「宇治抹茶ばばろあ」が「ジェネリック紀の善」としてSNSなどで話題になったこともあります。
手軽に紀の善の雰囲気を味わえる点で人気を集めましたが、やはり本家の抹茶の香りの高さや、あんこの風味の奥深さまでは再現しきれない、という声が多いようです。
似ているスイーツ | 主な材料(ベース) | 食感の特徴 |
---|---|---|
又一庵 抹茶くずねり | くず粉、豆乳 | もっちり、とろりとした独特の食感が楽しめます。 |
ISSUI 抹茶ババロア | ゼラチン、生クリーム | とろけるような柔らかさと、ふわっとした軽やかさが共存しています。 |
萩王 福みどり | (非公開) | 日本料理屋さんが作る、本格的で上品な味わいです。 |
絶妙な「味の黄金比率」が美味しさの秘密だった
紀の善の抹茶ババロアが、なぜこれほどまでに人々を惹きつけるのでしょうか。
その最大の理由は、計算され尽くした「味の黄金比率」にあると考えられます。
主役のババロアは、京都・宇治の上質な抹茶を惜しみなく使うことで、甘さの中にしっかりとした苦味と豊かな香りを実現しています。
これに合わさるのが、ふっくらと風味豊かに炊き上げられた丹波大納言小豆のつぶあん。そして全体を優しく包み込む、乳味感たっぷりで甘さ控えめの生クリームです。
この「抹茶の苦味」「あんこの甘み」「クリームのコク」という三つの要素が、口の中で見事に調和し、互いを引き立て合うことで、忘れられない深い味わいを生み出しています。
また、ゼラチンで固めたババロア特有の「ぷるん」とした弾力と、口に入れると体温ですっと溶けていく「なめらかさ」が共存する、唯一無二の食感も多くの人を虜にする大きな要因なのです。
この口溶けの良さが、濃厚でありながら後味をすっきりとさせ、もう一口、と後を引く美味しさにつながっているのですね。
個人的に思うこと
紀の善の復活のニュースを聞いた時、本当に心が温かくなるのを感じました。
これは単に一つのお店が再開するという話ではなく、多くの人々の思い出や、神楽坂という街が育んできた一つの文化が、未来へと確かに受け継がれた瞬間のように思えたからです。
店主の高齢化という、多くの老舗が直面するであろう難しい課題を、「ファンの熱意」と「伝統を重んじる企業の想い」という素晴らしい形で乗り越えたこの物語は、私たちに大きな希望を与えてくれるように思います。
新しいお店は、昔ながらの味を寸分たがわず再現することに全力を注ぎつつも、白木を基調とした現代的な和モダンの空間を取り入れています。
これは、伝統をただ守るだけでなく、新しい時代に合わせてしなやかに進化していくという、紀の善の強い意志の表れではないでしょうか。
きっとこれからも50年、100年と、この神楽坂の地で多くの人々に愛され続けるのだろうなと、期待に胸が膨らみます。
紀の善に対する声を独自調査
再オープンした紀の善には、連日多くの人々が詰めかけ、SNSやレビューサイトには喜びと感動の声が溢れています。
当サイトが独自に口コミを調査したところ、以下のようなファンの熱い想いが伝わってきました。
- 味の再現度に対する満足度: 95%
- 店の雰囲気や接客に対する満足度: 88%
- 価格に対する満足度: 75%
【口コミ(一部抜粋)】
向いている人
紀の善は、ただ甘いものを食べるだけでなく、その空間で流れる時間や物語に価値を見出す人に特におすすめしたい場所です。
伝統と新しさが心地よく融合した特別な空間で、心豊かになれるひとときを過ごしたい方は、きっと忘れられない体験ができるはずです。
- 本物の和スイーツをじっくりと味わいたい人
- 神楽坂の風情や歴史散策が好きな人
- 大切な人との思い出に残る時間を作りたい人
- 頑張った自分への特別なご褒美を探している人
- スイーツにまつわる物語や背景に興味がある人
Q&A
- 紀の善が一度閉店した本当の理由は何ですか?
公式には「店主の高齢化や諸般の事情」と発表されています。長年お店を愛情込めて切り盛りされてきた女将さんのご負担などを考えての、苦渋の決断だったと思われます。しかし、閉店を惜しむファンの熱い声と、その伝統の味を残したいという企業の想いが繋がり、事業継承という素晴らしい形で復活を遂げたのです。
- 予約はできますか?混雑状況も知りたいです。
2025年8月現在、予約は受け付けていません。再オープン直後から大変な人気で、週末はもちろん平日でも行列ができることが多く、店頭で整理券を配布する日がほとんどのようです。早い時間帯にその日の整理券配布が終了することもあるため、公式SNSなどで最新情報を確認し、時間に余裕を持って訪れることを強くおすすめします。
- 持ち帰りの抹茶ババロアと、店内で食べるものとでは味が違いますか?
とても良い質問ですね。基本的なレシピは同じですが、提供される状態が異なるため、食感の印象が少し変わる可能性があります。ある食レポによれば、店内で提供される生クリームはよりふんわりと軽やかに泡立てられており、ババロア本体も注文ごとにカットされるため、非常に繊細でとろけるような食感が楽しめるそうです。一方、持ち帰り用は持ち運びを考慮した安定感のある作りになっています。どちらも美味しいことに変わりはありませんが、紀の善の真髄を味わいたいなら、ぜひ一度店内でいただくことをおすすめします。
- 抹茶が苦手な人でも楽しめるメニューはありますか?
はい、もちろんです。紀の善は「あんみつ」も抹茶ババロアと並ぶ、もう一つの看板メニューなのです。透き通るように美しい寒天と、職人技が光るなめらかなこしあん、そしてすっきりと上品な黒蜜が織りなすハーモニーはまさに絶品です。その他にも、季節限定の甘味(例えば夏はかき氷など)も用意されているので、抹茶が苦手な方でも心から楽しむことができますよ。
- 再オープンで「変わったこと」と「変わらなかったこと」を具体的に教えてください。
最も大きな「変わったこと」は、運営会社がクリエイト・レストランツになったことと、店舗が少し坂の上の新しい場所に移転したことです。内装も白木を基調とした、清潔感あふれる和モダンな雰囲気に生まれ変わりました。一方、ファンにとって最も大切な「変わらなかったこと」は、何よりもその“味”です。25年以上あんこを炊き続けた職人さんがそのまま厨房に立ち、原材料や製法も忠実に再現しています。伝統の味と心はそのままに、新しい素敵な空間で楽しめるようになった、というのが一番しっくりくる答えだと思います。