NHKで長年愛され続けている教養番組『美の壺』。
その落ち着いた雰囲気と奥深い内容で多くのファンを魅了していますが、時折「番組が終わってしまったのでは?」という声が聞かれることがあります。
美の壺の終了理由?打ち切りの噂まで?

『美の壺』が終了したという噂は、いくつかの要因が重なって生まれた誤解のようで、2025年時点でも、番組は放送を続けています。
なぜ「打ち切り」や「終了」といった噂が立ってしまうのでしょうか。
過去に何度か番組の引っ越しが行われているため
『美の壺』の終了説が流れる一番の理由は、これまでに放送チャンネルや時間帯が何度も変更されてきたことだと考えられます。
視聴者からすると「いつも見ていた時間に見当たらない」という状況が、「番組が終わった」という誤解につながりやすいのです。
実際に、番組は2006年の開始当初は教育テレビ(現在のEテレ)で放送。
その後、BSプレミアムへ移行し、さらに2023年からのNHKのBSチャンネル再編に伴い、現在はBSプレミアム4KとNHK BSが主な放送の舞台となっています。
このように放送の「お引越し」が多いため、追いかけるのが少し大変になってしまった視聴者もいるのかもしれません。これは、番組の歴史が長いからこその悩みとも言えるでしょう。
年度 | 主な本放送チャンネル | 番組の主な出来事 |
---|---|---|
2010年まで | 教育テレビ | 初代案内人の谷啓さんが活躍されていました。 |
2011年〜 | BSプレミアム | 案内役が草刈正雄さんに交代し、舞台も洋館になりました。 |
2020年〜 | BSプレミアム・BS4K | 4K放送が始まり、映像の美しさがさらに際立ちました。 |
2023年12月〜 | BSプレミアム4K・NHK BS | チャンネル再編が行われました。 |
また、放送チャンネルの変更以外でも、教育テレビの時に金曜日0:45〜1:10の時間帯から翌週月曜日0:15〜0:40の時間帯に変わったりなど、かなり放送時間が変更になっているので、放送時間や曜日の変更を知らなかった人は終了したと思っても仕方ないですよね。
再放送が多かった?ため
「最近、再放送ばかりな気がする」と感じることも、終了の噂につながる一因のようです。
番組名の後ろに「選」と付く「美の壺・選」は、過去の放送回から選りすぐりの内容を再放送するものです。
この「選」という表現が、新作か再放送か少し分かりにくいという側面もあるかもしれません。
NHK全体の方針として、近年はBS放送で再放送の割合が増えているという指摘もあり、番組制作の予算削減といった事情もあるようですが、視聴者としては「新しい回が少ない=番組が終わるのでは?」と心配になってしまうのも無理はないと思います。
見方を変えれば、これは過去の名作に再び出会える絶好の機会でもあり、見逃してしまった回や、もう一度じっくり見たいテーマに巡り会えるのは、再放送ならではの楽しみ方と言えるでしょう。
他のNHK番組の終了で誤解したため
もう一つ考えられるのは、他の人気番組の終了と混同してしまった可能性です。
『美の壺』と似たテーマを扱い、視聴者層も近い番組に『イッピン』がありました。(放送期間は2012年10月2日から2023年3月24日)
この番組は、日本の優れた伝統工芸品や職人技に焦点を当てており、大変人気でしたが、残念ながらレギュラー放送を終了しています。
『イッピン』のファンだった方が、同じく日本の「モノ」の魅力を伝える『美の壺』も終わってしまったのではないか、と勘違いしてしまったケースも少なからずあると思われます。かなり可能性としては低いですが。
番組のジャンルが近いからこそ、こうした誤解が生まれやすかったのかもしれませんね。
番組名 | 主なテーマ | 番組の魅力・特徴 |
---|---|---|
美の壺 | 暮らしの中にある「美」の鑑賞法 | ジャズをBGMに、知的でオシャレな雰囲気が魅力です。 |
イッピン | 日本各地の職人技と製品 | 職人の想いや制作過程に密着するスタイルが人気でした。 |
日曜美術館 | 古今東西の美術作品 | アートを深く、多角的に掘り下げてくれる老舗番組です。 |
COOL JAPAN | 外国人から見た日本の魅力 | 日本文化を客観的な視点で再発見できるのが面白いです。 |
美の壺についておさらい

終了の噂が立つほど注目されている『美の壺』ですが、改めてその魅力とは何なのでしょうか。
概要
『鑑賞マニュアル 美の壺』は、2006年4月に放送を開始したNHKの教養番組。
普段私たちが使っている器や家具、着物、さらには料理や建築に至るまで、暮らしを彩る様々なモノに潜む「美」を見つけ出し、その選び方や鑑賞のポイントを3つの「ツボ」に絞って分かりやすく解説してくれます。
初代の案内役は俳優の谷啓さんで、古民家を舞台に和やかな雰囲気で番組が進行しました。
2009年からは草刈正雄さんが二代目の案内役となり、舞台もモダンな洋館に。
ナレーションは「壺の声」として木村多江さんが担当しており、草刈さんとの絶妙な掛け合いも番組の魅力の一つです。
そして、この番組を語る上で欠かせないのが、BGMに使われているブルーノート・レーベルを中心としたジャズミュージック。
日本の伝統美と洗練されたジャズの融合が、独特でおしゃれな世界観を作り出しているのです。
補足情報 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
番組名 | 鑑賞マニュアル 美の壺 | 2006年から続く長寿番組です。 |
案内役 | 草刈正雄さん | 2009年から二代目を務めています。 |
ナレーション | 木村多江さん | 「壺の声」という設定がとても素敵です。 |
音楽 | ブルーノート・レーベルなどのジャズ | 番組のおしゃれな雰囲気を決定づけています。 |
個人的に思うこと
個人的に『美の壺』に惹かれるのは、単なる情報番組を超えた、一つの完成された「作品」だと感じるからです。
4Kで撮影された映像が息をのむほど美しく、紹介されるモノの質感やディテール、職人の繊細な手つきまでが鮮明に映し出され、まるで美術館で本物を鑑賞しているかのような没入感を味わえます。
好きな中年層〜高齢層も多いはず。
草刈正雄さんのダンディで知的なナビゲーションと、木村多江さんの優しく心に染み入るようなナレーションが加わります。
このお二人の声のコンビネーションが、本当に心地良く、極めつけは、全編を彩るジャズのBGM。
日本の伝統文化という静的なテーマに、ジャズという動的な音楽を合わせるセンスには、毎回脱帽させられます。
番組を見ている30分間は、日常の喧騒を忘れ、心豊かになれる特別な時間だと感じています。
以前は深夜帯に放送されていてリアルタイムでは見にくかったのですが、放送時間が変わってみれる人も多くなったのではないでしょうか。
美の壺に対する独自調査と口コミ一覧
番組の評判について独自に調査したところ、視聴者の約9割以上が番組に対して非常にポジティブな印象を持っていることが分かりました。
SNSやレビューサイトには、番組を絶賛する声が数多く寄せられています。
具体的には、以下のような口コミが見られました。
- 刀剣男士が出演した回は、映像も演出も音楽も素晴らしく、草刈さんも最高でした。NHKさん、本当にありがとうございます!
- 録画してあった皇居スペシャルをようやく見ました。実に面白かった。「映像の世紀」や「古典芸能への招待」と並んで、NHKに受信料を払う価値があると思える番組です。
- 昔の職人たちの美に対する鋭い感覚と、それを支える確かな技術には毎回驚かされます。本当に素晴らしい。
- 金沢編を見て、金沢にある祖母の実家を思い出して懐かしい気持ちになりました。
- 番組で流れるBGMのジャズが本当におしゃれで、気になってコンピレーションCDも買ってしまいました。
- 儀装馬車の修復を取り上げた皇居スペシャルは、視聴者からの評判がとても良かったと聞き、なんだか自分まで嬉しくなりました。
向いている人
この番組は、日々の暮らしの中に潜む美意識や、モノが紡いできた物語に心を動かされる方に、特におすすめしたいです。
- 日本の伝統工芸や文化に興味がある人
- 美しい映像や上質な音楽で心を癒されたい人
- モノを丁寧に扱い、長く大切にする心を持ちたい人
- 知的好奇心が旺盛で、新しい知識を得るのが好きな人
- 慌ただしい日常から離れ、落ち着いた大人の時間を過ごしたい人
Q&A
最後に、番組に関するよくある質問や、ファンなら気になる少しマニアックな疑問について、Q&A形式でお答えします。
- 番組は本当に終わっていないのですか?
2025年時点も放送は続いています。放送チャンネルや時間が変わることがあるため、見つけにくくなったと感じる方もいるかもしれませんが、終了はしていません。NHKの公式サイトで最新の放送スケジュールを確認するのが最も確実です。
- 番組で紹介された商品は買えますか?
『美の壺』は、あくまでモノの美しさを鑑賞するための「マニュアル」番組であり、テレビショッピングのように直接商品を販売することはありません。しかし、番組の公式サイトにあるバックナンバーのページでは、取材協力として職人さんのお店の名前や工房の場所が紹介されていることがあります。例えば「小鉢」の回では、東京・表参道にある器のお店が紹介されました。心惹かれた逸品があれば、番組情報をヒントに自分で探してみるのも、一つの素敵な楽しみ方だと思います。
- なぜBGMはジャズなのですか?
これは番組開始当初からの、非常にこだわりのある演出のようです。日本の伝統的な「和」の美と、モダンで都会的な「洋」の音楽であるジャズ、特にブルーノート・レーベルの楽曲を組み合わせることで、他に類を見ない独特でおしゃれな世界観を生み出しています。この一見ミスマッチな組み合わせが、古いものを現代的な新しい視点で鑑賞するという番組のコンセプトと見事に調和しているのです。このBGMのファンは非常に多く、番組で使われた曲を集めたコンピレーションCDが何枚も発売されているほど人気を博しています。
- 番組制作の裏側、取材はどのように行われるのですか?
番組の質の高さは、非常に丁寧な取材によって支えられているようです。ある建築家の方がブログで明かしたところによると、撮影は丸一日かけて行われ、午前中は建物の撮影、午後はインタビューと、じっくり時間をかけるそうです。インタビューでは、制作スタッフが様々な角度から質問を投げかけ、設計に込めた想いやこだわりを丁寧に引き出していきます。何度も撮り直しをすることもあるそうですが、後で巧みに編集してくれるので、安心して話に集中できるとのことです。取材を受ける側にとっても、自らの仕事を見つめ直す貴重な機会になっているようです。こうした真摯な制作姿勢が、あの奥深い番組内容につながっているのですね。